| Home > SPECIAL THEME > ワークス博士に聞く 人材マネジメント調査「ここがポイント」第4回 |
| 効果は測られているか 能力開発 人材マネジメント調査「ここがポイント」 | |
リクルートワークス研究所 |
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ワークス博士が最近世に問うた研究成果のひとつ、「人材マネジメント調査2003」。かつての教え子で、今はX社の人事マンとして働くR君がそのポイントを聞く講義の第4回目である。テーマは「能力開発」。
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博士、今日はどんなお話ですか。 |
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能力開発だ。右肩上がりの時代は、成長する企業の利益が人材投資に回され、その結果、新たな成長が促進されるという好循環になっていた。ところが、今は環境が激変し、能力開発投資に対しても、実効性を見極めようとする経営の目がどんどん厳しくなっている。 |
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そうですね。そもそも能力って、非常にあいまいな概念ですよね。企業はどんなものを社員に必要な能力としているんでしょう。 |
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企業が重視する能力を各階層ごとに調べたのが図表4-1「重視する能力要素」だ。「実行する力」を重視する割合がいちばん高くなっている。階層ごとに見ていくと、新人・若手層は「周囲の状況を理解したうえで動くこと」、中堅層は「実務の中心的存在として企画・実行すること」、管理職層では「部下の仕事の方向付けをしたうえでコーチ役も果たすこと」、経営層では「事業を構想し、判断すること」などが重視されている。 |
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至極まっとうな答えですね。 |
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| 7割の企業で必要な能力要素が明示されている | |
企業が求める能力はどの程度従業員に明確にされているかということも調べてみた。求める能力を階層別に明確にしている企業は、経営層を除き、いずれの階層も 7割を超えている。 |
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かなり高い数字ですね。業種や規模別ではどうなりますか。 |
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業種別では金融・保険で求める能力要素を明確にする企業が多く、情報処理・ソフトウエアがそれに続いている。規模別では、経営層を除く全階層で、大企業ほど能力を明確にしている。どんな能力開発の仕組みがあるのかも調べた(図表4-2「能力開発の仕組みやプログラム」)。「入社時の導入研修のシステム」は 8割を超す企業が、「階層別研修のような従業員の職級に即した能力開発」も 6割の企業が実施している。 |
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「キャリア形成を支援する目的の能力開発」が約 3割もの企業で実施されているのも目を引きます。 |
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そうだね。昨今の人減らし傾向の反映だろう。次は能力開発に対する投資額だ。過去 1年間の能力開発投資額を階層別に見ると、中堅社員層への額が最も多く、1社平均 456万円という数字だが、これを業種別の一人当たり投資額で見たのが図表4-3「1人当たり能力開発総予算」だ。これによれば、経営層(18.9万円)、新人(17.7万円)、管理職層(13.5万円)、中堅社員層(10.1万円)、若手層(8.3万円)の順で多くなる。 |
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第 2回講義で若手の話を伺いましたが、新人の半分以下の予算しか若手には投下されていませんね。 |
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そういうことになる。業種別では情報処理・ソフトウエアの新人に対する投資の大きさが目立っている。総じて、階層別・能力開発投資の重点は管理職および新人にあると考えられているようだ。 |
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| 能力開発の満足度は低く、効果測定も緒についたばかり | |
さて、ここからが肝心の話となる。能力開発の効果をどう測定しているかということだ(図表4-4「能力開発の効果測定の実施」)。ご覧のように、従業員あるいはその上司から反応や評判を聞く主観的方法が主流で、投資効果自体への興味関心も浅いことが分かる。 |
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それは、すべての業種でですか。 |
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いや違う。金融・保険業あるいはサービス業などでは、客観的な効果測定に取り組む企業が多くなっているし、従業員規模が多くなるほど、より客観的な効果測定を行おうとしている。 |
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厳しい経営環境のもと、能力開発にも成果に対する説明責任が求められているということですね。 |
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その通り。では、そうして試行錯誤しつつ進めている能力開発投資に、企業は果たして満足しているのか、その結果を業種別に見たのが図表4-5「能力開発の満足度」だ。新人以外、どの階層においても満足度はとても低い。 |
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そうなんですか。これは先ほどの、企業が求める能力はほとんどの階層で明確化されているという結果とあわせて考えると、どうもふに落ちません。ゴールは明確で、そのための施策が実行されているはずなのに、満足のいく結果が得られこないと……。 |
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| 「期待能力の言語化」と「能力開発の効果測定」を | |
そうなんだ。求める能力が施策を通じてうまく身に付けば何の問題もないが、企業へのインタビュー調査では、必要な能力要素と、実際の能力開発の仕組みや内容はあまり関係がない、という回答も多かったんだ。 |
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「重視するが、それが仕組みに反映できていない」のか、「企業内の能力開発の仕組みでは、そもそも培うことができない能力」なのか、それとも別の理由があるのか……。 |
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その全部だろうね。能力開発という広大なテーマをすべて把握するのはなかなか難しいと痛感したよ。今回の調査ではその点に光をあてきれなかった感は否めないね。 |
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分かりました教授。反省も踏まえて、どんなことが導き出せそうですか。 |
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いくつか考えられるが、まず「期待能力の言語化」だ。それも一人ひとりの OJT や目標管理に直結したものがより望ましい。2番目には、おざなりにされがちな中堅社員、若手層にどんな能力開発を課すかという問題だ。最後は効果測定の問題。測定できないものはマネジメントできるはずがないからな。 |
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おっしゃる通りですね。ワークス博士、今回もありがとうございました。 |
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次回は最終講義だ。人材マネジメントと企業業績の関係について話をしよう。 |
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(文:荻野進介 構成:五嶋正風) |
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人材マネジメント調査2003の詳細な報告書はこちら これからの人材マネジメントのあり方を模索し、将来像の提案に資する基礎調査として 2001年から実施し、今回が 2回目。調査対象は。全国の企業 2万社の人事責任者、担当者。回収数は 1168社(回収率 5.8%)。調査時期は 2003年 6月 2日〜 7月 31日。 |
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| ◇ 人材マネジメント調査「ここがポイント」 目次 | |
| その1 それでも軽視できない「新卒採用の意味」 | |
| その2 若手社員は期待通り育っているのか | |
| その3 「雇用の多様化」は進んでいるか | |
| その4 効果は測られているか 能力開発 | |
| 最終回 よき人材マネジメントは高業績に通ず | |
| (2004年 8月 6日掲載) | |
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