Works Index 2019IndexⅡ 生計の自立

IndexⅡ「生計の自立」は上昇

IndexⅡ「生計の自立」は、69.3pt2018年)から70.0pt2019年)と、0.7pt 上昇した(図表3-2-1)Indicatorの内訳をみると、IndicatorⅡ-1「自身の労働所得で単身世帯の平均支出額をまかなえている」は61.4pt(前年比+1.3pt)と大きく上昇している。一方で、IndicatorⅡ-2「自身の収入で生活を成り立たせている」は82.9pt(同▲0.1pt)と横ばいである。

図表3-2-1 IndexⅡとその内訳
3-2-1.jpg男女別にみると、男性では78.1pt(同+0.3pt)と微増であるのに対し、女性では62.3pt(同+1.1pt)と大きく上昇している(図表3-2-2、図表3-2-3)。年齢別にみても、すべての年齢層において女性の改善が目立ち、特に2534歳の層で大きく水準が上昇している(同+2.0pt)。また、5564歳においては、女性(同+1. 9pt )だけでなく男性(同+1.0pt)でもしっかりと上昇しており、定年前後の就業者での改善も目立つ。

図表3-2-2 IndexⅡ(男性年齢別)
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図表3-2-3 IndexⅡ(女性年齢別)
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低所得層を中心に労働所得が増える

IndexⅡ「生計の自立」の上昇の背景には、労働所得の増加がある。労働所得が増加する場合とは、①継続して働いている人の労働所得が増加する場合、②新たに労働市場に参入することで労働所得が増加する場合、の2つに分けられる。ここでは、①について特にどこの層において労働所得が増加したのかをみてみる。前の年の労働所得の分布別に、翌年に労働所得が増えた人の割合を算出してみると、100万円未満の低所得層で62.0%と、最も多いことがわかる(図表3-2-4)。女性やシニアを中心に労働参加が促進されたことによって、短時間で働く人や非正規雇用として働く人が、これまでよりも長く働くようになったり、正規雇用に移行したりしたため、低所得層を中心に労働所得も増えたと考えられる。

図表3-2-4 前年の労働所得分布別の翌年に労働所得が増えた割合
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労働所得の増加と消費支出の抑制で、生計自立度は上がる

IndicatorⅡ-1「自身の労働所得で単身世帯の平均支出額をまかなえている」は、ここ2年間において連続して上昇している(2018年:前年比+1.5pt2019年:同+1.3pt)。このIndicatorは、労働所得と消費支出の両面から、個人の生計自立度を測ったものであり、①労働所得の増加分が消費支出の増加分を上回る場合、もしくは②労働所得が増加し消費支出が減少した場合に、水準は上昇する。仮に労働所得が増加しても、その増加分だけ消費支出も増えた場合、水準は変わらない。

近年水準が上昇した背景を探るために、JPSEDの労働所得と総務省統計局「家計調査」の平均消費性向を用いて、2015年からの推移をみてみると、労働所得は増加傾向なのに対し、平均消費性向は減少傾向である(図表3-2-5)。つまり、②労働所得が増加し、消費支出が減少したことで、水準は上昇したことがわかる。近年、生計の自立度が上がっている背景には、個人の労働所得増だけでなく、個人が消費支出を抑えるようになったという消費行動の変化もあることに留意したい。

図表3-2-5 労働所得と平均消費性向の推移
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出典:総務省「家計調査」

広い世代で生計自立度高まる

年齢別に自身の労働所得で自分の生活をまかなえている人の割合をみると、25歳から64歳まで広い世代で増加している(図表3-2-6)。労働参加が促進され、労働所得が増加したため、生計自立度が高まったと考えられる一方で、65歳以上の高齢者についてはこの1年で減少している(55.8%→53.6%)。多くの企業で再雇用など定年以降の継続雇用が広まるなかで、60代前半の就業安定は進むものの、65歳を過ぎると安定して働ける機会が減ると考えられる。70歳までの就業機会確保を規定した関連法が20214月から施行されるため、今後65歳以上においても就業機会が増え、収入の安定化にもつながることに期待したい。

図表3-2-6 自身の労働所得で自分の生活をまかなえている割合(年齢別)

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