Works Index 2018IndexⅣ 学習・訓練

Index Ⅳ「学習・訓練」は反転上昇

Index Ⅳ「学習・訓練」は、31.3ptから32.5pt(前年比+1.2pt)と、この1年間で上昇した(図表3-4-1)。Index Ⅳ2016年から2017年にかけては31.8ptから31.3ptへ前年比▲0.5ptと低下していたが、今年は反転する結果となった。

図表3-4-1 IndexⅣとその内訳

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Index Ⅳを構成する4つのIndicatorをみると、大きく上昇したのはIndicator Ⅳ-2OJTの機会がある」(25.7pt →27.4pt)とIndicator-4「自ら学んでいる(自己啓発)」(24.7pt →26.5pt)であった。またIndicator Ⅳ-1「難易度の高い、多様なタスクの仕事が任されている」、Indicator Ⅳ -3Off-JT の機会がある」、もそれぞれ62.4pt(前年比+0.9pt)、13.6pt(同+0.5pt)と上昇している。2017年の結果から一転して全てのIndicator が上昇したという結果になった。
Index が特に大きく伸びたのは、25-34歳の男性と35-44歳の男性、また従業員規模でみると300999人、1,000人以上、また官公庁の伸びが大きかった(図表3-4-2 図表3-4-4)。

図表3-4-2 IndexⅣ(男性年齢別)

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図表3-4-3 IndexⅣ(女性年齢別)
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図表3-4-4 IndexⅣ(企業規模別)

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非正規の正規化がOJTの上昇に寄与

まず、OJTについて、詳細を見てみよう。就業者のうち、2018年にOJT(注1)を実施した人の割合は46.8%(前年比+2.7 pt)であった(図表3-4-5)。

図表3-4-5 就業形態別、学習・訓練の実施率(2017年、2018年)
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図表3-4-6 OJTを2018年に開始した人の割合(雇用形態の変化別)
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OJT上昇の背景には、非正規雇用者の正規化がある。2017年に非正規雇用者でありかつ2018年も非正規雇用者のままである人(非正規→非正規)のうち、OJTを新たに始めた人の割合は14.2%であった。一方、非正規正規の人のうち、OJTを新たに始めた人の割合は24.1%となっている(図表3-4-6)。非正規雇用から正規雇用への移行が進んだことが、OJTの上昇にある程度反映されたと推察される。

人手不足の業種でOJT 増加

次に、OJTの実施率を業種別にみてみると(図表3-4-7)、人手不足を背景に、今いる人材に投資をするという動きも見て取れる。たとえば、人材の確保に課題がある建設業では、OJT 実施率が前年比+3.7ptと増加している(注2)。飲食店・宿泊業(同+3.1pt)も同様だ。一方で、公務(同+3.5pt)や教育・学習支援(同+5.2pt)で伸びたことにも注目したい。雇用の流動性が低く教育投資のリターンが高いと考えられるこれらの業種では、企業による人的投資が伸長したと解釈できる。

図表3-4-7 OJTを実施している人の割合(就業者、業種別)
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自己啓発は、OJTの増加や
政策効果によって実施率が上昇

続いて自己啓発の上昇の背景をみてみよう。就業者のうち自己啓発の実施率は33.7%から36.4%へ前年比+2.7pt 上昇した(図表3-4-5)。この背景にあるのはOJTの上昇である。昨年の分析では、企業によるOJTが増加すると、それに触発されて、労働者が自己啓発に取り組むことが確認されており(注3)、今年度においても同様の結果が得られている。

2017年にOJTを実施せず、2018年にもOJTを実施しなかった人のうち、自己啓発を開始した人の割合は8.7%となっている(図表3-4-8)。一方、2017年にOJTを実施せず2018年にOJTを実施した人のうち、自己啓発を開始した人の割合は26.4%である。OJTの増加が、自己啓発の実施率が上昇した一つの原因となっている。

図表3-4-8 自己啓発を2018年に開始した人の割合(OJTの実施状況別)

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2018年はリカレント教育元年ともいえる年であった。政府を始め、メディアで学び直しの重要性が色々なところで打ち出された(注4)。政府がリカレント教育を打ち出し、学ぶことの重要性は徐々に認識されている。このような政策効果も今回の学習・訓練の上昇の背景にあるのだろう。

注1 ここでは、上司などからの指導を受けた場合や、指導はなかったがマニュアルなどを参考にして学んだ場合に、OJTが行われたものと定義している。
注2 リクルートワークス研究所(2019「第36回大卒求人倍率調査」を参照。
注3 リクルートワークス研究所(2018)『どうすれば人は学ぶのか
注4 人生100年時代構想会議ではリカレント教育の重要性が強調された。

※出典表記のない図表はすべて「全国就業実態パネル調査」から作成しています。
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