1.大学と民間企業との深い連携

1.大学と民間企業との深い連携

北欧では、企業と個別の大学との提携に力を注ぐ。特に、企業インターンシップは大学院プログラムの修了要件にも組み込まれ、企業が選抜、育成、評価まで主体的に関わる。

 

<セシリア・フリッチ氏 プロフィール> セシリア・フリッチ氏

 1983年ストックホルム商科大学卒業。ストックホルム大学助手、IKEAやSwedish IT and Telecom Industriesのプロダクトマネジャーなどを経て、2002年にストックホルム商科大学キャリアセンターに勤務。20歳と22歳の二男を持つ母親でもある。

 

 

 

 

 

 

<船渡和音氏 プロフィール> 舟渡和音氏

 国際基督教大学(ICU)卒業後、日本での新聞記者経験を経て、1995年にスウェーデンに渡る。1996年から欧州日本研究所勤務、2006年からはストックホルム商科大学にて、交換留学を担当。2007年からはCEMS(Community of European Management Schools)のプログラムマネジャーも兼任。

 

 

 

 

 MBAコースでは北欧で1位、欧州でも上位にランキングされるストックホルム商科大学。日本とは東京大学、一橋大学、慶應義塾大学が協定校となっている。

  同大学キャリアセンターのセシリア・フリッチ氏は、「大学と企業のマッチングとしてはベストの大学である」と言う。大学に資金提供し、提携する企業数は100社にも及ぶ。

 学生の自治会と企業の双方がパーティによる対話やイベントを通じてコネクションづくりに力を注ぐ。

 応募したい、どんなに優秀な学生がいても、受け入れ企業がなければ始まらない。大学と企業との関係強化は、キャリアセンターの至上命令だ。彼女によれば約1800人の学生のうち、半数は何らかの形で企業インターンシップに参加する。そのほとんどが企業の正規採用につながっているという。

 ただし、学生はインターンシップ先に必ず就職するわけでもないようだ。ほかの企業から採用内定を得てそこに就職するというケースもある。学生たちは、インターンシップ先の企業での取り組みを履歴書に記述し、ほかの企業の就職面接の際のPR材料とする。

 北欧では、有給、無給、パートタイム、フルタイム、論文指導協力などさまざまな企業インターンシップの形態があるが、就職面接の際に「私は学生時代にこんな仕事をしてきました」と言えることが必須条件なのだ。

 

 

 

 

グローバル人材育成プログラム企業インターンシップが修了要件

 

 ストックホルム商科大学の大学院には、ヨーロッパ型の経営理論に基づくCEMS MIMと呼ばれるプログラムがある。担当マネジャーである船渡和音氏によれば、「マスターコースの1学年、約300人のうち 、直近では65人が選考試験を受けて、プログラムに参加できた学生は50人。学生の選抜には提携企業も参加している」という。

 CEMSプログラムでは、1年間のうち10週間、海外インターンシップに取り組まなければならない。これは修了要件になっている。

 受け入れ企業は、インターンシップに参加した学生を評価し、学生の成績となる。つまり、学生の選抜、育成、評価まで企業が主体的に関与しているのだ。

 船渡氏は、「CEMS提携企業に約38%が就職し、CEMSプログラム修了者は約82%が多国籍企業に就職している。さらに、このプログラムの修了者は卒業後3カ月以内に、95%が就職している」と就業状況を説明する。

 彼女によれば、企業インターンシップは、欧州ではこの10年で特に一般的になってきたが、CEMSメンバーの1校であるイタリアのボローニャ大学では全学生がインターンシップをしないと卒業ができなくなったことを挙げ、こうした動きが学部にも波及する可能性を指摘した。

 

 

 

 

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