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| 若者の「やりたい仕事」編 続ワーキングパーソン調査の森 | |
リクルートワークス研究所 |
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ワーキングパーソン調査には、今の勤務先を選んだ理由を聞く質問がある。若い人ほど選択率が上がり、18〜29歳の 4割近くが選んでいる項目が「やりたい仕事ができる」だ。確かにやりたい仕事ができているかを気にしている若者は多いようだが、読者の皆さんはどう感じているだろうか。「やりたい仕事派」の若者をいろいろ分析してみると、この言葉に期待する内容は、人によってどうも違いがあるようで、いくつかのタイプに分類ができた。今回はわかるようでよくわからない、若者のいう「やりたい仕事」の正体に迫りたい。 |
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表A-1 現在の勤務先選択理由(複数回答、%) |
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表A-2 正社員の勤務先選択理由(複数回答、%) |
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まず、勤務先選択理由に「自分のやりたい仕事ができる」と回答した人が、どのような特徴を持っているのかを明らかにしよう。年齢層別に見てみると、最初に述べたように年齢が若い人ほど重視する傾向が強く、18〜29歳では39.7%と 4割近くを占める。この傾向は正社員、非正社員を問わないが、非正社員より正社員のほうに「やりたい仕事派」は多い。
中小企業に多い「やりたい仕事派」 18〜29歳の若者層でまず注目したいのは、勤務先の企業規模別に見て「やりたい仕事派」はどう分布しているかだ。「やりたい仕事派」は中小企業勤務者に多く分布している。従業員9人以下の企業に全体の21.4%が存在するのに対し、1000人以上の企業には15.8%しか存在しない。1000人以上の企業で多くを占めるのは「待遇が良い派」(23.8%)と「雇用が安定派」(28.2%)だ。「やりたい仕事派」正社員の平均年収は315.5万円で、18〜29歳全体の平均332.9万円より17.4万円低い。 図B 『やりたい仕事派』とその他の会社選択理由者がどの企業規模に分布しているか ![]() 図C 会社選択理由と平均年収 ![]() 中小企業に就職する人は高待遇や雇用の安定は望みにくい。結果、やりたい仕事 ができることを勤務先選択理由に挙げる人が多くなる。大企業に比べると給与の低い中小企業の人が多いから、平均年収も低くなる−−。このデータは、そう読み取ることもできる。だが従業員数20人のベンチャー企業に勤務するAさん(28歳、男性)は、こう話す。「新卒のとき、大手企業からも内定を得ましたが、詳しく仕事の話を聞いていくと、自分の好きな仕事に就ける保証がないことが分かりました。それなら規模は小さくても、最初から好きなことができて、自分の裁量で仕事を進められる会社がいいと思ったわけです。給料は大手企業に行った大学の同期と比べて少ないのは否めません。ただ、やらされ感をもって仕事をするより、自分のやりたい仕事をできるこの会社を選んだことに後悔はありません」。つまり「やりたい仕事派」は、やりたい仕事に就けるなら、就職先の規模が小さいことも、年収が低いことも厭わないと、見ることもできる。 仕事への満足度は高い 仕事に対する満足度を見ると、後者の見方がより裏付けられる。「やりたい仕事派」の「非常に満足」は16.0%で、他の勤務先選択理由を挙げた人をすべて上回る。また「非常に満足」「まあ満足」の合計は8割を超す。こうした満足度が高い傾向は、正社員でより顕著になっている。 「やりたい仕事派」の若者の仕事満足度が高いのならば、とにかく彼らがやりたいと思う仕事を担当してもらうことが、意欲を高め、生産性を向上させ、ひいては能力を向上させるための特効薬ということなのだろうか。だが、このアイデアを実行に移すには解決しなければならない大問題がある。若者のいう「やりたい仕事」とは、いったいどんな仕事なのかを明確にしなければ、具体的な施策にはつながらないという点だ。
図D-1 会社選択理由と仕事満足度 ![]() 図D-2 会社選択理由と仕事満足度 正社員 ![]() 「やりたい仕事派」を5グループに分類 若者の「やりたい仕事」像をより明確にするため、「やりたい仕事派」のさらなる分類を試みた。まず、複数回答された会社選択理由について因子分析を行った。その結果、「(1)社会的関係重視グループ」「(2)好業績重視グループ」「(3)仕事重視グループ」「(4)安定性重視グループ」「(5)企業力重視グループ」という5グループに分けることができた。 次に「やりたい仕事」重視の人たちが、どのグループにより多く存在しているのかを見てみたところ、その構成比は以下のようになった。各グループの特徴は表Eにまとめた。 【「やりたい仕事派」5つのグループ】※ (1) 社会的関係重視グループ(構成比10.3%):「世の中に影響を与える仕事ができる」「仕事を通じて人脈形成ができる」「社会や地域に貢献している」などを重視。 (2) 好業績重視グループ(同10.3%):「売上や利益が高い」「順調に売上を伸ばしている」「戦略やビジョンが優れている」などを重視。 (3) 仕事重視グループ(同52.2%):「経験・専門性が生かせる」「やりたい仕事ができる」などを重視。 (4) 安定性重視グループ(同16.8%):「給与など待遇がよい」「雇用が安定している」などを重視。 (5) 企業力重視グループ(同6.5%):「工場や研究所など施設が充実」「多くの知的資産を持つ」「従業員の能力開発や育成に積極的」 などを重視 ※因子分析で抽出された因子のうち、構成比が小さいグループを省略したため、合計は100%にならない。 表E 各グループの特徴
※「必要能力」は、「専門知識」「技術やノウハウ」「対人能力」「対自己能力」「対課題能力」の 5つの能力について「それらの能力は、今の仕事にはどんなレベルで求められるか」を聞いた答えのこと。 多様なタイプが存在する 表Eを見てわかるように「やりたい仕事派」の中でも5つのグループで正社員の存在の偏り、職種の偏り、「学び」の実行度合い、仕事に必要な能力の違いなど、さまざまな違いが見られる。派遣社員として働くBさん(25歳、女性)は、「男性と女性でも、やりたい仕事が指すものは大きく違ってくるでしょう。働き方が多様化してきていることも影響していると思います」と、男女の違いを指摘する。 表Eからは「やりたい仕事」が「自分を成長につながるような困難を伴う仕事」を指す人もいれば、「職を失う心配がない仕事」である人、「働いた時間に応じて給料を受け取れる」だという人など、多様であることが感じられる。どうやら若者の「やりたい仕事」像を明確に絞り込むことは、かなり難しいようだ。 こだわりすぎは幸運な偶然を逃す? 最後に紹介したいのがスタンフォード大学のジョン・クランボルツ教授が提唱する新しいキャリア理論、「ハプンスタンスアプローチ」だ。クランボルツ氏は偶然や予期せぬ出来事がキャリア形成には大きな役割を果たすといい、人生に起こる多数の予期せぬ出来事を上手に利用し、自分にとって好ましいものに変えていこうと呼びかけている。 ハプンスタンスアプローチを下敷きに、各界で活躍する10人のキャリアストーリーを聞き書きした『偶キャリ。〜偶然からキャリアをつくった10人』(経済界)の著者で人事コンサルタントの所由紀氏は「自分のやりたい仕事やキャリアをあまり決めつけないこと。それよりも、いま目の前にある仕事にきちんと向き合い、そこから何を学べるか、何を学びたいかを考えるほうが、最終的には自分の納得のいくキャリアをつくれるのではないでしょうか」という。 「やりたい仕事」にこだわり、何がなんでもそれを求めたり、自分の「やりたい仕事」は何なのか、悶々としたりというのでは「予期せぬ出来事を上手に利用する」という行動には結びつきにくいのではないだろうか。結局「やりたい仕事」というのは、後から考えてみて初めてそれだったと分かることが多いのかもしれない。働く若い人たちも人事担当者も、あまり「やりたい仕事」に振り回されていいことはないだろう。 (文:福田敦之 データ分析:小泉静子 編集:五嶋正風) |
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ワーキングパーソン調査の報告書はこちら
ワーキングパーソン調査は、ワークス研究所が 2000 年から 2 年に 1 度のペースで実施している。調査の目的は働く人々の実態と意識を明らかにすること。2004年の調査では首都圏で働く5800人を対象とした。正社員、派遣、パート、アルバイトなど多様な雇用形態と、性別を問わず幅広い年齢の働く人たちを網羅している。 |
| (2006年7月10日掲載) |
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