HR Tech Roundup  海外のHRテクノロジー最新ニュース欧米で現場DXを推進する「デスクレスSaaS」が急成長、Indeedが料金体系を応募課金型に、ほか

海外HR Techニュースリリースまとめ(2022年11月)

米Indeedは2023年に、クリック課金型の料金体系から、募集条件を満たす求職者から応募があった際に料金が発生する応募課金型の料金体系に移行する。
Glassdoorは、ワーク・ライフ・バランスやダイバーシティなどの従業員の評価や、人種やSOGI(性的指向・性自認)、育児中や介護中といった従業員の属性別の評価で企業を検索できる検索機能を追加した。
また、Gartnerの調査によると、欧米企業の58%が海外在住の技術系「ボーダーレス人材」をフルリモートで雇用している。

  • 【注目トピック】

    欧米でノンデスクワーカーの働き方を改善できる「デスクレスSaaS」が急成長

    小売や飲食、製造、建設、物流、医療、警備など現場で働くノンデスクワーカーと会社のコミュニケーション不足や、現場業務を改善するために「デスクレスSaaS」が欧米企業で人気が高まっている。代表的なサービスには、Beekeeper、Connecteam、Skedulo、Flip、Sonaなどがある。
    デスクレスSaasのサービスの利用者は、シフト変更など業務連絡のプッシュ受信、新商品の情報や標準作業手順書(SOP)の確認、有給休暇や機材購入の申請、オンライン研修の受講などを、すべてスマホのアプリで行うことができる。また、同僚とチャットで交流したり、シフトを交換したりもできる。

    スイス発のBeekeeperは、約100カ国語に対応した受信メッセージの自動翻訳、POSレジのマニュアルなどを集めたライブラリー、社内からの問い合わせに自動対応するチャットボット、従業員の意見や要望を聴取するレポートや従業員サーベイ、従業員の仕事ぶりを称賛する“レコグニション”(賞賛・承認)などの機能を備える。多国籍の人材を抱えるホテル大手のHiltonや食品大手のCargill、空港や駅のターミナルで売店を展開するHudsonが利用している。パンデミック以降、Beekeeperの売上高は倍増している。
    イスラエル発のConnecteam は、アサインされたタスクの確認、始業・終業時間の記録、GPSによる従業員の現在地確認、タイムシートの提出などの機能を備える。SodaStream、Sodexo、Berry Global、CVS Caremarkなど、世界80カ国で約3万6000社が利用している。2022年3月までの2年間に、同社の売上高は5倍に増加した。

    世界の労働力人口の約80%にあたる27億人がノンデスクワーカーとして働いている(Emergence Capital調べ)。BCGが日本や米国など7カ国のノンデスクワーカー7000人以上を対象に実施した調査によると、6カ月以内に37%が退職する可能性があるという。企業は、デスクレス SaaSを活用することで、現場で働く従業員の働き方の改善や従業員同士のつながりを促進し、離職の防止を図っている。

  • 【新機能・新サービス】

    米Indeed、2023年に応募課金型の料金体系に移行

    米Indeedは2023年に、クリック課金型の料金体系から、募集条件を満たす求職者から応募があった際に料金が発生する、応募課金型の料金体系に移行する。この料金体系には、「応募数に応じて支払う(pay-per-application)」と「応募開始後に支払う(pay-per-started-application)」の2種類の料金プランがあり、Indeedは既に米国の中小企業を対象に新しいプランへの移行を始めている。
    「応募開始後に支払う」料金プランは、求人情報に記載されている「応募する」「今すぐ応募する」「企業サイトから応募する」などのボタンを求職者がクリックして応募手続きを開始すると、課金されるシステムとなっている。(10月28日 SIA)
    https://www2.staffingindustry.com/eng_member/Editorial/Daily-News/World-Indeed-switching-to-cost-per-application-model-63463


    Glassdoor、ワーク・ライフ・バランスやダイバーシティなどについての評価が高い企業の検索機能を追加

    Glassdoorは、地域や業種、企業規模、総合評価などにもとづいて企業を検索するツール「Company Explorer」に、高度な検索機能を2種類追加した。1つ目は、ワーク・ライフ・バランス、カルチャー&バリュー、ダイバーシティ&インクルージョン、キャリア開発の機会、報酬や福利厚生、上級管理職についての従業員の評価をもとに検索する機能で、世界24カ国のサイトに導入される。2つ目は、人種や民族、SOGI(性的指向・性自認)、育児中や介護中、障がい者、退役軍人といった、従業員の属性別の評価による検索機能で、米国のサイトのみに導入される。

    GlassdoorがThe Harris Pollに委託した調査では、米国の従業員のうち、職場で差別(人種、年齢、性別、同性愛嫌悪など)を「目撃または経験したことがある」と回答した人は43%であった。また、30%が「現在の就業先が自分の価値観と一致していない」と回答した。さらに、18~44歳の従業員に企業選びにおいて重視する点を聞いているが、回答の多い順に、「ワーク・ライフ・バランス(71%)」「報酬や福利厚生(70%)」「キャリア開発の機会(58%)」「会社のカルチャーやバリュー(44%)」「会社のダイバーシティ&インクルージョンに関する方針や取り組み(36%)」という結果であった。(10月10日 PR Newswire)
    https://www.prnewswire.com/news-releases/glassdoor-launches-advanced-filters-to-find-companies-highly-rated-for-worklife-balance-diversity--inclusion-and-more-301645110.html


    JobKorea、チャットルーム機能を追加

    韓国の求人求職サイトのJobKoreaは、コミュニティへのユーザーの参加を促進するため、マーケティング・広告、インターネット、マネジメント、デザイン、営業・カスタマーコンサルテーション、生産・製造の6つのチャットルーム機能を追加した。ユーザーは、仕事や企業について質問を投稿したり、ほかのユーザーからアドバイスを受けられる。また、一度に最大1000人のユーザーがディスカッションに参加できる。
    JobKoreaの親会社であるJob Korea Inc.は、パートタイム求人検索サイトのAlbamon.com や、ゲーム業界に特化した求人求職サイトのGameJob.co.krを運営し、HRテクノロジーや就職サポートサービスの提供も行っている。(11月10日 AIM Group)
    https://aimgroup.com/2022/11/10/jobkorea-opens-chat-rooms-for-community-participation/

  • 【M&A】

    Beeline、Utmostを買収

    派遣社員やフリーランサーといった外部人材や、その供給会社を管理するVMS(ベンダー管理システム)のBeelineは、外部人材の契約期間や業務内容、タイムシート、報酬単価などを把握、管理する中小企業向けVMSのUtmostを買収した。2021年には時給制労働者管理システムのJoinedUpを買収し、今回で4社目の買収となる。BeelineはDisney、Amazon、McDonald’s、Meta、Pfizerなどが利用している。(10月19日 SIA)
    https://www2.staffingindustry.com/site_member/Editorial/Daily-News/Beeline-announces-acquisition-of-Utmost-63361


    iCIMS、リファレンスチェック自動化プラットフォームのSkillSurveyを買収

    タレントクラウドソリューションのiCIMSは、リファレンスチェック自動化プラットフォームのSkillSurveyを買収した。SkillSurveyは、数百種類の職種別リファレンスチェックサーベイを保存するライブラリーの機能を持つ。採用担当者は、候補者の前職の上司や同僚などにサーベイを送信し、候補者の評価を依頼することができる。(10月26日 Business Wire)
    https://www.icims.com/company/newsroom/oct26announcement/

  • 【決算】

    LinkedIn、2023年度第1四半期は、前年同期比17%の増収

    Microsoftは、2023年度第1四半期(2022年7~9月期)の決算を発表した。LinkedInの売上高は、前年同期比17%増の36億7000万ドルであった。会長兼CEOのサティア・ナデラ氏は、「全世界のユーザー数は8億7500万人を超えており、海外のユーザー数は米国の約2倍のペースで増加している」と話した。
    LinkedInニュースレターの購読者数は1億5000万人超と、1年間で4倍に増加した。また、LinkedInのユーザーがこの1年間で自身のプロフィールに追加したスキル情報件数は、前年比43%増の3億6500万件となった。さらに、Microsoftの従業員体験プラットフォーム「Microsoft Viva」とオンライン学習「LinkedIn Learning」のシステム連携により、従業員は日常業務のなかで、オンライン講座を気軽に受講することができる。
    しかし、エグゼクティブバイスプレジデント兼CFOのエイミー・フッド氏は、LinkedInの第2四半期の売上高見通しについて、「広告費の減少と雇用の減速の影響を受け、成長率は一桁台後半から二桁台前半になるだろう」と語った。(10月26日 AIM Group)

    https://aimgroup.com/2022/10/26/linkedin-q1-fy-2023-revenue-slowdown-continues/

  • 【調査】

    Gartner調査、欧米企業の58%が海外在住の技術系「ボーダーレス人材」をフルリモートで雇用

    Gartnerは、ボーダーレス人材を「国境を越えた雇用契約にもとづき、異なる国からフルリモートで働く人材」と定義している。Gartnerが欧米企業のCレベルのエグゼクティブや直下のマネジャー288人を対象に実施した調査によると、回答企業の58%が、国外に住む技術系の「ボーダーレス人材」をフルリモートで雇用している。そのうち、IT職に就く従業員に占めるボーダーレス人材の割合は19%であった。パンデミックの影響で、企業によるボーダーレス人材の採用は過去3年間で倍増している。また、企業の27%が技術系ボーダーレス人材の採用を「検討している」と回答した。「技術系ボーダーレス人材が住んでいる国、またはボーダーレス人材を探す際に選ぶ国はどこか」という質問への回答では「インド」と回答した企業が最も多かった。(11月10日 Gartner)

    https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2022-11-10-gartner-survey-finds-58-percent-of-organizations-employ-borderless-technology-talent

  • 【資金調達】

    Drive My Wayが、First Analysis などから440万ドルを資金調達。資金は、ドライバーや雇用主のユーザー体験の向上などに充てる。トラック運転手採用プラットフォームのDrive My Wayは、ドライバーの免許や資格、ライフスタイルなどをもとに、ドライバーと求人をマッチングする。トラック運転手の人手不足や定着の課題は深刻化しており、トラック運送業界は今後10年間で100万人以上のドライバーを雇用する必要があると予測されている。

    https://www.prnewswire.com/news-releases/drive-my-way-closes-4-4-million-series-a-financing-round-301660609.html

TEXT=杉田真樹