2.Great Place to Workランクイン常連 正社員の半数が週38時間未満労働

 

 

 

大学薬局 フィンランド・ヘルシンキ

 ヘルシンキ大学基金が出資して運営されている調剤・薬の販売を行う企業。2012年の取引高は2億7000万ユーロ。1755年に創業というフィンランドで2番目に古い企業で、ロシアやエストニア全土にも展開している(社員数は約1200人)。フィンランドのGreat Place to Work(働きがいのある会社)の調査で何度も上位にランクインしている。

 

 

 

 <大学薬局HR部長 リッタ・ウールマン氏 プロフィール> 

 

 1986年ヘルシンキ大学大学院行政コース修了。フィンランド最大の製薬会社オリオン製薬社、チョコレートメーカーのファツェル社などのHR部長を経て、2007年公募で140倍の倍率を突破し現職。保険会社に勤務する夫と22歳の長女、20歳の長男を持つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Great Place to Work(働きがいのある会社)調査で上位にランクインしている大学薬局は、社員に自律的な働き方を提供するために、極めて自由度の高い勤務体系を採用している。

 

 その表れが、正社員の実に約49%が週38時間未満の労働者であることだ。6週間ごとにシフト表を作成し、前もって勤務時間を決める。給与は労働時間に応じて支払われるため、時間が短くなるほど給与は低くなるが、自分のライフスタイルにあわせて自らの意思で勤務体系を決めることができる。たとえば、週3日24時間しか働かないことも可能だ。

 

 ほかの企業も経験してきた大学薬局HR部長のリッタ・ウールマン氏は、「この仕組みは薬剤師を中心とした会社しかできないことではない」と言う。給与が減っても柔軟な働き方をしたいという従業員の志向。それを認める会社の意思。交代要員として従業員の自由度をサポートするインターン生の存在。この3点が揃えば、どの企業でも応用可能だとウールマン氏は説明する。実際、多くの支店では60%が正社員で、残りの40%はインターン生が占める。インターン生のうち約20%が、その後正社員に登用されるという。

 

 この大学薬局が毎年Great Place to Workで上位にランクインする理由のひとつに、80%という従業員満足度の高さがある。HR部長のウールマン氏自身のミッションは、社員の満足度を向上させること、そして、病欠数を減らすこと。この目標を達成しているからか、上司であるCEOから彼女に対する要求はほとんどないという。

 

 

 

 

 

 <大学薬局 薬剤師リッタ・ホビンマー氏 プロフィール> 

 

 1980年ヘルシンキ大学数理学部卒業。同年大学薬局に入社。以来34年にわたり薬剤師としてトップクラスの業績を誇る。現在は週4日32時間働いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

社員の満足度を高める従業員本位の決定プロセス

 

 

 34年にわたり大学薬局で薬剤師を務めるリッタ・ホビンマー氏は、勤務評価が高くトップクラスのボーナスが支給されている。ホビンマー氏は、「新人は多くのことを大学で学んできたばかりなので逆に教わることも多い」と言うが、長年培った経験知がある。

 

大学薬局では従業員の強みと弱みに注目し、得手不得手に応じた業務分担が行われている。たとえば、処方箋による薬の提供が速い、カスタマーサービスが上手いなど、人それぞれの長所を活かすマネジメント能力がホビンマー氏の強みである。

 

 また、大学薬局では2年に1度の360度評価に加え、ボーナスを誰に配分するかについて、全従業員が投票で決める。社員はボーナスを受け取ることが妥当だと自ら考える人の名前を3~5名記入し、その投票結果を支店の社員代表が取りまとめ、支店長と相談して最終決定する運びだ。

 

 さらに、会社の経営方針の決定に各従業員が参加できる仕組みが担保されていることも、Great Place to workの調査では評価されているという。ホビンマー氏もこのプロセスに参加し、常日頃から意見を述べている。

 

「自分が重要な人材だと思えたこと」が、この会社に勤めてよかった理由だと彼女は語る。大学薬局で従業員の満足度が高いのは、柔軟な働き方が提供されていることに加え、参加意識と自己効力感の醸成が担保されているからであろう。

 



 

 

 

▲ページTOPへ戻る