Works Index 2019IndexⅢ ワークライフバランス

IndexⅢ「ワークライフバランス」は小幅上昇

Index Ⅲ「ワークライフバランス」は、65.6pt2018年)から66.0pt2019年)と0.4pt上昇した。2017年から2018年(64.6pt→65.6pt+1.0pt)と比べると、上昇幅は小さいものの、着実に改善していることがわかる(図表3-3-1)。

図表3-3-1 IndexⅢとその内訳
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Indicatorの内訳をみると、最も大きく上昇したのはIndicatorⅢ-2「休暇が取得できている」(59.2pt→61.2pt+2.0pt)である。一方で、Ⅲ-4「勤務時間や場所の自由度が高い」は低下した(35.6pt→34.7pt▲0.9pt)。

男女別にみると、男性が62.6pt(前年比+0.3pt)、女性が70.3pt(同+0.3pt)と、男性の方が水準は低いものの、男女ともにワークライフバランスが改善している(図表3-3-2、図表3-3-3)。年齢別では、特に女性の5564歳において前年比+0.9ptとしっかりと改善していることがわかる。

図表3-3-2 IndexⅢ(男性年齢別)
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図表3-3-3 IndexⅢ(女性年齢別)
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中小企業を中心に働き方は改善

企業規模別にIndexⅢ「ワークライフバランス」の推移をみると、企業規模問わずワークライフバランスが改善している(図表3-3-4)。30人未満の企業では上昇幅が小さい(前年比+0.1pt)ものの、3099人の企業で65.7pt(同+0.8pt)、100299人の企業で65.8pt(同+0.5pt)と、中小企業における働き方の改善が順調に進んでいることがわかる。中小企業においては、近年の人手不足から社員の離職防止と採用強化が、引き続き喫緊の課題となっている。20204月から残業時間の罰則付き上限規制が中小企業においても実施されることを受け、社員の働き方をより一層改善する動きが表れていると考えられる。

図表3-3-4 IndexⅢ(企業規模別、雇用者)
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有給休暇取得の義務化を受けて、
休暇取得率は大幅に増加

20194月からすべての企業において、5日間の有給休暇取得が義務化された(改正労働基準法)。有給休暇を半分以上取得できている人の割合は、2018年の51.4%から2019年の56.6%へと前年から5.2%pt 増加となった(図表3-3-5)。企業規模別にみると、中小企業の方が水準は低いものの、いずれの企業規模でもこれまで以上の上昇幅となっている。法施行を受けて、有給休暇の取得状況はこの1年間で大幅に改善したことがわかる。

図表3-3-5 半分以上の有給休暇を取得している割合(企業規模別、雇用者)
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週労働時間との関係をみると、35時間以上では、労働時間が長くなるほど有給休暇取得率が低いものの、労働時間にかかわらず前年と比べ全体的に有給休暇取得率が上昇している(図表3-3-6)。週60時間以上働いている長時間労働者においては、35.4%と水準は低いものの、休養を取得できる環境や体制の整備が徐々に進んでいる様子がうかがえる。

図表3-3-6 半分以上の有給休暇を取得している割合(週労働時間別、雇用者)
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5日間の有給休暇取得義務は、管理監督者(役職者)や有期契約雇用者も対象である。役職別にみると、役職の有無にかかわらず、有給休暇取得率は上昇している(図表3-3-7)。役職者では、役職が高くなるほど、有給休暇取得率は低い。上司が率先して有給休暇を取得することで、部下も取りやすくなると考えられるため、役職者のさらなる有給休暇取得の促進が求められる。契約期間別にみると、有期契約雇用者も無期契約雇用者もしっかりと上昇していることがわかる。

図表3-3-7 半分以上の有給休暇を取得している割合(役職別、契約期間別、雇用者)
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長時間労働者割合は引き続き減少

総務省「労働力調査」によると、2019年の年間就業時間は1869時間と前年の1901時間から32時間減少している(図表3-3-8)。週60時間以上働いている雇用者(長時間労働者)の割合も6.7%(2018年)から6.3%(2019年)へと減少している。

図表3-3-8 年間就業時間と長時間労働者割合
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出典:総務省「労働力調査」

企業規模別に長時間労働者の割合をみると、企業規模にかかわらず、長時間労働者は減少傾向にある(図表3-3-9)。また、役職別にみると、役職が高くなるにつれて長時間労働者の割合は高くなっていくことがわかる(図表3-3-10)。この1年間の変化をみると、課長職においてはほぼ変化していないものの、高位の役職者においても長時間労働者の割合が減っている。上司が率先して労働時間を減らすことが、部下の労働時間削減にもつながる可能性がある。今後も役職者の労働時間削減を促すことが重要になるだろう。

図表3-3-9 長時間労働者割合(企業規模別)
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図表3-3-10 長時間労働者割合(役職別)
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一方で、勤務時間の自由度は低下

IndicatorⅢ-4「勤務時間や場所の自由度が高い」が、2018年の35.6pt から2019年の34.7ptへと前年比0.9pt 低下した。前回2017年から2018年(34.8pt→35.6pt)に0.8pt 上昇したことから一転、今回は低下した。

勤務日、勤務時間、勤務場所のそれぞれについて、自由度が高い割合と低い割合の推移をみると、勤務日と勤務時間は自由度が高い割合がほぼ変わらない一方で、自由度が低い割合が増加している(図表3-3-11、図表3-3-12)。労働時間が縮減したことに加え、20194月から全企業を対象に、勤務時間インターバル制度の導入を事業主の努力義務として規定した労働時間等設定改善法が施行された。それを受け、労働時間のマネジメントが厳しくなり、これまでよりも勤務時間の自由度が下がったと感じるようになった可能性がある。

図表3-3-11 勤務日・勤務時間・勤務場所の自由度が高い割合
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図表3-3-12 勤務日・勤務時間・勤務場所の自由度が低い割合
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テレワーク制度の普及は引き続き拡大、
しかし制度適用者のテレワーク実施は増えず

勤務場所については、自由度が高い割合も低い割合も増加している。その理由を探るために、テレワークの適用状況とその実施時間の推移をみてみる。

テレワーク制度が会社に導入されている割合は11.4%(前年比+1.9%pt)であり、自身にも適用されている割合は5.7%(同+0.9%pt)である(図表3-3-13)。この1年で、導入企業も適用者も増えていることがわかる。企業規模別にみると、1000人以上の大企業での導入割合は25.3%であり、適用割合は10.8%と最も高い(図表3-3-14)。1000人未満の企業での導入割合は1割に満たず低水準であるものの、この1年間で増加していることがわかる。しかし、適用者は大きく増えていない。テレワーク制度の導入や適用には、セキュリティなどの環境整備にかかる導入コストや評価などのマネジメントにおける課題などがあり、導入や適用の拡大には、時間を要する。

図表3-3-13 テレワーク制度の導入・適用割合
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図表3-3-14 テレワーク制度の導入・適用割合(企業規模別)
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次に、テレワーク適用者について、実際にテレワークを行った時間の長さをみてみる。テレワーク適用者であるにもかかわらずテレワークを行っていない(0時間)割合は42.3%2018年)から44.7%2019年)へと増えている(図表3-3-15)。適用者であっても、半数近くは実行に至っていない。テレワーク制度を導入する企業が、テレワークに転換することが難しい業種・職種においても広がっていることで、全体のテレワークの実施率を抑えている可能性がある。そのことに加え、労働時間の制限がこれまでより厳しくなったことで、適用者に対するテレワークの運用管理を厳しくしている可能性もある。テレワーク制度そのものは普及してきているものの、実用面での課題はまだ残されている。

図表3-3-15 テレワーク制度適用者の週テレワーク時間
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