宿泊業の持続的経営を実現する「働き方改革」10 のキーワード

宿泊業における「働き方改革」は、雇用や処遇といった人事に関する取り組みだけで成果をあげることはできない。宿泊業は労働集約型の産業であり、顧客に提供する付加価値の中で、「人による直接的なサービス」の占める割合は大きい。つまり、働くスタッフがビジネスにおける価値創造の源泉となっている。そういった宿泊業では「業務改革」と「人事改革」を一体的に取り組むことで、持続的な経営が可能となるよう、生産性の向上を推進していくことが不可欠であり、「働き方改革」は「経営改革」そのものである。

今回のレポートでは、日本全国の宿泊業において特に大きなウェイトを占める旅館を対象として、独自に実施した聞き取り調査などをもとに、働き方改革を実現するための10 のキーワードをまとめた(図5)。ポイントは「売上・利益の拡大」を目指す業務改革と「人材の定着・育成促進」を図る人事改革を区別せずに、全体で1つのストーリーとして取り組むことだ。10のキーワードは、相互に密接に関連し、一体的に取り組むことによって相乗効果を発揮する。

どのテーマに取り組むかの優先順位はそれぞれの事業者が抱えるテーマによって異なるだろう。しかし、重要なのは個々の項目について部分的に実施するのではなく、全体を1つのストーリーとして取り組むことでしか成果は上がらないということだ。
今、宿泊業において、「人手不足」は目を背けることのできない重大な課題となっている。持続的な経営を進めるため、それらの課題に向き合い、解決に向けた施策を講じることが不可欠である。そのカギは「働き方改革」にある。
次のページから、10 のキーワードそれぞれについて解説したい。

2017年04月21日