定点観測 日本の働き方フリーランス

雇用にとらわれない働き方として近年フリーランスが注目されており、政府も法整備に向けて動き出した※。リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」から、フリーランスを、雇用者のいない自営業主もしくは内職であり、実店舗をもたず、農林漁業(業種)従事者ではないと定義すると、2018年には、約472万人(就業者の約7.2%)がフリーランスであることがわかった。そのうち本業をフリーランスとして働いている人は約324万人であり、1年間で約19万人増えている(図1)。副業をフリーランスとして働く人は約148万人であり、1年間で約8万人増えている。

本業フリーランスの働き方をみてみると、就業者全体と比べて、労働時間は短く、年収は低い(表1)。しかし、労働時間が長い人や年収が高い人も一定数おり、フリーランスとして働いているといえども、必ずしも短時間勤務かつ低年収で、不安定な働き方をしているとは限らないことがわかる。

職種別に本業フリーランスの割合をみてみると、専門的な知識やスキルを要する専門・技術職では、その割合が高い(表2)。また、職種ごとにフリーランスの働き方の違いをみると、「コンサルタント・金融関連専門職」「法務・経営関連専門職」「IT・工学系エンジニア」は、労働時間が長く、年収も高い。長期的な契約を結ぶケースが多いため、本業フリーランスのなかでも比較的安定した働き方をしていると考えられる。一方、「講師・通訳など専門職」は、期間限定の講座や通訳など短期の仕事が多いことから、労働時間が短く年収も低くなっている。また、「出版・マスコミ関連専門職」「デザイン・ファッション関連専門職」は、一つひとつの仕事に時間をかける必要があり、多くの仕事を受けられないケースが多く、労働時間は比較的長いが年収は比較的低くなっている。フリーランスといっても、職種によって働き方が異なることがわかる。

企業に雇用されない働き方は、今後ますます増えていくと予想される。職種にかかわらずフリーランスとして安定的に働ける環境を作っていくためには、フリーランスの働き方の実態を明らかにし、その働き方にふさわしい報酬や契約などの法整備をいち早く整える必要がある。

※厚生労働省は、フリーランスを「雇用類似」と位置づけ、労働法制の改正に向けて検討する動きがある。

図1 本業フリーランスと副業フリーランスの人口規模
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出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2018、2019」
注:各年12月就業者を対象としている。xa18、xa19を用いたウエイト集計を行っている。

表1 本業フリーランサーの週労働時間と年収(就業者全体との比較)
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出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2019」
注:xa19を用いたウエイト集計を行っている。

表2 職種別の就業者に占める本業フリーランスの割合および本業フリーランスの週労働時間と年収
5-4-3_190709.png出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2019」
注:本業フリーランサーのサンプルサイズが小さい職種(「農林漁業関連職」「保安・警備職」「財務・会計・経理職」「IT・工学系以外のエンジニア」)と「分類不能の職業」は除いている。色付きセルは、就業者全体に占める本業フリーランサーの割合(4.9%)、本業フリーランサーの平均週労働時間(26.1時間)および平均年収(241.1万円)よりも数値が大きい箇所である。xa19を用いたウエイト集計を行っている。


文責:孫亜文(アナリスト)
※2019年3月時点の記事はこちら
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