定点観測 日本の働き方賃金(2019年7月版)

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厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、2018年の名目の現金給与総額は388.5万円と前年比+1.4%の増加となった(図1、図2)。人手不足や各企業において行われているベースアップなどの動きをうけて、名目賃金は増加傾向となっている。実質の現金給与総額は、前年比+0.2%と微増となった。近年、円安による輸入物価の上昇などから消費者物価指数が上昇しており、実質賃金の上昇を妨げている。

毎月勤労統計調査は、事業所が各従業員にどの程度の賃金を支払っているかを把握するものである。しかしながら、近年は、副業やフリーランスなど、従来とは異なる形態の働き方が注目を集めている。そこで、ここでは、リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を用い、個人側からの視点で収入を捕捉し、主な仕事からの収入、副業からの収入、仕事以外からの収入に分けたうえで、その推移を分析してみよう。

JPSEDをみると、主な仕事からの収入は2018年において330.8万円と対前年比+1.5%の増加となった(図3)。副業からの収入は52.1万円と額自体は少ないものの、対前年比で+3.9%と比較的大きく増加している。仕事以外の収入は191.0万円と対前年比-2.7%と減少した。

一方、各種収入がある人の割合をみると、主な仕事からの収入がある人の割合は60.1%(対前年比+0.2pt)、副業からの収入がある人は7.6%(対前年比+0.4pt)、仕事以外からの収入がある人は43.2%(対前年比+1.5pt)とそれぞれ増加している(図4)。

収入を得る手段は、一つの仕事から得る給与に限らない。副業からの収入や、労働を伴わない収入をもち、かつその額が十分であることは、生活を営むうえで重要となる。働き方が多様化するなかで、従来の給与だけでなくそのほかの収入の側面からも、生活を営むうえでその額が十分かを見ていく必要がある。

図1 現金給与総額
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出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」

図2 現金給与総額の対前年比の伸び
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出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」

図3 主な仕事からの収入、副業からの収入、仕事以外からの収入
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出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2017~2019」

図4 各種収入がある人の割合
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出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2017~2019」
注:いずれもxa19、xa18、xa17を用いたウエイト集計を行っている。

文責:坂本貴志(研究員・アナリスト)
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