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  Home > SPECIAL THEME > ワークス博士に聞く 人材マネジメント調査「ここがポイント」第3回
 「雇用の多様化」は進んでいるか 人材マネジメント調査「ここがポイント」
ワークス博士に聞く 人材マネジメント調査「ここがポイント」 Works Institute
リクルートワークス研究所
その3 「雇用の多様化」は進んでいるか
ワークス博士が最近世に問うた研究成果のひとつ、「人材マネジメント調査 2003」。かつての教え子で、今はX社の人事マンとして働くR君がそのポイントを聞く講義の第3回目である。テーマは「雇用の多様化」
ワークス博士
最近、世の中で旗色が悪くなってきた言葉の代表格が「正社員」だと思うがどうかな。もともと、この「正」という言葉は、(「邪」の反対で)「正しいこと」という意味ではなく、(「副」の反対で)「主なもの」という意味なんだ。
R君
でもその反対語である「非正社員」というのはあまりいい言葉ではありませんね。
私はそのうち正社員という言葉そのものがなくなるのではないかと思っている。そこで今回の「雇用の多様化」の話だが、「人材マネジメント調査」でも、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員については 6割以上の企業が「活用している」と答えている。業務委託や業務請負、アウトソーシングも 2割前後の企業で活用している。全体の非正社員比率は 30.6%だが、これは業種によってばらつきがある(図表3-1「雇用・活用人材の構成比」)。
図表3-1 雇用・活用人材の構成比
(クリックで拡大)
商業、サービス業は多いですね。
その通り。それらはいずれも非正社員比率が 6割を超えている。さらに企業規模が大きいほど非正社員比率が低くなっている。従業員 1万人以上の企業では 18.2%でしかない。総じていえるのは、多様化は進んでいるものの、おしなべてという状況ではないということかな。
さらにここ 3年間でどんな業務の担い手を非正社員化させたかを調べてみた。非正社員化が進んだのは、業種では「運輸・通信・電気・ガス」で、規模では 5000人以上の大企業が多かった。これらはいずれも現在の非正社員比率は低い業種や規模であり、急激に非正社員化が進行していることが分かる。
非正社員の業務というと、中核というよりは周辺というイメージがありますが……。
ところがそうでもないんだ。製造業における研究・設計系や製造・流通系、商業、金融・保険、サービスにおける営業系といった具合に、各業種における中核業務もかなり非正社員に任せる流れが出てきている。
後ろ向きの「雇用の多様化」が進行中
R君
雇用の多様化、非正社員化は、人件費の変動費化、つまりはコスト削減につながりますが、いいことばかりとは限りません。
ワークス博士
その通り。多様化に向けて、どんな課題があるかを尋ねた結果が図表3-2「多様化に向けての課題・障害」だが、「現場への説明」「外部人材の育成」「外部人材の調達」が上位 3つの課題となっている。特に、自分たちの仕事を奪うのかという現場の声には、納得のいく答えを用意しないといけない。
さらに多様化によって生じた不都合についても調べてみた(図表3-3「多様化による不都合」)。「マネジメントが繁雑になった」が一番に挙げられている。
図表3-2 多様化に向けての課題・障害
(クリックで拡大)
図表3-3 多様化による不都合
(クリックで拡大)
身につまされる話です。人が頻繁に入れ替わって、そのたびに仕事の説明をするのは時間の無駄とか、派遣社員や業務委託といった外部人材のモチベーションアップが難しいとか、X社でもよく聞かされます。
今回の調査を通じていえるのは、雇用の多様化への流れは確実に太く、大きくなっているものの、総体的にはまだまだということだろう。先にも触れたが、多様化を阻害するものは「現場への納得のいく説明」であるし、実際に多様化した企業では「マネジメントが煩雑になった」という感想が出ている。
内部的な要因が多様化を遅らせているということは、試行錯誤の結果として当然なんだろうと思いますけど。
多様化の目的が人件費削減のためという後ろ向きなものなのだろうね。自社の持続的成長にどう結び付けるかという、前向きの目的設定が重要なんだ。
そうですね。でも、非正社員といっても千差万別だし、それらをどう組み合わせて活用するかという基準は、なかなか作るのが難しいです。
自社に最適な多様化を考える枠組み
ワークス博士
実は、うちの研究室で、こんな思考の枠組みを開発したんだ(図表3-4「正社員に任せるべき仕事・非正社員に任せるべき仕事のマトリックス」)。企業特殊性の大小、知識レベルの大小という 2つの軸で、正社員、非正社員に任せる仕事をポートフォリオ化したものだ。
図表3-4 正社員に任せるべき仕事・非正社員に任せるべき仕事のマトリックス
(クリックで拡大)
R君
企業特殊性とはどんなことでしょうか。
トヨタのカンバン方式や、モノマネを排し"夢"を追い求めるホンダのモノ作りなど、容易に真似できない、その企業固有の仕事のやり方。一方の知識レベルとは、一般に流通している普遍的な知識の高低を指す。
この 2つの軸で、正社員が担うべき仕事か、非正社員に任せるべきかを判断でき、さらに、マネジメントの必要性いかん、あるいはシステム化の可否で、合計7つのカテゴリーに分類できるというわけだ。システム化できれば外部に出せる、マネジメントの必要性が小さければアウトソーシングが可能というようにね。
この枠組みで考えると、確かに人材の多様化を促進させる具体策が見えやすくなりますね。
「人材要件の明確化」が鍵をにぎる
ワークス博士
その際、気を付けるべきは、企業特殊性の程度や、システム化が可能か否かの見極めだ。現場は自分たちの仕事の特殊性を重くとらえがちな傾向があるからだ。
R君
そうですね。システム化も考え方次第ですからね。
今回の結論としていえるのは、新卒採用の回でも触れたが、「人材要件の明確化の徹底」ということだ。どんな仕事を任せるため、どんな人材が、どのくらい必要なのか。釈迦に説法かもしれんが、これが人材の多様化を進めるうえでの鉄則だろう。
よく分かりました。博士、ありがとうございました。
次回は人材能力開発の話をしよう。
(文:荻野進介 構成:五嶋正風)
人材マネジメント調査2003の詳細な報告書はこちら
これからの人材マネジメントのあり方を模索し、将来像の提案に資する基礎調査として 2001年から実施し、今回が 2回目。調査対象は。全国の企業 2万社の人事責任者、担当者。回収数は 1168社(回収率 5.8%)。調査時期は 2003年 6月 2日〜 7月 31日。
◇ 人材マネジメント調査「ここがポイント」 目次
その1 それでも軽視できない「新卒採用の意味」
その2 若手社員は期待通り育っているのか
その3 「雇用の多様化」は進んでいるか
その4 効果は測られているか 能力開発
最終回 よき人材マネジメントは高業績に通ず
(2004年7月16日掲載)

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