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 Works創刊10周年記念シンポレポート
SPECIAL THEME Works Institute
リクルートワークス研究所
Works創刊10周年記念シンポレポート プロフェッショナル型能力主義に求められる人材マネジメント
『Works』誌創刊10周年を記念するシンポジウムが、東京・六本木ヒルズで4月22日に開催されました。第一部の記念講演とパネルディスカッション、そして第二部の9つの分科会。計11本の記事でWeb上に再現された、シンポジウムの模様をご覧ください。(レポートは順次アップします)
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ワークス研究所は毎年、大テーマを一つ掲げて研究活動を展開している。昨年は「プロフェッショナル」がその大テーマだった。この分科会では現在プロフェッショナル型人材が必要とされている背景と、プロ人材をどのようにマネジメントすればよいのか、研究成果が発表された。
文 宮内 健
冒頭、大久保幸夫ワークス研究所所長が壇上に立ち、「プロフェッショナルは個人、企業経営者の双方にとって今後重要なコンセプトになり得る。プロを目指すということは個人へのキャリアメッセージとして納得性が高く、企業経営にとっても多くのメリットが存在する」と、プロフェッショナルをテーマとして取り上げた意義を説明した。

大久保幸夫
ワークス研究所所長大久保所長はプロフェッショナルな個人と企業との間には3つの関係が構築されると指摘。1つ目は、経営者が指し示す方針に共感する個人と、個人がもつ技術や専門性に信頼を置く会社とのハッピーな雇用関係である。2つ目は個人のキャリアを支援する会社と、支援を受けて伸ばした能力を会社に投資する個人というヒューマンキャピタル的な関係。3つ目は、利益追求のため合理的な判断をする経営者と、そこから生まれる負の影響に対し、職業倫理の観点から別の判断をする個人との間に「健全な葛藤」が生まれるという関係。すなわち、プロの存在が経営の暴走を防ぐ役割を果たし、会社の健全性を担保するということだ。

プロフェッショナルを生み出す人事制度
プロとしてキャリアを磨く個人と、この3つの関係で個人と結び付く企業によって社会が構成されるようになったとき、「多種多彩なプロが働く社会」が生まれる。そうしたプロフェッショナルを生み出す人事制度の構築を目指すことが、現在の人事制度の問題点を解決する一つの方法になると提言した。

次に福島さやかワークス研究所研究員がプロフェッショナル人材マネジメントに関する研究成果を報告した。

福島さやか
ワークス研究所研究員ワークス研究所が実施した企業アンケート調査の結果から、プロ人材マネジメントの現状を「多くの企業で場面に応じて成果主義、能力主義、職務主義と異なる指標を適用しているため、プロフェッショナル人材の調達・育成という観点から見ると、安定的な人事制度には必ずしもなっていない可能性がある」と分析。この問題を克服する一つのヒントとして、働く個人全員に自らの専門領域を選択し、何らかの分野のプロになることを求める一方、会社はその支援と認定などを行うプロフェッショナル人事システムのモデルを提案した。

このプロフェッショナル人事システムは4つの部分から構成され(図表1)、4つの要件すべてを満たすことで初めてシステムとして機能し、これらを組織に根付かせるためには8つのポイント(図表2)が必要だと解説した。
図表1 プロフェッショナル人事システム
図表2 プロ人事システムのポイント
プロ人材を3タイプに整理
また、プロフェッショナル人材を、(1)顧客や社会の変化に対応できる高度な専門力を持ったエキスパート型プロフェッショナル(2)いわゆる「経営のプロ」と呼ばれるビジネスリーダー型プロフェッショナル(3)両者の間に立って複数の専門能力を持ちながら変革や創造を志向するプロデューサー型プロフェッショナルの3タイプに整理。プロ人材の調達・育成には部分的な制度設計で対応するのではなく、前述した4つのシステム、8つのポイント、3タイプ分類を踏まえ、総合的な観点に基づいたシステム構築が必要だと強調した。

続いて1991年からプロフェッショナル人事制度を導入している日本アイ・ビー・エムの松永達也人事担当理事が、プロ人材に対する考え方と同社の制度を紹介した。松永氏はプロ人材を、(1)専門性を持ち能力向上に邁進する(2)高い目標を設定し実行する(3)チームワークを通じて持てる能力を最大のパフォーマンスに転換できる人材と定義する。

プロ人材に選ばれる組織に必要な6要件
松永達也氏
日本アイ・ビー・エム人事担当理事同社ではこの定義に基づいて、「プロ人材に選ばれる組織に必要な要件」として(1)権限委譲(2)成果主義(3)インフォメーション・シェアリング(4)チームワーク(5)キャリアデベロップメント(6)何らかの分野におけるワールドクラスの追求 という6つの要素を考えていると話した。また、IBMで実施しているICP(IBM Certified Profession)制度に触れ、「ICPは定められた職種ごとにプロがプロを評価し認定する制度で、認定されるのは社内で非常に名誉なこと。認定された後も3年ごとに再審査がなされ、常に新しいビジネスニーズに合った能力を持っていなければ認定は取り消される」と制度の概要を説明した。

以上の発表について、会場からの質問や感想を求めたところ、活発に意見が交換された。「多くの企業でプロ人事システムがまだ完成していないのは、時間的な問題か、あるいは現実的にどこか困難な部分があるのか?」という質問に対し、福島は「IBMのプロフェッショナル制度は10年以上の歴史があり、時間的な問題は確かに大きい。ただし、社内でトッププロが実際に活躍し評価されている状況があれば、制度に対する社員の理解も深まり、短期間でもスムーズに機能し始めるのではないか」と答えた。

外部から調達してでもトッププロを置くべきだ
これに関連して、大久保は「役員と同等の処遇をするプロ人事制度を導入しても、実際には該当するトッププロが存在しないケースがある。これでは、制度はあっても存在しないのと同じ。プロ人事システムを導入するときは、外部から人材を調達してでもトッププロを置くべきだ」と、目標やモデルとなるトッププロを置く重要性を強調した。

「プロ人材が専門分野を自分自身で決定すると、事業戦略と必ずしも一致しない場面が出てくる。どう整合性を取るべきか」との質問に対しては、松永氏がIBMビジネスコンサルティングサービスでの一昨年の取り組みを紹介した。

「顧客のニーズや求められるスキルが毎年大きく変わる中で、社内のコンサルタントだけで対応できなければ、社外で人材を調達する必要が出てくる。そのときに、会社のニーズと個人の能力をマッチングさせるために期間を区切ってみてはどうかと考え、有期雇用型の契約社員制度と個人事業主に対する業務委託契約制度を導入した。その結果2000人の社員のうち4割が有期雇用契約になっている。この新しいチャレンジをほかの職種にも拡大できないか、現在検討している」と話した。

また、既にプロ人事制度を導入している企業の担当者から「次の世代を育てる人材の先細りが大きな問題になっている」との発言があったのを受けて、大久保所長は「プロフェッショナル人事制度は、人事制度というよりプロフェッショナル人材育成制度と考えるべき。人事制度の根幹には人材育成がないといけない。知識と技術を継承していくためにどうすればいいかを基底に考えることが、健全な人事制度づくりにつながる」とアドバイスした。
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(2005年5月23日掲載)

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