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 オリックスが派遣高齢者に求めるもの、正社員に求めるもの
SPECIAL THEME Works Institute
リクルートワークス研究所
この企画では、外部の人材を含めた"人材ポートフォリオマネジメント"を考えていきたい。そのために、多様な雇用スタイルを導入する"雇用ミックス先進企業"がどのような考えで、多様な雇用スタイルを取り入れているのか、またその時「正社員」は、いったいどのような意味を持つ存在になるのかについて、企業インタビューで掘り下げていく。

初回は、この7月にグループ会社・オリックス人材(2002年2月設立、人材派遣業)を通じて50代、60代の高齢者を派遣という形態で積極的に活用し始めたオリックス総務部副部長大森基樹氏にインタビューした。同社が派遣高齢者にどのような能力を求め、マネジメントしようとしているのか。また正社員には、何を期待しているのか制度導入から現時点までの試みと、実感をお聞きしている。同社の"派遣高齢者のマネジメント・育成"についての更に詳細な情報は「SPECIAL THEME配信」でご覧いただければと思う。(Web企画:小野)
人材ポートフォリオ インタビューダイジェスト オリックスが派遣高齢者に求めるもの、正社員に求めるもの
インタビュー:ワークス研究所研究員 石原直子/木島洋嗣
適切な機会さえ提供できれば、高齢者は能力発揮する
―― 熟年者の派遣活用については、どのように検討されたのでしょうか。
大森 オリックスには、94年に始まった「営業推進役」という制度があります。年齢が55歳ぐらい、場合によっては他社で定年を迎えた営業のプロの方を契約社員として迎えるものです。
同様に「業務推進役」という制度もありました。こちらは経理、財務、審査をはじめとする分野でその道のプロフェッショナルを活用しようというものです。他の企業を定年したり、あるいは早期退職した高齢者の方々に適切な機会さえ提供できれば、これまでの経験を生かして、強大な力を発揮して頂くことができるのです。それは営業推進役、業務推進役という制度を運営する中でわかっていました。
大森基樹氏 写真
大森基樹氏(オリックス株式会社 総務部副部長)
異なる能力の見極めが最重要に
―― 熟年派遣の方と既存社員とでは、採用・配属の仕方に違いが出てくるでしょうか。
大森 新卒社員を採用するのは、言わば新車を買うようなものです。どんな人物であるか、何ができるのか、いわゆるスペックは仕様書(履歴書)を見ればだいたいわかります。しかし、派遣で来る50代、60代の方々は、学歴や経歴ではわかりません。まったく同じ業務を経験してきた方たちの間でも、提供できる価値は人によって異なります。従って、受け入れる側はどのようなシーンで熟年派遣の持つ価値を活かすことができるのか、見極めていかなければなりません。現在は現場で試行錯誤を重ねています。
 このような場合、人事が何か表立ってルールを整備するよりも、現場の目を大切にすることが重要だと思います。現場から統計的に傾向を積み上げていけば、多様な人材を見極める力も高まると思います。
―― 派遣社員が増えると、どのようにマネジメントするか、という新たな課題も生まれると思いますが。
大森 最低限のルールさえ決めれば、あとは豊かな経験を基に自分のスタイルで、活躍してもらえばよいと考えています。その最低限のルールとは、「お客様がオリックスに対して何を期待しているか」を理解するということ、「オリックスらしさ」の部分を理解していただくことです。
 それから金融業界での最低限のルールや当社の審査における姿勢を理解していただく必要性、業界で今何が起ころうとしているのか、環境がどのようになっているのかという部分についての情報提供も必要でしょう。「昔はこうだったから」という理由で頑なな仕事をしてしまって、結果として業務の効率が下がるようでは困りますから。
オリックスのスピリットにコミットし、体現するのが正社員
―― こういった熟年派遣社員の活用により一定の仕事が正社員の手を離れることになると思いますが、では、正社員の仕事の領域とはどの領域になるのですか。
大森 若手社員について言えば、既存の事業でルーティン化、定型化した仕事で、関係の出来上がったお客様との継続的なおつきあいという仕事よりも、成長力に期待してより知識を磨き、頭をつかう分野に積極的に投入していきたいと考えています。既存のビジネスの部分は熟年派遣社員の活用で基盤を支えていくことができるでしょう。もちろんその分野、全ての仕事が派遣社員にリプレイスできるということではありませんが。
―― それでは正社員という概念はどのように定義できるでしょうか。
大森 スキルがあるだけでなく、オリックスのDNAとも言える理念「新しい経済価値を提供する」に共鳴し、コミットメントできる方が正社員であることが望ましいのだと思います。そのような人が各部門にいて、そのように"行動できる"ことが大事だと思います。
インタビューを終えて

主力のリースに限らず、金融の新分野に果敢な挑戦を続けるオリックスで始まった高齢者派遣の活用推進の背景には、遠からず訪れる日本の労働者人口構成の変化への備えと、個人の志向性を認めながら適材を適所で活用する柔軟な人材戦略、という二つの側面があった。このように、多様な選択肢を提示しながら高い能力を持つ人材の価値提供力を十分に引き出そうとする戦略の過程で、コアとなる人材の役割や彼らに求めるものもまた明確になりつつある。それは単にオリックスのDNAや価値観への共鳴や共振というだけでなく、オリックスのコア・コンピタンスにコミットメントし、またそれをリードしていくということである。若手の正社員を、チャレンジの求められる新しい分野へ積極的に配属させようとする試みも、そのチャレンジこそがオリックスのコア・コンピタンスであるからだと考えられる。将来的にはコアを担う人材でさえフルタイム正社員とは限らない時代が到来し、会社と個人の関係はより個別化するであろうという予感を持ちながら、まずは高齢者派遣社員とのつきあい方を通じて多様性のマネジメントを模索し始めたオリックスから学ぶことは少なくない。(石原直子)
(2002年8月20日掲載)

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