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 年収低い方が「派遣という働き方」に満足? ワーキングパーソン調査の森
SPECIAL THEME Works Institute
リクルートワークス研究所
ワーキングパーソン調査の森〜働く17000人探索レポート
年収低い方が「派遣という働き方」に満足?
〜派遣社員の 4分の 3占める女性に注目
最近、人材派遣会社のテレビCMや、登録を募集する求人広告が目立ち、それに対応するように若い女性を中心に「職業は?」と尋ねられて「派遣です」と答える人が増えている。「派遣は職業ではないのでは……」といいたくもなるが、それほど「派遣」という雇用形態が一般的になっているといえるだろう。2002年度、日本の派遣労働者数は 213万人(厚生労働省発表の労働派遣事業事業報告)。また派遣社員の 4分の 3を女性が占めている(2002年版総務省就業構造基本調査)。派遣という雇用形態では、どんな人たちが働き、自分の仕事や職場環境をどう評価しているのか。今回は派遣労働者として働く女性に焦点を当てて現状を探ってみた。
図 A 派遣就業者の年収別就業形態満足度(クリックで拡大)
「派遣」とはどんな雇用形態か
労働者派遣法によれば、人材派遣会社と雇用契約を結び、定められた期間に派遣先の業務命令に従って仕事をするのが「派遣労働者」だ。「派遣」という雇用形態は、わが国では 1970年代ごろから広まった。当初は例えばキーパンチャーや研究開発職、実務の専門家など、スペシャリスト的な仕事が対象だった。ところが、最近の傾向として顕著なのは、一般事務職や営業補助的な仕事などで派遣労働者が急増していることだ。

「仕事は、主に競争入札に申し込むための書類づくり。そのほかに雑用もこなします」(建設会社勤務 Aさん 30歳)
こんな例が増えているのだ。
「結婚しているので、週に 3日という契約で、事務系の仕事をしています」(流通業勤務 Bさん 29歳)
といった、パートタイマー的な仕事も派遣の対象となっている。仕事内容の多様化とともに、年収にも幅が出てきているようだ。1999年には労働者派遣法が改正され、派遣可能な業種や派遣期間などの規制が緩和されたため、今後ますます派遣労働者の活躍の場は多様化していくだろう。

勤務形態や職場の雰囲気、ブランドを評価
図 A は、年収別に派遣という就業形態に対する満足度を聞いたデータだが、興味深い結果が出ている。「年収が低いほど、派遣という就業形態への満足度が高い」という、常識とは逆の現象が見られるのだ。ちなみに男性の派遣社員に同じ質問をした場合は逆で、年収が高いほど派遣という就業形態に満足している。

「将来は海外に住みたいという希望があります。勉強もしたいし、そのためには給料が安くても時間の自由が利く方がいい。派遣の女の子は給料が安いと分かっているから、周りからかわいがられるという特権もあるし……」(石油会社勤務 Cさん 25歳)
彼女の場合は、柔軟な勤務形態や職場の雰囲気を評価して、現在の仕事に満足しているという。

「正社員で入社するのは難しいけど、派遣だとメジャーな企業で働くことができていいですね」(広告代理店勤務 Dさん 28歳)
と、ブランド志向的な考えを持つ人もいるようだ。これら収入以外の満足を派遣という働き方から得ていることが"逆転現象"の一要因かもしれない。

「年収が低いほど派遣という就業形態への満足度が高い」という傾向は、既婚者でより顕著になっている。年収 200万円未満の既婚者では、実に 85%が「雇用形態に満足」と答えているのだ。

既婚の女性派遣社員、年収百万円未満が 4割
「家庭のことが大事なので、やはり休みや就業時間のことでわがままがいえる環境に満足しています。家庭の事情の変化にも対応してもらいやすいですしね」(流通業勤務 Bさん 29歳)
共働きであっても、収入を得る主役は夫、家庭を守る主役は妻という考え方が、既婚女性が休みや勤務時間の自由が利くことを重視する背景にはあるようだ。ちなみに既婚の女性派遣社員で、年収 100万円未満は 4割を占める。未婚者の 7%とは大きな開きがあるが、これは夫の扶養から外れないように収入を抑えた結果だろう。ここにも「収入面で家庭を支える主役は夫」という考え方が見え隠れする。「結婚」も"逆転現象"を説明する一つの要素といえそうだ。


図B 女性派遣社員の 4タイプ


既婚、未婚者で違う職場の評価項目
女性の派遣社員は既婚、未婚、年収の高低(年収 200万円〜 400万円未満と、年収 200万円未満)で 4タイプに分類できる(図 B )。図 C は職場の現状評価について、4タイプで評価度が大きく違っている項目を取り出したものだ。それぞれのタイプの特徴をデータで見てみよう。A タイプと C タイプにあたる未婚女性が、収入の高低にかかわらず評価しているのが「職場が美しく快適である」と「企業そのものや商品ブランドとして広く認知されている」の 2項目。裏を返せばこの 2項目の評価が高いから、派遣社員として働いているとも読み取れる。一方で B タイプ、D タイプの既婚者はこれらの評価が低い。特に D タイプ、年収 200万円未満の既婚女性で「職場の美しさ」を評価する人はゼロだ。ちなみに D タイプの女性が最も評価するのは「雇用が安定している」となっている。また既婚女性( B、D タイプ)が収入にかかわらず高く評価する項目は「責任ある仕事を任せてもらえる」となっている。家庭という守るものができると、職場の見方も変わってくる。そんな解釈ができる。


図C 職場の現状評価(既婚、未婚、年収別)(クリックで拡大)

未婚で収入が高い A タイプと、既婚で収入が高い B タイプで共に評価が高かったのは、「やりたい仕事ができる」「経験・専門性が生かせる」だった。派遣という仕事で比較的高い収入を得る人たちには、仕事の内容にこだわるプロ志向が目立つようだ。

このように派遣社員という雇用形態で働く女性も、ライフステージに応じて仕事に求めるものは多様だ。「派遣社員はだいたいこんなもの」と思い込み、それに基づいて画一的なマネジメントをしてはいないだろうか。再点検してみる必要があるだろう。(文:河野比呂 データ分析:小泉静子 編集:五嶋正風)


ワーキングパーソン調査の報告書はこちら
ワーキングパーソン調査は、ワークス研究所が 2000 年から 2 年に 1 度のペースで実施している。調査の目的は、日本の 3 大都市圏(首都圏、大阪、名古屋)で働く 17000 人を対象に、働く人々の実態と意識を明らかにすること。調査対象はパート、正社員、派遣、フリーターなど、様々な雇用形態で働く老若男女を網羅している。

※ 今回抽出したデータについて

調査時点での雇用形態を「派遣社員」と回答した女性、123人を対象としている。
(2004年2月19日掲載)

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