定点観測 日本の働き方介護離職

総務省「就業構造基本調査」によると、2017年に介護・看護を理由に離職した者(介護離職者数)は、9万9000人であり、過去1年間に前職を離職した者の1.8%(介護離職率)に相当する(図1)。2012年と比較すると、介護離職者数も介護離職率も大きく変化しておらず、政府目標※の達成は非常に厳しい状況にある。

リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を用いて、介護をしている人の割合を算出すると、2017年12月時点では、就業者が5.1%(雇用者4.6%)、非就業者は6.3%である(表1)。属性別では、女性、50~60代で介護をしている割合が高い。被介護者の内訳をみると、就業者では親・義親が8割を占めている。男性の方が自分の親を介護している割合が高いのに対し、女性は配偶者の親や配偶者を介護している割合が高い。介護も女性の就業を妨げる一因となりえる。年代別では、親・義親を介護している割合は50代で最も高く9割にのぼる。配偶者を介護している割合は、70代以上で半数を超えている。少子高齢化が進むなか、70代以上の老老介護も増えていくと予想される。長く働き続けるためには、介護と仕事の両立はより一層重要になるだろう。

雇用者に限定し、介護をしている人のうち、介護をしていることを会社に伝えている割合をみると、66.8%である。介護をしている割合が高い50代では70.2%と多く感じるが、言い換えると3~4割の人は会社に伝えていない。このような隠れ介護の人が、介護・看護を理由に離職しないためにも、企業が行っている介護に関する制度を従業員に広く周知することや、介護を行っている人に対する所定外労働・深夜業の制限など、介護休暇制度以外の制度の充実も重要になる。また、介護をしながら働き続けるためには、就業者側も積極的に情報を収集し、各種介護サービスを利用することが重要である。

図1 介護離職者数と介護離職率の推移
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出典:総務省「就業構造基本調査」、リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2016~2018」
注:x16~x18を用いたウエイト集計を行っている。

表1 介護をしている割合、被介護者の内訳、介護をしていることを会社に伝えている割合(2017年)
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出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2018」
注:介護をしている割合は、「あなたはふだん、家族の介護をしていますか」の設問に対して、「自分がすべてしている」「自分が主にしている」「自分と家族で同等にしている」と答えた人の割合である。x18を用いたウエイト集計を行っている。

(※)政府目標:2020年初頭までに介護離職ゼロ

文責:孫亜文(アナリスト)
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