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 ワークスシンポジウムWebレポート
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リクルートワークス研究所
ワークスシンポジウムWebレポート(下)
第二部分科会
「女性リーダー」「高齢期就労」「大卒採用」…示された指針
六本木ヒルズで5月19日に開催された「ワークスシンポジウム2006」。ここでは第二部分科会のうち、分科会(1)「女性エグゼクティブを増やすには」、分科会(6)「高齢期就労の未来を探る」、分科会(8)「大卒採用の現状と課題」でのディスカッションの模様をお伝えする。
>> ワークスシンポジウムWebレポート(上)
分科会(1)「女性エグゼクティブを増やすには」では、石原直子ワークス研究所研究員の「女性役員の『一皮むける経験』」調査研究報告と、ウィルソン・ラーニング ワールドワイド取締役の久慈洋子氏、神戸大学大学院経営学研究科教授の金井壽宏氏を交えてのディスカッションが行われた。

分科会(1)
女性も『一皮むける経験』でリーダーに

ワークスシンポジウム分科会の一こま石原は女性役員27人にインタビュー調査を実施。初職就業時の仕事に対する志向で、対象者を就業継続意欲が高く上昇志向も強いAタイプ、就業継続意欲が高いが上昇志向が弱いBタイプ、就業継続意欲が低いCタイプの3類型に分類。Aタイプは4人、Bタイプ11人、Cタイプ12人存在した。「B・Cタイプであっても『一皮むける経験』を経て企業内リーダーに育ちうる。Aタイプが少ないから女性活用ができないと考えるのは間違いで、早い時期に『仕事で一皮むける経験』を積ませることが重要」と指摘した。

続いて女性役員である久慈氏が、自身の「一皮むける経験」について語った。「最大の一皮むける経験は、4、5年前に自分から希望して新しい事業を立ち上げた時。苦手な営業や財務にも取り組まねばならなくなり、仕事ができない自分に直面して自信を喪失した。そこから一皮むけることができたのは、物事にはいい面と悪い面が必ずあると気付いたから。どんなに悪く見える時でもいい面は必ずあり、それを探し出すことが次のステップにつながっていく」

複数モデルがあるのは良いニュース
金井氏は石原氏の研究報告を受け、次のようにコメントした。「最初から上昇志向を持って成功した男性の経営者でも、実は自己肯定できていない人が多い。産業社会は男性中心でやってきたが、女性が男性モデルに近づくのがいいのか、男性が他の生き方もあると考えたほうがいいのか。女性にB、Cタイプが多かったことは、複数のモデルがあるという意味でグッドニュースではないか」

最後に、久慈氏は来場した女性たちへ「女性も仕事上の失敗による周囲からの批判や非難を、必ず経験するだろう。しかし、それはあなた個人や人格に対する批判ではなく、あなたの仕事に対する批判だ。私を含め女性はこの点を混同しがちだが、その点を分け、きちんと批判を受け止めることで次に進むことができる。そして『あなたは大丈夫だ』と言い続けてくれるメンターの存在が、あなたが一歩前に進む上で支えになる」とメッセージを贈った。

分科会(6)
示された4つの高齢者就労モデル

分科会(6)「高齢期就労の未来を探る」では、福島さやかワークス研究所研究員の研究発表と、定年退職者3000人以上を取材してきたノンフィクション作家の加藤仁氏、団塊世代の大量退職を控え、地域への受け入れ対策としてコミュニティビジネスに注力している我孫子市市民活動支援課の杉山敦彦課長補佐、コミュニティビジネスの成功事例である住宅サービス企業組合健工館の苗木清理事長をゲストに招きパネルディスカッションが開催された。

ワークスシンポジウム分科会の一こま福島の研究テーマは「高齢者の就労ニーズ分析〜高齢期における就労形態の探索」。いきいき働く高齢者23人に個別インタビューを行い、「絶えざる比較法」を用いて「無理なく」「役に立つ」という2つの就労必須用件を抽出。さらに13社の事例研究から、高齢期の就労ニーズに合致する就労モデルの4類型を提示した。

続いて、各パネリストの講演が行われた後、会場からの質問を受けながらディスカッションが繰り広げられた。「サラリーマン時代のプライドが捨てられず、顧客のニーズに応えられない高齢者人材がいる」との会場からの意見を受け、地域に企業退職者を受け入れる立場から杉山氏は「『何をやってきたか』ではなく『今、何ができるか』が大事。地域の女性に企業の経験を押し付けて笑い者にされ、引きこもりになった人もいる。悲劇を繰り返さないために、できれば企業に在職中に定年者の苦労している姿を見せたり、地域に入る心構えについて退職前に伝えたりできないだろうか」と述べた。

時間・役割・報酬のバランスを
一方、加藤氏はこれに正面から反論した。「個人が屈辱的な思いをして、最低限のプライドを捨てなければいけないような再就職教育であればやめてしまえ、と言いたい」。「貯蓄率の低下を見ると、高齢者でも働かざるを得ない側面が強いのではないか」という会場からの質問に対しては、加藤氏が「福島氏の調査結果をみると『重い責任を負いたくない』という傾向が強い。切実というより、求めているのは年に二回旅行へ行くといった、自分たちが余裕を感じられるお金だと思う。それに適した働き方を提示すれば、喜んで働く人が多いだろう」と回答した。

分科会(8)
「求める人材像」と評価する能力のズレ

ワークスシンポジウム分科会の一こま分科会(8)では「大卒採用の現状と課題」をテーマに、岩脇千裕ワークス研究所客員研究員と角方正幸ワークス研究所主幹研究員、人材紹介会社、リクルートエージェントの篠原敏文第二新卒キャリア支援マーケットオフィサーが発表した。

岩脇研究員は「大学新卒者に求める『能力』の構造と変容−企業は即戦力を求めているのか」と題し、雑誌記事分析とインタビュー調査の比較から、新卒者が目にする採用広報上の「求める人材像」と、採用現場で評価する「能力」とのズレを検証した。

その結果、「学力」「地頭」「協調性」「自己開示」といった能力は長期に渡り採用時の評価となり続けているのに、採用広報上では十分示されておらず、これらの能力が新卒者に軽視されてしまう恐れがあると指摘。「学生生活が就職の手段化しているが、採用担当者にインタビューすると『何でもいいから本気でそれをやりたかったことを、本当にやり遂げた経験のある人が欲しい』と言っている。実際に求めている能力を伸ばしてもらうには、その内容をきちんと伝える必要があるのではないか」と提言した。

『就職時期』と『受験先企業』に起こる集中
角方主幹研究員は「若年の基礎力と就職プロセス−若年の類型化と対応するミスマッチ解消策」をテーマに発表。能力と意欲によって学生を4タイプに類型化し、就職状況を分析した。「現在の就職システムは『就職時期』と『受験先企業』の2つの集中が起こっている。これを改善していくためには、就職時期の複数化と中小企業の新卒採用市場形成、学生のタイプに合わせた就職支援が必要」と話した。

最後に、第二新卒採用の最前線に従事する篠原氏が「第二新卒の現状と今後について」をテーマに報告。「若者の価値観は大きく変化している。『最近の若い者は…』と嘆くより、そういう人たちを受容して3年間は社会人としての基礎力を形成してもらい、その上で本人が仕事に違和感を覚えるなら他社を探してもらい、抜けた穴は第二新卒で埋めていけばいい。そのぐらいの寛容さを持てば、日本全体が若者という資源をもう少しうまく使うことができる」と呼びかけた。
(文 宮内 健)
ワークス75号『「ダイバーシティ」を超えて』に、分科会(1)の女性リーダー研究(14ページ)、分科会(6)の高齢者就労モデル研究(28ページ)のさらに詳細な記事があります。合わせてご覧ください
>> ワークスシンポジウムWebレポート(上)
(2006年6月9日掲載)

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