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| 「公務員」という職業の実像に迫る ワーキングパーソン調査の森 | |
リクルートワークス研究所 |
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ワーキングパーソン調査の対象者 1万7000人には、900人を超える公務員の人たちも含まれている。公務員たちは職場や仕事をどう評価しているのか。実際のところ労働時間はどのくらいで、収入は高水準なのか、そうでもないのか。実像に迫ってみた。 |
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世の中に影響を与えられるが、正当には評価されない?
公務員の人たちは、勤務先や仕事内容をどう評価しているのだろうか? 図 1 をみると、やはり公共性の高い仕事だけに、「世の中に影響を与える仕事ができる」「社会に貢献している」「雇用の安定」という点を高評価している人が多数のようだ。半面、「やりたい仕事ができるか」「業績が正当に評価されているか」という面では否定的な見方がかなり多い。前例や上司に縛られがちで、決められた仕事をこなすしかない現実があるのかもしれない。 首都圏近郊の市役所勤務の A さん(36歳/男)は、「同年代で民間企業に勤める人に比べれば、自分の裁量で決定できることが少なく、いわれたことをやるという面が強いですね。ただ、がんばった仕事が直接市民生活の向上に役立っているのを実感できるのが、やりがいにつながっています」と語る。まさに社会貢献や世の中への影響を高く評価しているケースだ。 やりたい仕事ができるという面では、データとは食い違う話もあった。県立高校教諭の B さん(43歳/男)は、「教師を始めたばかりの人も、40歳の人も、授業を任され、本人が教え方を考えるのが教師という仕事。若いときは、それがかえって大変ということもありますが」。技術系の職種で都庁に勤める C さん(32歳/男)も、「仕事の内容は、簡単にいえば水質や土壌の汚染に関する調査。大学での専門分野とは異なりますが、基本的にはやりたい内容の仕事ですね」と話す。一口に「公務員」といってもその範囲は非常に広く、さまざまな職種があることは留意すべきだろう。 年齢で異なる勤務先の評価 続いて図 2 を見てみよう。同じ公務員でも年齢によって、勤務先の評価が異なっている点が興味深い。まず 20代前半では、「社会貢献」に対する評価が高い。34歳以下ではおしなべて「責任ある仕事」「やりたい仕事ができるか」「経験・専門性が生かせるか」という項目で評価が低いが、30代後半以降になると、これらの項目の評価が上昇、特に 30代後半から 40代にかけて「やりたい仕事ができる」点を肯定しているのが分かる。 ![]() 社会貢献に燃えて公務員になったが、実際に働きだすと、思うように仕事を任せてもらえず、やりたいことが簡単には通らない環境にぶつかる。しかし、経験を重ねて 30代後半以降になれば、それなりの地位に立ち、やりたいことも実現できつつある−−という構図が浮かび上がる。「年功序列ということもあり、ある程度年齢が上になって責任ある立場にならないと、思うようには仕事できないという面は強いと感じます」(都庁勤務の C さん)という声は、この見方に符合する。また、全体的に高数値の「雇用が安定している」だが、18−24歳が 90%と特に高くなっているのも気になる点だ。このところ不景気の影響もあって、公務員志望者は増えているようだが、若い世代ほど「仕事内容は問わない。クビにさえならなければ」という"寄らば大樹"志向の人が増えていないか。そんな若手ばかりで、山積する行政課題に立ち向かっていけるのかと、心配になってくる。 業績の正当な評価には疑問の声 「仕事ができてもできなくても、採用区分と年齢によって収入が固定される。早く役職に就いても、年齢が同じなら役職なしの人と給与は同じということもあります。そこで、どうしてもできるだけ要領よく、あまり仕事はしないで……という発想の人が出てきてしまいますね」(首都圏近郊の市役所勤務の A さん) 「やる気のある先生に仕事が集中して、その人は休みもなくなる。そんな傾向があります。でもそういう人の昇進が早いかというと、むしろその逆なのです」(県立高校教諭 B さん) 「昇進試験がありますが、仕事ができる人ほど忙しくて受けられなかったり、勉強する時間もなかったりします」(都庁勤務の C さん)。 というように、取材した人たちの多くが、業績が正当に評価され、昇進に結び付いているかに疑問を感じている。その結果か「仕事を頑張れば昇進し、給与も上がるということでモチベーションを維持するのではなく、自分の教えた生徒が成長して幸せになることにやりがいを感じないとやっていけませんね」(養護学校教 D さん 36歳/男) というように、給与や昇進以外に仕事の意義を見いだす人もいるようだ。 短い労働時間なのに高収入なのか 続いて年収と労働時間を見てみよう(図 3 )。まず年収は、1000人以上規模の民間企業とほぼ同じという調査結果で、水準はかなり高い。「給与は人事院が定める俸給表によって決まり、諸手当も法律で決められています。基本的には 1 年ごとに昇給するので、給与は安定していると思います」(中央省庁勤務の E さん/男)。金額はガラス張りだが、安定しているうえ、かなり高い給与水準となっているようだ。一方で労働時間は、民間企業と比べ週 3 時間ほど短くなっている。「基本的に 9時30分〜17時45分の勤務ですが、部署によって、また時期によって、大きな違いがあるのが現実。私の場合、夜はエンドレスということも多々あります」( E さん)というように、実際は多忙で、労働時間の長い部署も一部あるようだ。しかし同時に完全に定時で仕事が終わる職場、部署も相当数あるため、平均すれば民間企業よりかなり短いという結果になるようだ。競争の激化で仕事は減らず、採用抑制やリストラで人手は減る。労働時間はむしろ増えているのに、賃金は抑制気味という民間企業は多いだろう。それらとは別世界の感はぬぐえない。 ![]() ただ、国会関連施設で働く F さん(50歳/女性)によれば、「育児休暇もとりやすいし、子育てが落ち着いてから職場復帰もできるなど、女性にとって働きやすい環境が整っています」という話もある。女性の社会進出について、民間を指導する立場にあるぐらいだから、役所が率先して女性が働きやすい環境を整えているという面はありそうだ。 勤務先の現状評価では、雇用が安定していると評価する声が8割を超す。まだまだ厳しい環境が続く民間企業から見ればうらやましい話だが、「公務員の数が多すぎるという声は、今非常に高くなってきていますよね。基本的には採用を控えることで数は減らせるのですが、それでも私たちのような事務職は、今後はうかうかしていられないという不安はあります。実際私から見ても、こんなに人数いらないんじゃないの? と思うこともありますから」と国会関連施設勤務の F さんはいう。構造改革の行方によっては、公務員といえども不安はゼロではないのかもしれない。(文:河野比呂 データ分析:小泉静子 編集:五嶋正風) ワーキングパーソン調査の報告書はこちら |
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| (2003年10月1日掲載) |
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