| Home > SPECIAL THEME > ワークスシンポジウムWebレポート |
| ワークスシンポジウムWebレポート | |
リクルートワークス研究所 |
|
![]() |
|
リクルートワークス研究所での1年間の研究成果を報告する「ワークスシンポジウム2006」が5月19日、六本木ヒルズで開催された。今回のテーマは「組織のユニバーサル・デザイン――女性、高齢者、若者…誰もが働きやすい組織をめざして」。パネルディッスカッションを中心にした第一部、10の分科会で各論に迫る第二部に約600人が参加し、熱心な議論が展開された。第一部の内容を紹介する。
|
| >> ワークスシンポジウムWebレポート(下) |
|
第一部のパネリストは、行政の立場で長年女性の社会参画を推進し、現在は昭和女子大学副学長を務める坂東眞理子氏、シニアビジネスの事業開発支援に取り組む村田アソシエイツ代表の村田裕之氏、ダイバーシティの研究者である早稲田大学大学院商学研究科助教授の谷口真美氏、そして早くから人材の多様性活用に取り組んでいる日本IBMの人事担当執行役員、松永達也氏の4人。大久保幸夫所長が進行役を務めた。 人材を浪費する社会から人材を育てる社会へ 最初に発言した坂東氏は「均質性を最上の価値として洗練されたノウハウを蓄積してきた日本企業で、女性はチャンスを与えられてこなかった」と指摘。一方で、「男性が社会参画しなければワークライフバランスは実現できない。社会も個人もダイバーシティを生かし、人材を浪費する社会から次の世代のために人材を育て、持続できる社会経済へ移行する必要がある」と訴えた。続いて村田氏はアメリカで増加しているHOHO(His Office, Her office 会社を退職した夫、子育てを終了した妻が各々のオフィスを家に持つSOHOの進化形)とその背景にあるナノコーポ支援ビジネスの事例、および日米の高齢者活用ビジネス事例の数々を紹介。 「シニアが活躍する成功事例の共通点として、柔軟な勤務体系や商品の差別力などが挙げられ、中でも商品企画力・営業力のある『起業家』人材が存在することが重要なキーになっている。団塊世代の大量退職が話題になっているが、団塊世代の新しい役割はここにあると思う」と話した。ダイバーシティのメリットを増やしていくべきだ ダイバーシティ研究を10年間深めてきた谷口氏は、議論の流れや企業のアプローチの類型について説明した。「ダイバーシティを推進するためには、自社にとって課題となる多様性は何かを認識し、どのような目的で実施するかを考えることが大切。そして現状のダイバーシティを取り扱う能力を高め、コミュニケーションの齟齬、コンフリクトの発生、社会的統合の欠如という3つのネガティブ要因を防ぎ、メリットを増やしていく取り組みが必要」と語った。 松永氏は、「女性の活躍を支援するため、在宅ワークを推進して空間のフレキシビリティを高めたり、同じポジションの候補者で、能力が同じであれば女性を優先して登用したりしている。会社として整えるべきハードの部分は出来てきたが、今後は一人一人の社員を支援する体制の構築が課題」といい、IBMでは世界共通の経営課題としてダイバーシティ・マネジメントに取り組んでいること、日本ではとりわけ女性活用が大きな課題になっている現状を説明した。続いて、女性活用の目的を問うた大久保からの質問に対し、坂東氏は次のように回答。「米国でもエグゼクティブレベルへの女性進出はそれほど古くない。1980年から81年に私がインタビューした当時は、登用された女性も実力があまり伴っていなかったためか、肩に力の入った人が多かった。だが昨年再びインタビューを実施したところ、この25年間で人材層が非常に厚くなり、女性の中でも様々なタイプが存在し、ダイバーシティに富むようになっていた。日本で女性のエグゼクティブ登用は始まったばかりだが、少しずつ人材層が厚くなっており、取り組めば絶対に得をすると、いくつかの企業では理解されるようになっている」 シニア活用モデル、日本から発信を 米国ではシニア活用の事例が意外に少ないのでは、という問いに対し、村田氏は米国では日本以上に年齢差別が強い点を指摘。「日本が新しいシニア活用のモデルをどんどん作って、米国に発信することが大事。最大の課題は、需要と供給のミスマッチ。企業側には『年配の人は扱いずらい』というある種のステレオタイプがある。一方労働者側には、定年後は自分のやりたいことをやりたいようにしたいという人が多いが、それが周囲の求めることと一致していない。そこを歩み寄らないとうまくいかないだろう」と話した。 全社展開にはトップマネジメントの力が重要 「ダイバーシティは成功のハードルが高い。一番の勘所はどこにあるのか」大久保からの質問に、松永氏は実務家の立場からこう答えた。「ダイバーシティには、日々大変なオペレーションが必要になる。従って、全社展開にはトップマネジメントの力が重要で、なぜ人材の多様性が必要なのか、よく共通認識を持って具体的目標とアクションを考え推進していくことが大切。新しい発想を生み出すには人材の多様性が必要であるとの信念を持って進めていくしかない」また、谷口氏は自社がダイバーシティを推進する目的について確認せず、トップが安易にコミットメントすると空回りする危険性があると警告。「均質なメンバーで構成されている方が、パフォーマンスが上がる場合は間違いなくある。戦略を作る時は多様な方がよいが、実行する時は同質の方が柔軟で動きが早い。すべてを多様にする必要はなく、多様性と同質性のバランスを見極めながら実行することが大切だ」と語った。 塊を対象に議論しても解決策は出てこない ディスカッションの最後に、大久保は組織のユニバーサル・デザイン化を進める上で重要なポイントを以下のようにまとめた。「ダイバーシティに取り組む上で、女性や高齢者といった『塊』で対象を捉えても、その中の一人ひとりはあまりにも多様。大きな塊で議論している間はリアリティのある解決策はなかなか出てこない。そう考えていくと、男性正社員も多様な存在であることに気づかされる。結局、属性をどうバランスよくマネジメントしていくかではなく、多様な個人をどうマネジメントするかという問題にまで突き詰めないと、ダイバーシティ・マネジメントは軌道に乗らない」 (文 宮内 健) |
| >> ワークスシンポジウムWebレポート(下) |
| (2006年6月1日掲載) |
| 読者アンケート |
|
|
| ↑TOP へ戻る |
| HOME| サイトマップ| 検索| お問い合わせ| サイトについて | |