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 Works創刊10周年記念シンポレポート
SPECIAL THEME Works Institute
リクルートワークス研究所
Works創刊10周年記念シンポレポート 政策提言 ビジネス・プロフェッショナル創生のグランドデザイン
『Works』誌創刊10周年を記念するシンポジウムが、東京・六本木ヒルズで4月22日に開催されました。第一部の記念講演とパネルディスカッション、そして第二部の9つの分科会。計11本の記事でWeb上に再現された、シンポジウムの模様をご覧ください。(レポートは順次アップします)
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分科会(3)では、リクルート雇用政策プロジェクトが提言した「プロフェッショナル時代の到来 ビジネス・プロフェッショナル創出ビジョン」が紹介された。このビジョンは、四半世紀後の理想的な社会の姿を描いたものだという。プロの歴史、データで見るプロの実態、ビジネスの世界で活躍できるプロを生み出し活かすための7つの具体策を切り口に、ビジネス・プロフェッショナル創出のためのビジョンが描き出された。

提言書「プロフェッショナル時代の到来 ビジネス・プロフェッショナル創出ビジョン」はこちら
文 内田美代子
村田弘美
ワークス研究所主任研究員分科会は「雇用政策プロジェクト」紹介のビデオ上演から幕を開けた。「雇用政策プロジェクト」は、民間の視点から提言をするリクルートの政策立案集団であり、2000年からこれまでに「2010年雇用政策への提言」「若年のキャリア支援に関する10の提言−失業・無業を超えて−」「正社員時代の終焉」を提出してきたことやプロジェクトのメンバーが紹介された。

まず、ワークス研究所主任研究員の村田弘美が、プロフェッショナルの歴史について講演した。「プロフェッショナル(Professional)という言葉は、宗教に入信する人の宣誓を意味する言葉『Profess』に由来する」と説明。次にプロフェッショナル職業集団の歴史をひもとき、「古くは古代ギリシャの時代から、ヨーロッパの職人ギルド、中国の行(ハン)、日本の縄文時代から明治時代まで、洋の東西、時代を問わずプロフェッショナル職業集団の源流が見られる」と語った。

就業者の11.6%を占めるプロフェッショナル
続いて主幹研究員の角方正幸が、ワークス研究所が実施した「ワーキングパーソン調査2004」の結果から明らかになったビジネス・プロフェッショナルの実態を解説した。ワークス研究所ではプロフェッショナルを「自分の専門領域を決めている」かつ「仕事で他人から高く評価されている」と回答した人と定義する。ワーキングパーソン調査では、この定義によるプロフェッショナルが雇用者の11.6%を占めることが明らかになった。つまり、雇用者の10人に1人がプロフェッショナルであり、568万人のプロフェッショナルが存在する。

つぎに、産業別にプロフェッショナルの比率を見ると、製造業が13.1%、電気・ガス・水道が21.6%で最も比率が高く、逆に卸・小売・飲食店では6.7%となり最も低くなっている。
さらに、プロフェッショナルに専門領域を問うと、ワークス研究所が注目する、ホワイトカラー系のビジネス・プロフェッショナル人材は、568万人のプロの3分の2を占め380万人であり、そのうち営業が86万人で最も多く、次いで管理職が50万人であるという。

続いてサービス業従事者の伸び率に比例してプロフェッショナル人材の必要割合が伸びると想定した場合のシミュレーションの結果を紹介し、「プロ比率は2010年には12.1%、2015年には12.6%に増加。業種別では、サービス業でプロフェッショナルが44万人増加するのに対し、製造業では14万人減少する」と報告した。

四半世紀後の社会を描く7つのプラン
次に、ビジネス・プロフェッショナル創出のビジョンとして、7つのプランが提唱された。7つのプランは、下記の4つのビジネス・プロフェッショナル創出プランと3つのビジネス・プロフェッショナル活用プランからなる。





プラン1 戦略100職種の策定 日本において将来有望な100の職業を選定
プラン2 ビジネス・プロフェッショナル大学院の設立 日本のプロを育成する大学院を新たな枠組みで設立
プラン3 新しい職業コミュニティのあり方とその役割 ビジネス・プロフェッショナル創出、発展のためのワーキング・パートナーシップとなりうる職業コミュニティを創設
プラン4 ビジネス・プロフェッショナルの褒章制度の制定 最も質の高い仕事をした人を称える褒章制度を設置




プラン5 個別発明契約の義務化 特許法に則った発明規定を義務化
プラン6 人材紹介会社によるインソーシングと相場形成 人材紹介会社が、大学院や職業コミュニティに設けられたキャリアセンターを運営し、プロ人材と仕事の仲介・斡旋機能を担う
プラン7 ビジネス・プロフェッショナルの海外トランジッション 高度人材の国境を越えた円滑な移動のために、多国間で相互承認できるプロ認定制度の設立や職業人養成のための留学制度を整備


まず角方が、プラン1.戦略100職種の策定について説明した。「ワーキングパーソン調査2004」では、サンプル数が十分な8領域(営業、販売、接客、仕入れ、システム構築、研究、医療、美容)のプロフェッショナル人材に、対人能力、対自己能力、対課題能力、技術やノウハウ、専門知識の5つの能力をどの程度必要とするかを聞いた。そこで得られたプロ人材に必要な能力に関するデータを多変量解析にかけると、プロフェッショナルに必要な能力が下図のようにマッピングされる。

図1 プロ人材に必要な能力をマッピング
図1 プロ人材に必要な能力をマッピング

角方正幸
ワークス研究所主幹研究員プロに必要な能力項目の分布から、横軸は「統合−深堀り」を表し、縦軸は「ヒューマンスキル−企画・発想力」を表していると解釈できる。そこでこの2つの軸からプロフェッショナルを4つに類型に分け、4つの象限に分かれる能力の特徴にしたがい、「ヒューマンプロフェッショナル」「ビジネスサービスプロフェッショナル」「ビジネスソリューションプロフェッショナル」「研究開発プロフェッショナル」と名づけた。

この4つの類型別に、日本の国際競争力を高めるために必要な職種や今後社会的ニーズが高まる職種などを条件に選び出したのが、戦略100職種(図2)である。そして「このように社会的に強化すべき職種を限定することで、プロフェッショナル人材を効果的に育成することができる」と語った。

実践的なプロ育成、プロ認定の仕組みが不可欠
続いて村田が、プラン2.ビジネス・プロフェッショナル大学院の設立について、「今後10年間で100万人のプロフェッショナル人材を育成するためには、現行の大学院設置基準とは別の基準で、より実践的なビジネス・プロフェッショナル大学院を設立する必要がある。そして実務を含めた『ビジネス・プロフェッショナル認定試験』を導入するべき」と述べた。

プラン3.新しい職業コミュニティのあり方とその役割については、職業コミュニティには「職業倫理の制定、ビジネス・プロフェッショナル大学院のカリキュラムの策定、プロ認定基準の設置と認定」などがその機能として期待されるとした。
プラン4.ビジネス・プロフェッショナルの褒章制度の制定については、ビジネスの第一線で活躍するビジネス・プロフェッショナルを正当に評価し、褒めたたえる制度があってもいいのではないかと述べた。
プラン6.人材紹介会社によるインソーシングと相場形成では、「プロ人材の専門性を見極めマッチングできるような紹介会社が必要。特にその際はビジネス・プロフェッショナル大学院と職業コミュニティとが協力する必要がある」と指摘した。
プラン7.ビジネス・プロフェッショナルの海外トランジッションでは、「国際化が進み人の移動が活発化する中、多国間においてビジネス・プロフェッショナルの相互認証システムを構築し、日本で認定されたビジネス・プロフェッショナルが海外でも同等に評価されるようにすべきだ」と語った。

個人中心、契約社会に合わせた規定が必要
藤川恵子
ワークス研究所客員研究員最後に客員研究員藤川恵子がプラン5.個別発明契約の義務化について説明。「会社中心から個人中心、なあなあ社会から契約社会へと変化する中で、職務発明に関する報奨ガイドラインを策定する必要がある。企業内プロフェッショナルの育成を促進し、発明しやすい環境整備のためには、企業が社内発明規定に加えて、個々の状況に応じた個別発明規定を設定すべき」と話した。

分科会の後半には、質疑応答の時間が設けられ、会場と意見が交換された。「プロ創出のためのビジョンは、日本の国際競争力につながるのか」という質問が寄せられた。それに対し角方が、「国際競争力との直接的な関係については意見が分かれるが、日本の強みは顧客接点の現場の人たちが、自分の仕事を誇りにしていることにあると考えている。この強みを強めていくことが、結果的に日本の競争力になるのではないか」と答えた。

10年程度でプロ化、30歳代がプロ化のピーク
また「プロになるまでにどれぐらいの年数がかかるのか」という質問に対しては、角方が「ワーキングパーソン調査では、プロになるまでにかかる年数は10年程度という結果が出た。20歳代でもプロは存在し、30歳代でプロ化のピークを迎えている」と回答した。

企業でプロ人材制度の構築に取り組む人事担当者からは、「ビジネス・プロフェッショナル大学院ではカリキュラムの策定などに時間がかかりすぎ、タイムラグが生じる恐れはないか。現在のビジネス環境の変化の早さに対応できるのか」という疑問が示された。これに対して、角方が「100職種すべてに取り掛かるのは現実的ではなく、できるものから取り掛かるべきであろう。むろんビジネス・プロフェッショナル大学院はビジネスの環境変化に対応したものであるべきで、タイムラグが生じては実践的になり得ないというのは、われわれも問題意識として共有している」と述べた。
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(2005年6月9日掲載)

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