定点観測 日本の働き方育児休業(2020年4月版)

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厚生労働省「雇用均等基本調査」によると、配偶者が出産した男性のうち育児休業を取得した者は、2018年で6.2%と、前年から+1.1pt増加している。男性の育児休業取得率は増加してはいるものの、政府目標にはほど遠く、女性の82.2%と比べると著しく低水準のままである。

リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を用いて、1年以内に妻が出産を経験した男性(雇用者に限る)について、妻の就業状況別に男性の育児休業取得率をみてみると、妻が働いていない場合には5.0%と、妻が働いている場合(6.6%)に比べ水準が低い。妻が非就業である場合は、男性が育児休業を取得する必要性をほとんど感じていないというのが実態なのであろう。

また、共働き夫婦でさえも、夫の育児休業取得率は政府目標に遠く及ばない。夫が育児休業を取得しないがために、妻は出産を機に仕事を辞めざるを得なくなることから考えても、男性の育児休業取得率の低さは働く女性のキャリア形成を阻害している可能性がある。

出産を経験した女性が安心して働き続けるためには、夫が育児に主体的に関与することが必要不可欠である。男性が育児休業を取得できるように、社内制度を見直すことや、職場における男性の育児従事への偏見をなくすことなど、企業による積極的な働きかけが求められるだろう。

※政府目標:2020年に男性の育児休業取得率13%以上を目指す。

図1 育児休業取得率の推移(%)
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出典:厚生労働省「雇用均等基本調査」
注:常用労働者5人以上を雇用している民営事業所を対象とした調査であり、対象は雇用者のみ。

図2 妻の就業状況別の男性育児休業取得率
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出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2019」
注:男性雇用者を対象にしている。xa19を用いたウエイト集計を行っている。

文責:孫亜文(研究員・アナリスト)
※2019年3月時点の本記事はこちら
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