HR Tech Roundup  海外のHRテクノロジー最新ニュースLinkedInの2022年版「働きたい会社」の第1位はAmazon、ほか

海外HR Techニュースリリースまとめ(2022年5月)

LinkedInは、35カ国の働きたい会社ランキングを国別に発表した。米国ランキングの上位3社は、Amazon、Alphabet、Wells Fargoだった。
オーストラリアのギグエコノミーマーケットプレイスのAirtaskerがOneflareを買収、リモートワーク専門求人サイトのFlexJobsがLocalwiseを買収するなど、買収のニュースが相次いだ。
グローバル雇用や労務管理プラットフォームのOysterが、Salesforce VenturesやLinkedInなどから1億5000万ドルを資金調達した。医療人材の採用プラットフォームのFleetNurseも、投資会社から出資を受けた。

  • 【注目トピック】

    グローバル雇用や労務管理をサポートするプラットフォーム、企業の利用が増加

    米国企業では、世界各国の優秀な人材による分散型チームを構築するために、Remote、Deel、Oyster といったSaaS型のグローバル雇用・労務管理プラットフォームの利用が増えている。サービスは、EOR (Employer of Record、従業員の派遣)と、業務委託の労務管理の2種類がある。EORサービスは、プラットフォームの現地法人が、企業が新規採用した従業員と雇用契約を結び、企業に派遣する。プラットフォームは、企業と別途サービス契約を締結し、契約手続き、給与支払いや税務、福利厚生などの管理を代行する。

    業務委託の労務管理サービスでは、企業が業務委託契約から、請求書の管理、各国の通貨による報酬や立替経費の計算と支払いまでをプラットフォーム上で行う。
    Remoteは、60カ国以上の労働法専門の弁護士や人事専門家が、各国の法規制の改正を把握し、企業の規制順守をサポートする。顧客はGitLab、DoorDash、Loom、Paystackなどで、利用者数は2020年11月から8カ月間で10倍に増加した。Deelは、2022年5月現在、CoinbaseやShopifyなど、150カ国の企業8000社がサービスを利用している。2021年12月に、日本でもサービスの提供を開始した。

    企業は、これまで国外に住む従業員や業務委託について、現地の労働法に基づいた労務管理を行うために、現地のPEO(Professional Employer Organization)会社と契約してきたが、PEOを利用するには各国で法人登記をする必要があった。今後は、RemoteやDeelのサービスを通じて、自社の拠点がなくても国外の人材を雇用・管理できるようになった。
    米国では、採用難を解消するために、国外から人材を調達する企業が増えている。人手不足は今後も続くと見込まれており、同プラットフォームの成長が予測される。

  • 【M&A】

    FlexJobs、Localwiseを買収

    リモートワークやフレキシブルワーク専門の求人サイトのFlexJobsは、地域の求人マーケットプレイスのLocalwiseを買収した。Localwiseは、2014年に設立され、5万社以上の地元の事業者と人材をマッチングする。2022年5月現在、会員数は51万9000人を超える。
    FlexJobsは、2007年の開設以降、1億人以上が利用している。エントリーレベル、エグゼクティブ、パートタイム、フルタイム、フリーランスといったさまざまな人材を対象とする求人を掲載し、キャリアコーチングサービスも提供している。(5月12日 PRWeb)
    https://www.prweb.com/releases/flexjobs_announces_acquisition_of_localwise_expands_focus_on_local_job_searching_and_hiring/prweb18667579.htm


    Airtasker、Oneflareを買収

    家の掃除、家具の組み立てや運搬、引っ越しの手伝い、デザインやマーケティングなどの仕事を受発注するオーストラリアのギグエコノミーマーケットプレイスのAirtaskerは、国内で3番目の規模のローカルサービスプラットフォームのOneflareを980万ドルで買収した。Oneflareは、フローリングの張り替え、電気や水道工事、家電の修理、自動車の整備、家族写真の撮影など、さまざまな仕事を掲載している。仕事1件あたりの平均料金は2300ドル以上で、年間54万人以上のカスタマーと1万4500社以上の事業者がOneflareを利用している。Airtaskerは、今回の買収により、サービスカテゴリーを拡大させる狙いがある。(5月4日 Startup Daily)
    https://www.startupdaily.net/2022/05/airtasker-buys-oneflare-for-9-8-million/


    Jobandtalent、ノルウェーの派遣会社Jobzoneを買収

    飲食、小売り、倉庫、物流、コールセンターなど臨時の仕事と、人材のマッチングを行うスペインのデジタルスタッフィングプラットフォームのJobandtalentは、ノルウェー第3位の人材派遣会社のJobzoneを推定5000万ユーロで買収した。Jobzoneは、ノルウェーに40以上の拠点を構える、国内最大級の人材派遣会社である。
    Jobandtalentは、買収による事業の拡大を図っており、2019年にはスペインのDesarrollo de Personal LogísticoやコロンビアのSu Temporalなど、人材サービス会社を7社買収した。2022年3月には米国市場に進出するため、軽工業分野の人材派遣事業会社InStaffを約3000万ユーロで買収した。
    Jobandtalentは、スペイン、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン、メキシコ、コロンビア、ポルトガルで事業を展開する。2021年12月に、投資会社のKinnevikとソフトバンク・ビジョン・ファンド2から約5億ドルを資金調達した。同社は現在、スペインで最も企業評価額が高い会社となっている。(4月29日 La Informacion)
    https://www.lainformacion.com/emprendedores/jobandtalent-sigue-engordando-compras-suma-noruega-jobzone/2865584/


    Beamery、Fluxを買収

    英国の人材管理プラットフォームのBeameryは、従業員を社内のギグやポストとマッチングする米国の社内モビリティプラットフォームのFluxを買収した。
    Beameryは、Fluxの買収により、企業が外部人材や従業員を1つの人材プールにまとめて管理し、採用、育成、再配置を行う総合プラットフォームを構築する。UberやPelotonなどの顧客では、従業員の勤続年数の伸びなどが見られる。(4月26日 Beamery)
    https://beamery.com/resources/news/beamery-acquires-flux

  • 【決算】

    LinkedIn、2022年度第3四半期は、前年同期比34%の増収

    Microsoftは、2022年度第3四半期決算を発表した。LinkedInの売上高は前年同期比34%増となった。このうち、タレントソリューションの売上高は43%増加した。LinkedIn上での採用数は88%増加し、6四半期連続で成長が続いている。「Great Reshuffle」(大量転職時代)において、LinkedInでスキルをもとに人材を検索する企業の数は、前年同期比で2倍に増えた。また、クリエイターが動画、記事などのオリジナルコンテンツを発信する「Newsletters」の機能を利用して、1つ以上のニュースレターを購読している会員数は2800万人と、前期比で51%増加した。(4月27日 LinkedIn Pressroom)
    https://news.linkedin.com/2022/april/linkedin-business-highlights-from-microsoft-s-fy22-q3-earnings


    Fiverr、2022年第1四半期は、前年同期比27%増の増収

    フリーランサーマーケットプレイスのFiverrは、2022年第1四半期決算を発表した。売上高は、前年同期比27%増の8670万ドルだった。アクティブバイヤー数は同11%増の420万人で、バイヤー1人あたりの単価は同17%増の251ドルとなった。第2四半期の売上高は、前年同期比14~16%増の8600万~8750万ドルになる見通しである。Fiverrは、ナレーターや声優を探しているユーザーがテキストボックスに文章を入力すると、事前に登録された音声をもとに、AIがサンプルナレーションを瞬時に作成し、読み上げる「AIオーディション」機能を同年5月に追加した。(5月11日 Fiverr)
    https://investors.fiverr.com/press-releases/press-releases-details/2022/Fiverr-Announces-First-Quarter-2022-Results/default.aspx

  • 【調査】

    LinkedIn、2022年版働きたい会社「TOP COMPANIES」の米国50社ランキングを発表

    LinkedInは、米国、日本、英国など35カ国の国別に、2022年版の働きたい会社ランキング「TOP COMPANIES」を発表した。ランキングは、ユーザーが入力したプロフィールのデータを「昇進の可能性」「スキルの獲得」「仕事の安定度」「社外からの魅力」「社内のつながり」「従業員の多様性」にもとづいて分析した。上位企業は、柔軟な働き方や、学費補助、従業員の健康やメンタルヘルスのサポートなど需要の高い福利厚生を提供し、従業員の専門的能力の開発にも投資をしている。

    米国50社ランキング1位のAmazonは、優秀な人材の確保と定着を図るため、最近技術職の基本給の上限を2倍にすると発表し、昨年末には倉庫作業員50万人以上の平均賃金を引き上げた。また、従業員の教育や技能訓練の取り組みを拡大するために、今後3年間で12億ドルを投資すると発表した。現在、「Career Choice」制度の一環として、フロントラインワーカーの大学の授業料や、高卒資格(GED)や英語力を示す資格の取得費用を負担している。

    2位のAlphabetには、前四半期に約6500人が入社し、GoogleのクラウドサービスやYouTube事業部門で大きな成長が見られた。ハイブリッド型のワークモデルの導入に加え、働く場所を従業員が自由に選べる「work from anywhereウィーク」を年に4週取得できる制度や、サバティカル休暇制度、「ミーティングなし」の日などがある。キャリアアップも支援しており、従業員はWomen@Googleといったリソースグループや、Googler-to-Googlerトレーニングなどを利用し、ほかの従業員からさまざまな分野の知識を直接得ることができる。

    3位のWells Fargoは、クラウドコンピューティング事業に力を入れ、ソフトウエアエンジニアリングや技術職で今年数千人の採用を予定している。最近では、従業員の研修、キャリア開発、早期人材の育成プログラム、学費負担などに3億ドルを投じると発表した。

    4位のJPMorgan Chase & Co.は、2021年に過去最高益を達成し、その利益を従業員の給与の引き上げに充てている。若手銀行員の基本給は昨年に比べ2倍となった。これまで採用してこなかった求職者層へのアプローチにも力を入れており、自閉症の候補者のための人材パイプラインを構築し、応募フォームから犯罪歴に関する質問を削除した。

    5位のWalmartは、2022年4月末までに全米で5万人以上を雇用する計画を発表した。仕事を通じて得られるスキルや知識を重視しており、これらの業務の多くは大学の学位を必要としない。また、従業員の大学の授業料と書籍代を最大100%負担する「Live Better U」制度を設けている。さらに、昨年2月に行った42万5000人の従業員を対象とする基本給の引き上げに続き、約56万5000人の時給制従業員の基本給も引き上げた。

    2022年版働きたい会社「TOP COMPANIES」米国50社ランキング(上位25社)

    順位 企業名
    1位  Amazon
    2位  Alphabet
    3位  Wells Fargo
    4位  JPMorgan Chase & Co.
    5位  Walmart
    6位  IBM
    7位  AT&T
    8位  Bank of America
    9位  Apple
    10位  Comcast
    11位  Deloitte
    12位  Meta
    13位  UnitedHealth Group
    14位  Dell Technologies
    15位  CVS Health
    16位  The Walt Disney Company
    17位  Accenture
    18位  Verizon
    19位  GE
    20位  Boeing
    21位  Raytheon Technologies
    22位  EY
    23位  Intel
    24位  Keller Williams
    25位  Kaiser Permanente

    (4月20日 LinkedIn Talent Blog)

    https://www.linkedin.com/business/talent/blog/talent-strategy/linkedin-top-companies

  • 【資金調達】

    Oysterが、Salesforce VenturesやLinkedIn、Indeedの関連会社のHR Tech Investmentsなどから1億5000万ドルを資金調達。累計資金調達額は2億2700万ドル、企業評価額は10億ドルに達した。資金は、プラットフォームのさらなる開発とPeople Operations(人事)担当者向けコミュニティの構築に充てる。Oyster は、設立からわずか2年でユニコーンに認定された。売上高は、2021年の1年間に20倍以上に増加した。

    https://www.oysterhr.com/library/oyster-raises-150m-series-c-funding

    iCIMSが、Vista Equity Partnersなどから資金調達。iCIMSは、採用から社内異動まで包括的に管理できる人事管理プラットフォーム「iCIMS Talent Cloud」や、ATS(応募者追跡システム)などを提供する。CVS Health、Target、IBMなど、4000社以上の大手企業がiCIMSの製品を利用しており、ユーザー数は250万人を超える。

    https://www.icims.com/company/newsroom/taassociatesannouncement/

    FleetNurseが、HCAP Partnersから資金調達。資金は、新規および既存市場での事業の拡大やプラットフォームの機能強化に充てる。医療人材採用プラットフォームのFleetNurseは、シフトにキャンセルが発生した際などに、短時間で医療スタッフを確保したい医療機関と医療従事者をつなぐアプリを提供する。医療従事者は、求人情報の検索や応募、勤務スケジュールの管理を行うことができる。医療機関は、登録する医療従事者に求人情報を自動配信し、最短で約1時間以内に空きシフトを埋めることができる。

    https://www.globenewswire.com/en/news-release/2022/04/14/2422790/0/en/FleetNurse-Receives-Funding-From-HCAP-Partners-to-Accelerate-Growth.html

TEXT=杉田真樹