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  Home > SPECIAL THEME > 続ワーキングパーソン調査の森 2006年2月
 バブル期入社世代編 続ワーキングパーソン調査の森
SPECIAL THEME Works Institute
リクルートワークス研究所
続ワーキングパーソン調査の森〜データで迫る働く人たちの実像
バブル期入社世代編 異世代つなぐプロデューサーになれるか?
ワークス研究所は、2000年から2年に1回「ワーキングパーソン調査」を実施しています。2004年の調査では首都圏で働く5800人を対象に、働く人々の実態と意識を調べました。正社員、派遣、パート、アルバイトなど多様な雇用形態と、性別を問わず幅広い年齢の働く人たちを網羅しています。
「続ワーキングパーソン調査の森」では、バブル世代、働く女性、独立意向を持つ50代など、テーマごとに調査データを抽出、分析。さらにテーマに沿った人物にインタビューを実施し、データとコメントでその実態に迫ります。
第一回は、「バブル期入社世代」に注目します。就職活動では多くの人が大手企業の内定を手に。しかし入社後はポストが減る一方で同期の社員は多く、出世は難しそうだったり、優秀な若手から追い上げられたり、なかなか厳しそうです。調査データからはどんな世代像が浮かび上がるのでしょうか。
図A
図 A 新卒で従業員1000人以上に就職した比率
今回は2004年の時点で35歳から40歳の大卒正社員を「バブル期入社世代」と置くことにした。彼らの大半は1987年から92年ごろに大学を卒業しているはず。まさにバブル景気の真っ盛りだ。「大企業に就職した人が多かった最後の世代」「強い雇用不安」「プロフェッショナル比率が高い」といった特徴が、データからは見て取れる。

3分の1超す「大企業に就職」
図Aを見てほしい。折れ線グラフは従業員1000人以上の会社に新卒で就職した人の比率を、5年刻みの世代ごとに示したものだ。棒グラフはバブル期入社世代(35歳から40歳)を取り出している。「新卒の就職先は大企業だが、その後転職した」という人も含めているため、「転職経験がなく、現在従業員1000人以上の会社で働いている」と、「転職を1回経験し、前職は従業員1000人以上の会社だった」の合計数だ。このようにはじき出した"大手新卒率"は、バブル期入社世代で35.9%。30〜34歳は29.9%、25〜29歳は24.2%となっており、バブル期入社世代以降ぐっと下がっていることが分かる。多くの人が大企業に就職した、最後の世代なのだ。

大手外資系メーカーに勤務するA男さん(39歳/経理/転職歴なし)は、「確かに内定を得るのは簡単でした。でも深く考えて就職先を決めたわけではなかった。大手にさっと決めてしまった感じ」と、当時を振り返る。大手食品メーカーに勤めるB子さん(36歳/リース業務担当/転職歴なし)は、「有名大学出身ではないし、この会社に就職できたのはバブルのおかげかもしれません。同期の400人にはいろんな大学の出身者がいます」と、大量採用ゆえの同期の多様性に言及した。

「リストラ候補」の不安も
大量採用世代だけに、「社内で余剰感がある」「リストラ候補」といった声も聞かれるが、その不安を裏付けるデータも示された。雇用環境について「不安を持っている」「少し不安を持っている」の合計は、バブル期入社世代で57.4%。45〜49歳の57.1%に並ぶ高さとなっている。「下の世代は厳しい就職活動を勝ち抜いてきた優秀な人が多い。人数が多い私たちがリストラの対象になるかもしれないという不安はありますね」(B子さん)。ワークス研究所の豊田義博主任研究員も「バブル期入社世代は簡単に大企業に就職し、入社後も比較的楽に仕事をしてきたため、ビジネスパーソンとしての基礎体力がついていない人も多い。下の世代からも厳しい評価を受けています」と指摘する。

もっとも、同じバブル期入社世代でも高い専門性を身に付けている人は、意見が異なる。地銀勤務のC男さん(37歳/資産運用/転職歴なし)は、「確かにほかの世代に比べて人数が多いのは事実ですが、私は市場価値が高い専門的な仕事をしているので、リストラの不安を感じたことはありません。ただ、支店の統廃合などでポストが減っており、上の世代のように出世するのは難しいかもしれませんね」と話す。

高いプロ比率と独立意向
次にこの世代のプロフェッショナル志向を見てみよう。図Bは世代ごとのプロ比率と、独立意向を持つ人の比率を示したものだ。独立意向については、どの世代よりも高いことが分かる。プロ比率は「自ら専門領域を決めていて、仕事に対する他者の評価も高い人」の比率だから、高い年齢ほど高くなる傾向があるが、バブル期入社世代でぐっと上昇していることが分かる。

2004年ワーキングパーソン調査では、「自分の専門領域を決めている」と回答し、かつ「自分が周囲からどのように見られているか」という質問に、6段階ある回答のうち上位2段階「広く社会に自分の仕事が、自分の名前で認められている」「仕事で、自分なりのやり方が高く評価されている」と回答した人をプロと定義した。

図B-1 世代別プロ比率
図B-1

図B-2 世代別独立意向がある人の比率
図B-2


C男さんは、資産運用の分野で経験を積んできた。「自らのプロ志向は高い」と認識しており、今すぐに独立する勇気はないが、専門性を生かした開業にも魅力を感じているという。大手外資系企業に勤めるD子さん(40歳/法務/転職歴あり)は、入社当時から専門性を求められる法務職を希望した。会社に所属してはいるが、「プロジェクトを委託されているという気持ちで常に働いているので、会社への帰属意識は希薄かもしれない」(D子さん)という。自己啓発のためにプロフェッショナルスクールの講座を受講しているA男さんは、「僕らの世代は仕事に対して自らの満足度を重視するところがある。そういったこだわりが多くのプロを生み出しているのかもしれません」という。

「自信たっぷり」バブル期のプロ
またバブル期入社世代のプロ人材にも特徴が見られた。「自信たっぷり」なのだ。図Cは「専門知識」「技術やノウハウ」「対人能力(コミュニケーションやリーダーシップなど)」「対自己能力(自己制御ややる気の維持など)」「対課題能力(企画立案や課題解決など)」の5つの能力について、「十分に持っている」と答えた人の比率を世代ごとに示したものだ。これも年を取るほど比率が高まるのが全体的な傾向だが、バブル期入社世代はおしなべて比率が高めだ。専門知識や技術ノウハウは全世代を通して最も高く、45〜49歳をも上回っている。"法務のプロ"D子さんは「自信は確かにありますね」という。一方で「できないことや限界も把握するようにしています」と謙虚な一面も見せる。

図C 十分にこの能力を持っていると答えたプロの比率 図C

妙なプライドを捨てられるか
このように見ていくと、一つの専門性を深く掘り下げる、エキスパート型プロになることが、バブル期入社世代が生き残る唯一の道のように思えてくるが、本当にそうだろうか。豊田主任研究員はもう一つのこの世代の特徴として、「ヒューマンスキルの高さ」を挙げる。「人とのつながりを大切にし、人を上手に使うコミュニケーション能力に優れた世代。同じ世代間や若手とおじさんをつなぐ役割を担えるかもしれない。またこれまでは知識やスキルの有無が重要視され、エキスパート型のプロが高い評価を受けてきたが、今後は対人能力や調整能力も重要になってくる。バブル期入社世代は、プロデューサー型プロとして活躍する可能性を秘めています」。一方で企業の人員構成などを見ると、今後この世代がリストラ対象となる可能性は低くないという。「40歳を過ぎて希望退職などの対象になったとき、大企業育ちという妙なプライドを捨てて、中小企業に新たな活躍の場を求められるかどうか。その時の対応も、彼らの未来の明暗を分けることになるでしょう」(豊田主任研究員)
(文:向江睦 データ分析:小泉静子 編集:五嶋正風)


ワーキングパーソン調査の報告書はこちら
ワーキングパーソン調査は、ワークス研究所が 2000 年から 2 年に 1 度のペースで実施している。調査の目的は働く人々の実態と意識を明らかにすること。2004年の調査では首都圏で働く5800人を対象とした。正社員、派遣、パート、アルバイトなど多様な雇用形態と、性別を問わず幅広い年齢の働く人たちを網羅している。
今回抽出したデータについて
調査を実施した2004年時点で、35歳から40歳だった男女の正社員、1014人。
(2006年2月8日掲載)

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