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 フリーター やめる人と続ける人の違い ワーキングパーソン調査の森
SPECIAL THEME Works Institute
リクルートワークス研究所
ワーキングパーソン調査の森〜働く17000人探索レポート
フリーター やめる人と続ける人の違い
フリーター。リクルートのアルバイト情報誌『フロム・エー』が 1980年代後半に世に送り出した造語で、「定職に就かず、主にアルバイトで生計を立てている人」を意味する。日本にはどのくらいのフリーターがいるのだろうか。『国民生活白書』によれば、1990年の 180万人に対して 2001年は 417万人と、ここ 10年で急増している。今回は「フリーターから正社員に転身した人と、フリーターを続けている人」の比較を中心に、その現状に迫ってみたい。。
図A
図 A 最初の仕事がフリーターだった人の割合(世代別)
フリーターをめぐる状況は大きく変化
「ワーキングパーソン調査」のデータによると、最初の仕事が「フリーター」だったと答える人の割合は若い世代ほど多く、18〜24歳では 35.6%に達している(図A)。冒頭述べた近年のフリーター増加現象は、若い世代ほど顕著なのだ。彼らはなぜ、フリーターになるのだろうか?

「自分の可能性に枠をはめたくない」「気楽だし、アルバイトでもけっこう稼げるから」――。かつて「フリーター」という言葉が登場したころ、そのイメージは「気ままな若者」であり、実際、あえてフリーターという立場を自ら選ぶ人も多かった。しかし現在のフリーターたちの声を聞くと、状況はかなり違ってきているようだ。

「もちろん就職活動はしました。でもどこにも決まらなかったから、仕方なく書店でアルバイトを始めたんです。すると周囲に同じような人が大勢いて、まだフリーターでも大丈夫かな……なんて、なんとなく安心してしまったんですね」( Aさん 23歳 女性 書店アルバイト)
長引く不況の中、正社員になりたくても就職先がないという理由で、最初の仕事がフリーターとなるケースが多発しているのだ。図Bを見ても、フリーターの就業形態満足度は低い。また、希望する就業形態をフリーターに聞くと、「フリーターのままでよい」という人はわずか 13%。実に 7割が正社員になることを希望している。

図B
図B フリーターと正社員の就業形態満足度
※「満足している」は「とても満足」「まあ満足」の合計
「満足していない」は「あまり満足していない」「全く満足していない」の合計


「就職した友達が海外旅行に出かけたり、洋服を買ったりするのを、指をくわえて眺めています。親元にいるからなんとかなっているけど、一人暮らしだと、とてもやっていけません。それにいつ解雇されるか分からない不安もあるし、やはり正社員になりたいと思っています」( Aさん)
と、正社員として就職する道を模索している。

データによれば、フリーターの平均年収( 34歳以下の未婚者)は 165万円で、正社員( 34歳以下の未婚者)の 338万円と比較して収入の差は明らかだ。ただ、正社員を目指す理由は収入だけではない。給与以外の待遇や任される仕事の内容にも不満があるようだ。

「最近、出版社で正社員になりましたが、まだ給料は安くて大変。家電量販店で販売のアルバイトをしていたときの方が、かえってお金にはなっていましたね。営業成績がよかったですから」( Bさん 29歳 男性 かつて量販店でアルバイト)
だが Bさんも、ずっとフリーターのままでいいとは思っていなかった。
「社会保険や福利厚生を考えれば、アルバイトでは不安。なにより、アルバイトでは任される仕事に限界がありました。だから収入が一時的に減っても、将来性があって打ち込める仕事を見つけて、正社員になりたいと悩んだものです」と、Bさんはフリーター時代を振り返る。

正社員に転身は 2割強
いくら希望しても誰もが Bさんのように正社員へと転身できるわけではない。最初の仕事がフリーターだった人が、正社員に転身する割合は 2割強にとどまっている(図C)。

図C
図C 最初の仕事がフリーターだった人 現在の就業形態


ではフリーターから正社員に転身した人たちと、フリーターを続ける人たちにはどんな違いがあるのだろうか。

「正社員へとすんなり転身できるのは 25歳ぐらいまで」と、多くのフリーター経験者が語っている。データではどうだろうか。「34歳以下で、最初の仕事がフリーターだった」という人のうち、「現在の仕事もフリーター」という人に年齢を聞くと、「18〜24歳」が 8割を占める。またフリーターの経験年数を聞くと「3年未満」が 7割を超す。フリーターから正社員に転身するなら、やはり 25歳前後はひとつの目安といえそうだ。

前述の Bさんの例を見てみたい。
「20代半ばで電器店の販売から、編集プロダクションへとアルバイトを変え、その後出版社の契約社員、正社員と経験を重ねました」
正社員になったのは 20代後半だが、Bさんはこう語る。
「中途で正社員になるには即戦力であることが要求されますから、アルバイトといえどもキャリアアップを意識して仕事をしたのがよかったと思います」(Bさん)

職種にはどんな傾向があるのだろうか。フリーターから正社員になった人と、今もフリーターである人を比較すると、フリーター離脱者は前職が事務職、技術・専門職だった比率が高い。フリーターでもこれらの職種に携わっていれば、正社員に転身する確率が高いといえる。「任された仕事で一人前になるのに必要な期間」をみると、「今もフリーター」は「1週間から 1カ月」が 3分の 1を占めるのに対し、「今は正社員」は「1年から 3年」が 2割近い。平均労働時間でも「今は正社員」が週 5時間ほど長くなっている。1人前になるのに 1年から 3年かかる、事務職や技術・専門職に従事し、労働時間も比較的長いフリーターには、正社員への転身という道も開けているといえるだろう。

図D

図D 「今は正社員」「今もフリーター」比較 (1) 前の仕事の職種(クリックで拡大)
※ 前職がフリーターで転職経験のある人を、「転職後は正社員」「転職後もフリーター」に分けて比較している。


図E
図E 「今は正社員」「今もフリーター」比較 (2)
一人前になるため必要な期間/フリーター時代の労働時間(クリックで拡大)
※「今は正社員」「今もフリーター」いずれも転職前の仕事について回答している。


新卒正社員だけではない就職の道
ギャップインターナショナルに勤める Cさんは、新卒の正社員採用というルートだけが就職の道ではないと強調する。

「就職活動の最中、ある会社の面接の帰りに、たまたま服を買おうと GAPに立ち寄ったのがきっかけで、アルバイトとして入社しました。数年前から正社員に登用され、今はマネジャーの仕事をしています」( Cさん 27歳 男性 ギャップインターナショナル勤務)

一部のアパレル系企業では、アルバイトとして高い成果を挙げたスタッフを正社員に登用する仕組みが整備されており、フリーターの仕事への意欲を高めている。「アルバイトとしての経験や吸収したものが、今の仕事にとても役立っています」( Cさん)
自分自身フリーターを経験しているから、後輩フリーターの気持ちもよく分かり、リーダーシップも発揮しやすいと Cさんはいう。

同じく GAPでアルバイトをする Dさんからは、こんな発言もあった。
「もともと、私はある会社の正社員だったんですが、それを辞めて、あえて GAPでのアルバイトを選びました」( Dさん 23歳 女性 ギャップインターナショナル勤務)

彼女に理由を尋ねると、
「前の会社は、正社員であっても女性の活躍できる場は非常に限られていた。先輩の仕事を見ても補助的な仕事しか任されていませんでした。アルバイトという立場に不安はありますが、GAPではステップアップすればいろんな可能性がある。まずは『目指せ正社員』です」( Dさん)

現実に多くの若者がフリーターとなっている中、フリーターのやる気や能力を引き出し、自社の人材ポートフォリオにうまく組み込んだ企業こそが、厳しい競争に生き残っていけるのだろう。また優れた人材を活用するにも、フリーター増加という社会問題を解決するためにも、社員登用への道を整備することが求められるのではないだろうか。(文:河野比呂 データ分析:小泉静子 編集:五嶋正風)


ワーキングパーソン調査の報告書はこちら
ワーキングパーソン調査は、ワークス研究所が 2000 年から 2 年に 1 度のペースで実施している。調査の目的は、日本の 3 大都市圏(首都圏、大阪、名古屋)で働く 17000 人を対象に、働く人々の実態と意識を明らかにすること。調査対象はパート、正社員、派遣、フリーターなど、様々な雇用形態で働く老若男女を網羅している。

※ 今回抽出したデータについて

前職がフリーターまたはパートで、34歳以下、未婚の男女のうち現在は正社員の人 195人、現在もフリーターの人は 472人。
(2004年6月16日掲載)

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