HR Tech Roundup  海外のHRテクノロジー最新ニュースGoogleがケニアで「Task Mate」を公開、LinkedInが「Services Marketplace」を正式公開、ほか

海外HR Techニュースリリースまとめ(2021年11月)

Googleは、企業が携帯電話でできる簡単な仕事を不特定多数の人々に依頼するクラウドソーシングアプリ「Task Mate」のベータ版をケニアで公開した。Task Mateには、自宅で使用しているシャンプーボトルの撮影によるブランド認知度調査、自宅で使用している家具や日用品の撮影によるコンピュータービジョンのアルゴリズム訓練、店舗での商品の小売価格の撮影や営業時間の確認、方言の録音など、さまざまな仕事が掲載されている。
M&Aのニュースでは、FiverrがStoke Talentを買収した。Fiverrは10月にも、起業家向けオンライン学習プラットフォームのCreativeLiveを買収している。自社のバリュープロポジションを強化することによって、市場シェアの拡大を狙っている。
資金調達関連の主なニュースでは、Mogulがソフトバンクなどから資金を調達した。ソフトバンクは、世界各国から完全リモートで働く人材の採用および労務管理プラットフォームのOntopやAndelaにも出資している。

  • 【新サービス・新機能】

    Googleがケニアで「Task Mate」を公開、グローバル展開も検討

    Googleは、1年間の試験運用を経て、クラウドソーシングアプリ「Task Mate」のベータ版をケニアで公開した。今後、ほかのアフリカ諸国での導入も目指す。インドとメキシコでも同アプリを公開している。
    Task Mateに掲載されている仕事は、翻訳やアンケートへの回答、写真のキャプション作成、衛星画像のラベリング、市場調査、データの分類といった屋内での仕事と、建物の写真撮影といった屋外での仕事の2種類がある。企業は、仕事を依頼する相手の年齢、性別、学歴、収入、居住地、語学力などを指定できる。 Task Mate は、録音に雑音が入っている、写真が鮮明でないといったエラーを自動検出し、再提出を求める成果物の品質チェックや、報酬の支払い機能を備える。
    Googleは、2018年以降、バングラデシュ、インド、インドネシアで、ホスピタリティ、小売、倉庫管理、フードデリバリーといった需要の高い分野におけるエントリーレベルの求人アプリ「Jobs Spot」の立ち上げを発表した。2020年にJobs Spotを「Kormo Jobs」に名称変更してリリースした。(10月23日 AIM Group)
    https://aimgroup.com/2021/10/23/google-launches-taskmate-in-kenya/


    LinkedIn、「Services Marketplace」を正式公開

    LinkedInは、フリーランサーとサービスの依頼者をマッチングする「Services Marketplace」を正式公開した。3月に試験的に公開して以来、200万人のフリーランサーがServices Marketplaceに登録している。
    Services Marketplaceの特徴は、依頼者が自分の知人や友人からフリーランサーの推薦をしてもらえる点にある。LinkedInが行った最近の調査では、フリーランサーやサービス提供者を雇っている、または雇ったことがある人の82%が、良い候補者を見つけるには自分の人脈からの紹介が最適だと答えている。しかし、フリーランサーの場合、ビジネスのほとんどを紹介から得ていると答えた人の割合は、わずか38%だった。
    フリーランサーは、自身のサービス内容を記載した「サービスページ」を開設する。依頼者が同ページにアクセスすると、共通の人脈や、過去の顧客からの評価やレビューなどが表示される。依頼者は、フリーランサーとつながったり、フォローしなくても、「提案を依頼する」をクリックするだけで、依頼を送信できる。LinkedInの検索機能を使ってフリーランサーを検索することも可能である。
    サービスページには、プロジェクトの依頼、メッセージ、顧客リスト、レビューなどをLinkedInから直接管理できるダッシュボード機能がある。依頼者からの新着メッセージを知らせる通知機能もある。(10月27日 LinkedIn)
    https://www.linkedin.com/pulse/announcing-launch-linkedin-services-marketplace-matt-faustman/?trackingId=Fxg8nQYo%2F8sqI%2B%2BEXJoWvA%3D%3D

  • 【M&A】

    Fiverr、Stoke Talentを9500万ドルで買収

    5ドルからフリーランサーに仕事を依頼できるプラットフォームのFiverrは、イスラエルのフリーランサー管理システムのStoke Talentを9500万ドルで買収した。 Stoke Talentは、フリーランサーを対象とする求人情報の掲載、契約、プロジェクトの進捗管理、請求書処理や報酬の支払い、予実管理、税務、法令順守などの機能を備える。企業は、オンラインとオフライン両方の人材を囲い込む、自社独自の人材ディレクトリーを構築できる。
    Fiverrの創業者兼CEOであるMicha Kaufman氏は、「Stokeの買収により、より大規模な顧客との取引が可能となる。また、既にフリーランサーを抱えている企業にソフトウェアソリューションを提供し、オフラインの仕事をするフリーランサーの市場へアクセスできる」と説明する。(11月2日 Fiverr)
    https://investors.fiverr.com/press-releases/press-releases-details/2021/Fiverr-Acquires-Freelance-Management-Platform-Stoke-Talent/default.aspx

  • 【決算】

    ZipRecruiter、第3四半期決算は、前年同期比106.8%の増収

    求人検索サイトのZipRecruiterは、第3四半期決算を発表した。売上高は、前年同期比106.8%増の2億1270万ドルとなった。しかし、純利益は2200万ドルと4.5%減少した。
    同社は、第4四半期の売上高が前年同期比78~83%増の2億300万~2億900万ドルになると予測する。また、通年の売上高見通しを前年比73~75%増の7億2400万~7億3000万ドルに上方修正した。
    CEOのIan Siegel氏は、「人材需要は依然として高いが、一部の求職者が求職活動を躊躇している。需要が供給を上回っており、雇用水準はパンデミック以前をはるかに下回っている」と説明する。(11月10日 ZipRecruiter)
    https://ziprecruiter-investors.com/financials/quarterly-results/default.aspx


    DHI Group、第3四半期決算は、前年同期比13.3%の増収

    求人求職サイトを運営するDHI Groupは、第3四半期決算を発表した。売上高は前年同期比13.3%増の3075万ドルとなった。セグメント別では、IT系求人求職サイトのDiceが同12.4%増の2227万ドル、連邦政府のセキュリティクリアランスを必要とする仕事に特化したClearanceJobsが同15.8%増の848万ドルだった。Diceは、数年ぶりに成長に転じた。(11月10日 DHI Group)
    https://dhigroupinc.com/press/press-release-details/2021/DHI-Groups-Third-Quarter-Total-Revenue-Increases-13-as-Bookings-Increase-40-Year-Over-Year/default.aspx


    Fiverr、第3四半期決算は、前年同期比42%の増収

    Fiverr Internationalは、第3四半期決算を発表した。売上高は前年同期比42.0%増の7432万ドル、売上総利益は同41.8%増の6188万ドルだった。アクティブバイヤー数は同33%増の410万人で、バイヤー1人あたりの支出額も同20%増の234ドルとなった。
    同社は、第4四半期の売上高見通しを前年同期比33~39%増の7450万~7750万ドルと発表した。また、通年の売上高見通しを前年比54~56%増の2億9240万~2億9540万ドルに上方修正した。(11月10日 Fiverr)
    https://investors.fiverr.com/press-releases/press-releases-details/2021/Fiverr-Announces-Third-Quarter-2021-Results/


    Upwork、第3四半期決算は、前年同期比32%の増収

    フリーランサーマーケットプレイスのUpworkは、第3四半期決算を発表した。売上高は前年同期比32%増の1億2810万ドルとなり、純損失額は931万ドルに増加した。セグメント別の売上高は、マーケットプレイスが同34%増の1億1778万ドル、マネージドサービスが同19%増の1040万ドルとなった。
    グロスサービスボリューム(クライアントによるプラットフォーム上の総支出額と、クライアントおよびフリーランサーが支払うその他サービスの利用料)は、9億400万ドルと38%増加した。アクティブクライアント数は、同25%増の75万2000人となった。
    第4四半期の売上高は1億3000万~1億3200万ドル、通年の売上高は4億9600万~4億9800万ドルに達する見通しである。(10月28日 ZDNet)
    https://www.zdnet.com/article/upwork-delivers-uneven-q3-but-touts-904-million-of-total-value-sourced-from-platform/


    Apna、2020年度決算は前年比220%の増収

    インドのブルーカラー向け求人アプリのApnaは、2020年度の決算を発表した。売上高は、前年比220%増の1億7160万インドルピー(230万ドル)となった。しかし、支出額が同822%増の612万ドルとなったため、80万ドルの純損失を計上した。支出額の大半は従業員給付に起因しており、前年比で30万ドルから350万ドルに増加している。
    2019年に設立されたApnaは、2021年度に資金を複数回調達した。9月にはTiger Globalなどから1億ドルを調達。企業価値は11億ドルとなり、インドのスタートアップの中で最も早く、「ユニコーン」(評価額10億ドル以上、設立10年以内、未上場のテック企業)の仲間入りを果たした。この急成長の背景には、インドの非組織部門のブルーカラー労働者の採用が活発化していることなど、さまざまな要因がある。Apnaは、現在インドの42都市で事業を展開する。ユーザー数は1000万人を超え、求人掲載件数は500万件に達する。
    インドでは、Apna以外に、GoogleやWaahJobsもブルーカラーを対象とする求人アプリを公開している。(11月5日 AIM Group)
    https://aimgroup.com/2021/11/05/apna-fy20-21-revenues-increase-but-losses-mount/

  • 【調査】

    Indeed Hiring Lab、2021年10月の「Job Search Survey」を発表

    Indeed Hiring Labは、最新の「Job Search Survey」を発表した。10月の求職活動動向は、1カ月前と比べて大きな変化は見られない。
    2021年10月時点で、仕事を「積極的に探している、緊急である」と答えた人の割合はわずか11.1%だった。「積極的に探している、緊急ではない」は16.0%、「積極的ではないが、探している」は44.3%だった。仕事を積極的に探している人の割合は合計で27.1%となり、9月の28.7%から減少した。
    回答者全体の求職活動に大きな変化はないが、積極的に仕事を探している失業者は減少している。失業者のうち、積極的に仕事を探している人の割合は28.3%と、前月から3.8%ポイント減少した。6月は29.7%だった。
    積極的な求職者がいつ新しい仕事を始めたいかという質問については、「すぐに」と答えた人の割合は64.4%で、前月から2%ポイントの減少とほとんど変わらない。「今後1~3カ月以内に」は28.7%、「4~12カ月以内に」は6.1%だった。
    急いで仕事を探していない失業者にその理由を聞いたところ、最も多かったのは「家族のケア」で約25%だった。「新型コロナウイルス感染症に対する不安」は約24%、「配偶者が雇用されている」は約23%、「金銭的な蓄え」は約22%、「失業給付」は約8%だった。
    調査は、10月11~20日に米国で18歳から64歳までの成人5000人を対象に行われた。(11月2日 Indeed Hiring Lab)
    https://www.hiringlab.org/2021/11/02/job-search-survey-october-2021/

  • 【資金調達】

    Mogulが、ソフトバンク、Hearst Corporation、Match.com共同創設者のウィル・バンカー氏、Comcast共同創設者のジュリアン・ブロツキー氏などから資金調達。調達額は公表していない。ダイバーシティ人材採用プラットフォームのMogulは、性別、人種、退役軍人などさまざまな方法で優秀で多様な人材を絞り込み検索できるフィルター機能を備える。企業はMogulを通じて、195カ国、4億人の多様な人材プールにアクセスできる。
    Mogulは、エグゼクティブや役員の人材紹介サービスも提供する。多様な求職者と企業が交流するオンラインコミュニティも運営する。Anheuser-Busch、Bain & Co.、The Hershey Company、The Honest Company、Nike、Shopify、Stanley Black & Decker、United HealthcareといったFortune 1000を含む数百社の有名企業を顧客に持つ。

    https://www.businesswire.com/news/home/20211104005871/en/Diversity-Recruiting-Startup-Mogul-Concludes-Latest-Investment-Round


    Wonoloが、Leeds Illuminateなどから1億3800万ドルを資金調達。累計調達額は2億ドルを超えた。資金は、事業拡大やイノベーション、対象地域の拡大に充てる。すきま時間に働ける仕事を探す求職者と企業をマッチングするタレントプラットフォームのWonoloは倉庫、建設、食品加工、デリバリー運転手、イベント、清掃、事務、マーチャンダイジングといった求人を掲載する。2014年の開設以降、「Wonoloers」と呼ばれる100万人以上の求職者がアプリ経由で仕事を得ている。Wonoloの主な顧客は、Uniqlo、Aramark、Peloton、Driveline Retailなど。

    https://www.prnewswire.com/news-releases/wonolo-secures-138-million-in-new-funding-to-reshape-the-future-of-working-301403359.html


    Leverが、Apax Digital Fundから5000万ドルを資金調達。資金は、グローバルな事業拡大、研究開発への投資、テクノロジーパートナーのエコシステムの構築に充てる。特にタレントアナリティクスへの投資を継続し、顧客がDEI(多様性、公平性、包括性)対策の進捗状況を測定できるDEIアナリティクス機能を開発する。
    Leverは、ATSとCRM(採用候補者管理システム)の機能を合わせたプラットフォーム「LeverTRM(Talent Relationship Management)」を提供する。プラットフォームは、データを可視化したレポートを作成できる「Lever Analytics」機能も備える。採用担当者は、オファーの進捗や面接のフィードバックなどを確認し、経営幹部との戦略的な意思決定に役立てることができる。Leverは2021年に、Netflix、Spotify、Atlassian、KPMG、Nielsonなど、4000社以上にサービスを提供。また100社以上と技術提携や統合を行っている。

    https://www.prnewswire.com/news-releases/lever-raises-50-million-in-series-d-funding-to-better-hiring-experiences-301412363.html

TEXT=杉田真樹