HR Tech Roundup  海外のHRテクノロジー最新ニュース51Jobが百度(バイドゥ)と協働し対話型AI「文心一言(アーニーボット)」を搭載したサービスを開発中、ほか

海外HR Techニュースリリースまとめ

51Jobは、検索エンジン百度の対話型AI「文心一言」を搭載したサービスの開発に取り組んでいる。
インドでは、2022年にLinkedIn上での会員による学習時間が合計460万時間に達し、米国の約2倍に増加した。
またGMは、面接日程を自動調整するParadoxを導入し、大幅なコスト削減を実現した。

  • 【注目トピック】

    従業員の「ファイナンシャル・ウェルネス」向上をサポートする米国企業が増加

    米国では、従業員の「ファイナンシャル・ウェルネス(金銭面の健全性)」の向上をサポートする企業が増えている。Brightside、Branch、Enrichなどがこの領域のサービスを提供している。

    法人向けのファイナンシャル・ケア・プラットフォームのBrightsideは、従業員がアプリから問い合わせをすると、チャットボットが自動応答し、専任のファイナンシャルアシスタントにつなぐ。たとえば従業員は、どのクレジットカードから返済すれば利息を節約できるかなど、些細なことも気軽に相談できる。ファイナンシャルアシスタントは、低金利ローンへの借金一本化などのアクションプランを作成し、家賃の支払いに困った場合の緊急支援制度の紹介や、連邦政府による学生ローンの返済免除を受ける方法など、金銭的なアドバイスを提案する。また、家の購入や、クレジットスコアを向上させる方法など、多くの役立つコンテンツをアプリに掲載している。Brightside利用者は1世帯当たり、年間で平均約1200ドルを節約している。またサービスを利用する従業員は、利用しない従業員に比べ、クレジットカードの債務を3倍早く返済し、離職率が41%低い。Fortune 500企業で働く従業員のうち、約30万世帯が同サービスを利用している。Brightsideの売上高は2021年の1年間で約800%増加した。

    給与のデジタル払いアプリBranchの「オンデマンドペイ機能」では、医療費の発生などの緊急時に、従業員が翌月の給与の最大50%を受け取ることができる。また、従業員が毎月の請求書の情報をアプリに登録すると、Branchが収支の概要を表示し、請求書の支払い期限や残高不足時にアラートを出す。

    Bank of America の2022年の「Workplace Benefits Report」によると、歴史的なインフレなどの影響により従業員の62%が「金銭面のストレスを抱えている」という。従業員のファイナンシャル・ウェルネスに「責任を感じている」と回答した企業の割合は97%で、前年の95%から上昇した。また、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムを提供する企業のうち、8割が従業員のエンゲージメントや生産性、満足度の上昇といった効果が見られるという。

  • 【機能・サービス】

    51Job、百度の対話型AIを搭載したサービスを開発中

    Qianlongによると、中国の求人求職サイトの51Jobは、検索エンジン大手の百度と協働で、対話型AI「文心一言(アーニーボット)」を組み込んだHRサービスの開発に取り組んでいる。アーニーボットは、ChatGPTに類似したもので、言語理解、言語生成、テキストによる画像生成などを行うことができる。今回の協業は、中国のHR分野において対話型言語モデルの初導入となる。(2月22日 AIM Group)
    https://aimgroup.com/2023/02/22/51job-connects-with-baidus-generative-ai-chatbot/


    LinkedIn、インドの会員によるオンライン学習時間は米国の約2倍

    2023年2月に、LinkedInのインドの会員数は1億人を突破し、米国に次いで世界第2位となった。インド企業はスキル重視の採用アプローチを取り入れており、LinkedInのスキルデータを活用するリクルーターの割合は50%増と、世界平均(45%)を上回っている。また、LinkedInをスキルアップに活用する従業員が増えており、2022年のLinkedIn India上での会員による学習時間は合計460万時間で、米国の約2倍に相当する。(2月8日 BUSINESS INSIDER INDIA)
    https://www.businessinsider.in/tech/enterprise/news/linkedin-crosses-100-mn-members-in-india-its-2nd-largest-market/articleshow/97718181.cms

  • 【ケーススタディ】

    GM、面接日程を自動調整するParadoxの「EV-e」導入で200万ドル超のコストを削減

    GM(ゼネラルモーターズ)は2021年に発表した、乗用車を全面的に電動化する計画を達成するため、採用規模を拡大し「AppleやMeta、Teslaが求めているような人材」の採用に取り組んでいる。
    2021年の時点でGMでは、50人以上のフリーランスの採用コーディネーターが、年間100万~200万人の応募者の書類選考や面接の日程調整をメイン業務とし、複数のマネジャーのスケジュールの確認や候補者との連絡、面接日時の変更などに多大な時間を費やしていた。
    そこで同年6月にGMはParadoxと契約し、12月に自社の採用情報サイトにバーチャルアシスタント「EV-e」を導入した。EV-eがショートメッセージ、メール、WhatsApp経由での候補者からの問い合わせや求人への応募に24時間自動応答する。チャットボット導入の初年度に、採用費を200万ドル以上削減し、日程調整にかかる時間を面接1件あたり5日から29分に大幅に短縮した。現在、チャットボットが年間約5万件の面接日程を自動調整している。(2月3日 Paradox)
    https://www.paradox.ai/blog/bersins-case-study-on-general-motors-how-they-saved-2-million-on-recruiting-costs-in-less-than-a-year#toc--electrifying-interview-scheduling-automation-

  • 【資金調達】

    Brigad、Balderton Capitalなどから3300万ユーロを資金調達。資金は英国の主要都市への事業拡大に充てる。Brigadは、求職者1万5000人と企業1万社が利用するフランス発のフリーランサーマーケットプレイスで、シェフ、ウェイター、バーテンダー、フロントスタッフといった飲食店やホテルの求人を掲載する。パリ、ロンドン、マンチェスター、バーミンガムなどフランスと英国の8都市で展開する。企業がBrigadにシフト制の求人を掲載すると、Brigadが求人に適したスキルを持つ求職者に通知する。求人の約8割が、掲載から最短で2時間以内に空きシフトが埋まっている。顧客企業は、Ritz、Nobu、Urban Pubs & Bars、Burger & Lobster、The Maine、Star Hotels、W London Hotelなど。

    https://www.balderton.com/news/brigad-raises-e33m-to-connect-the-best-self-employed-professionals-with-leading-hospitality-brands/

    中国のNowCoder、Sequoia Capital ChinaやTiger Global Managementなどから5000万ドルを資金調達。資金は、ユーザー基盤の拡大や顧客企業の開拓などに充てる。新卒採用プラットフォームのNowCoderは、フィンテック、インターネット、スマート製造、半導体、自動車、ゲームなどの企業の採用を支援している。顧客企業は、Alibaba Group、Tencent、ByteDance、Huawei、Xiaomi、Tesla、Intel Corp、China Merchants Bank、China Construction Bankなど1500社を超える。
    https://www.dealstreetasia.com/stories/sequoia-china-tiger-nowcoder-331789

TEXT=杉田真樹