HR Tech Roundup  海外のHRテクノロジー最新ニュースTikTok、米国で求人求職サービス「TikTok Resumes」の試験運用を開始、ほか

海外HR Techニュースリリースまとめ(2021年7月)

米国ではパンデミック以降の人手不足が深刻化している。米国労働省が発表した4月の雇用動態調査(JOLTS)によると、求人件数は928万6000件と前月から99万8000件増加し、前月に続き過去最高を更新した。企業は、さまざまな採用手法を駆使して人材確保を図っている。たとえば、Indeedの調査によると入社一時金を支給する企業が増加しているという。
7月は、リファラル採用管理プラットフォームのTeamableとEmployUsの買収など、HRテクノロジー企業のM&Aが多く報じられた。HRテクノロジー業界では、このほかにも、人事管理システムisolvedによるピープルアナリティクスTrenData HRの買収や、ピープルアナリティクスPerceptyxによる従業員サーベイWaggleの買収など、採用管理以外のさまざまな分野でM&Aの動きが活発化している。また、動画投稿アプリTikTokによる求人求職サービスの開始など他分野からの参入もあった。
資金調達関連の主なニュースでは、フルリモートで働く従業員の採用や給与支払いなどを管理するRemoteが1億5000万ドル、Oysterが5000万ドルの出資を投資会社から受けた。企業の多くは、パンデミックの影響でリモートによる採用を余儀なくされたが、これまで人材を採用することができなかった地域や国にも裾野を広げ、優秀な人材を幅広く確保できるようになった。今後もリモートワークは世界的に継続されると見込まれており、2社のさらなる成長が期待される。

  • 【新サービス・新機能】

    TikTok、米国で求人求職サービス「TikTok Resumes」の試験運用を開始

    TikTokは、動画で求人に応募する新しい求人求職サービス「TikTok Resumes」の試験運用を開始した。求職者は、履歴書の代わりに自己アピール動画をアプリで撮影し、ハッシュタグ「#TikTokResumes」をつけて、TikTokに動画を公開する。次に、専用サイト(www.tiktokresumes.com)でパイロットプログラムに参加する企業の求人情報を検索し、選んだ求人に動画のリンクを添えて応募する。同サイトでは、応募方法の詳細やサンプル動画、キャリアや就職活動に役立つアドバイス動画をTikTok に投稿しているクリエイターの一覧も確認できる。
    現在、Target、Chipotle、Shopify、Meredith、NASCAR、NBA、NHL、Sony Music、Abercrombie & Fitch Co.、Foreber 21など約40社がプログラムに参加している。応募の受付は7月31日までとなっている。(7月8日 TikTok)
    https://newsroom.tiktok.com/en-us/find-a-job-with-tiktok-resumes

  • 【M&A】

    TopFunnel、Teamableを買収

    候補者情報の収集、求職者と求人のマッチング、面接日時の調整といった採用業務をAIで自動化するソーシングプラットフォームのTopFunnelは、リファラル採用管理プラットフォームのTeamableを買収する。Teamableは、従業員による知人の紹介や求人情報の共有の促進、紹介後のプロセス管理の機能などを備える。Lyft、Canva、Spotfiy、ClassDojoがTeamableを利用している。
    TopFunnelは買収後、ソーシング(人材の発掘)から面接日時の調整までエンド・ツー・エンドで管理できるソーシングプラットフォームの構築を目指す。同社は2019年に、メールでの面接日時の調整を自動化するバーチャルアシスタントサービスClara Labsを買収している。(7月1日 Unleash Group)
    https://www.unleashgroup.io/2021/07/01/recruiting-startup-topfunnel-acquires-employee-referral-platform-teamable/


    Hireology、EmployUsを買収

    採用テクノロジーのHireologyは、リファラル採用管理ソフトウェアEmployUsの買収を発表した。Hireologyは、検索エンジンや求人求職サイトなどへの求人情報の掲載、応募者のスクリーニングやショートメッセージ(SMS)による対応、入社手続きや内定者研修の進捗など、採用マーケティングからオンボーディングまでを総合管理できるプラットフォームで、小売、自動車、医療、サービス業界の企業7500社以上に利用されている。
    Hireologyは、EmployUsの買収により、従業員による人材の紹介を促進するキャンペーンの設定、メールやSMSによる求人情報の配信、紹介された候補者に対するフォローの自動化、紹介者へのインセンティブの支給管理といった機能を自社のプラットフォームに取り込み、顧客企業のより幅広い採用戦略を支援する。
    EmployUsは、Syneos Health、Anderson Automotive Group、Krispy Kreme など世界50カ国以上の企業に利用されている。(7月13日 PR Newswire)
    https://www.prnewswire.com/news-releases/hireology-acquires-employee-referral-platform-employus-301332661.html


    YelloがWayUpを吸収合併

    採用管理プラットフォームのYelloは、ダイバーシティ人材の採用支援に注力するインターンシップや新卒者向け求人求職サイトのWayUpを吸収合併すると発表した。WayUpのチームはYelloに加わり、WayUpの共同創設者が合併後の経営を主導する。
    Yelloは、新卒と中途を対象とした、ソーシング、採用マーケティング、イベント管理、ビデオ面接や面接日時の調整などを総合的に管理できる採用プラットフォームである。オンラインでのキャンパスリクルーティングソリューションも提供する。
    WayUpは、CitiGroupやL’Orealといった大手企業から非営利団体まで、さまざまな規模や業種の企業にサービスを提供する。7000以上の教育機関に在籍していた学生や新卒者600万人以上の情報(学校名、専攻分野、卒業年度、地域、性別、人種など)を保有する。Yelloは今後、このデータベースをもとに、多様な学生を対象としたオンラインまたはキャンパスでの採用支援サービスを強化し、DEI(多様性、公平性、包括性)に関する企業の目標達成を後押しする。(7月13日 PRWeb)
    https://www.prweb.com/releases/yello_merges_with_wayup_helps_campus_recruiters_fuel_diversity_hiring/prweb18060839.htm


    DHI Group、eFinancialCareersをスピンオフ

    DHI Group(DHI)は、業績不振が続く金融系求人求職サイトeFinancialCareersの保有株式の過半数を同社の経営陣に譲渡した。DHIは40%の持分と代表権を維持する。
    DHIは、IT系求人求職サイトのDiceと、セキュリティクリアランス(機密情報取扱適格性審査)保持者向けの政府請負企業の求人を専門とするClearanceJobsも運営しており、今後は、業績が好調なDice とClearanceJobsの事業拡大に注力する狙いである。(7月1日 DHI Group)
    https://dhigroupinc.com/press/press-release-details/2021/DHI-Group-Inc.-Completes-Spinoff-of-eFinancialCareers-and-Guides-to-a-Return-to-Total-Revenue-Growth-in-its-Second-Quarter-Ended-June-30-2021/default.aspx


    Info Edge、Axilly Labsを買収

    インドの求人求職サイト運営会社Info Edgeは、テクニカルアセスメントプラットフォームDoSelectを運営するAxilly Labs を2億1000万ルピー(約280万ドル)で買収する。これにより、傘下の主力ブランドNaukri.comのオンライン求人サービス業界内での地位をさらに強化する。Info Edgeは今年6月にも、AIおよび機械学習技術を搭載した採用管理ソフトウェアプラットフォームZwayamの買収を発表している。(7月6日 Info Edge)
    http://www.infoedge.in/images/announcements/IEILReg30DoSelect06072021.pdf

  • 【調査】

    Indeed調査、入社一時金を提示する企業が増加

    米国では、人材を確保するため、入社一時金などのインセンティブを提示する企業が増えている。Indeedの調査によると、6月18日までの7日間に掲載された求人のうち、「サイニングボーナス」「サインオンボーナス」「リテンションボーナス」「ボーナス」「インセンティブ」といった記載のある求人の割合は4.1%と、前年の7月1日までの7日間(1.8%)から2倍以上に増加している。
    中には、新型コロナウイルスのワクチン接種者に対するボーナス支給や、州政府による失業者向け再就職手当制度に言及し、失業保険追加給付の終了について記載された求人情報もある。
    職種別にみると、インセンティブを記載する割合が最も高い職種は「運転手」で16.0%。次いで「歯科」(13.8%)、「看護」(11.3%)、「獣医」(11.2%)、「美容・ウェルネス」(11.2%)、「パーソナルケア・在宅医療」(9.1%)、「内科医・外科医」(8.0%)、「保育」(7.3%)、「医療技術者」(6.2%)、「セラピー」(5.7%)と続いた。
    同職種内でもインセンティブの支給額は、ばらつきが大きい。たとえば、「看護」では100~3万ドル、「飲食・調理」では100~2500ドルとなっている。
    また、このようなインセンティブを記載する求人を検索する求職者も増えており、検索件数は1月1日から6月18日にかけて半年で134%増加している。(6月24日 Indeed Hiring Lab)
    https://www.hiringlab.org/2021/06/24/employer-use-of-hiring-incentives-grows/

  • 【資金調達】

    世界各国からフルリモートで働く従業員の採用や労務管理をサポートするRemote、1億5000万ドルを資金調達。時価総額は10億ドルを突破。利用者数は8カ月間に10倍に増加

    https://remote.com/blog/remote-raises-series-b-unicorn-valuation


    世界各国からリモートワークで働く従業員やコントラクターの採用、給与や報酬の支払い、法令順守をサポートする人事プラットフォームのOyster、5000万ドルを資金調達。売上高は半年で6倍に増加、90カ国での採用を支援する

    https://blog.oysterhr.com/2021/06/22/oyster-series-b-announcement


    すきま時間で働ける求人検索アプリのInstawork、6000万ドルを資金調達。飲食、ホスピタリティ、イベント、小売、物流分野の求人を掲載(平均時給は18ドル)。登録者数は100万人超

    https://www.prnewswire.com/in/news-releases/instawork-raises-60mn-in-series-c-funding-to-rapidly-expand-its-work-marketplace-connecting-local-businesses-with-skilled-hourly-professionals-874587921.html


    インドのブルーカラー向け求人検索アプリのApna、7000万ドルを資金調達。時価総額は5億7000万ドル。利用者数は求職者1000万人、企業10万社超

    https://www.prnewswire.com/news-releases/apna-raises-70m-in-series-b-funding-from-insight-partners--tiger-global-at-570-million-valuation-301313268.html

TEXT=杉田真樹