宿泊業の「働き方改革」10のキーワードKeyword7 労働時間の圧縮

総労働時間を圧縮し、継続的なキャリアを実現できる働き方へ

宿泊業の現場で働く人々にとって、労働時間が長く、かつ、早朝・夜間や土日の仕事が多くて労働時間を自由に選べないことは重大な問題である。リクルートワークス研究所での調査では、宿泊施設の接客スタッフの60%以上が1 週間に45 時間以上働いている。(図9)。これは、全体の平均を大きく上回る水準だ。また、勤務時間を自由に選べると回答した割合は18.7%にとどまり、勤務時間の自由度も低いことがわかる(図10)。そのため、仕事とプライベートのバランスが崩れてしまい、早期離職につながっている事例も多い。せっかく習熟してきた人材が離職してしまうため、すき間時間を埋めるために臨時で従業員を雇用せざるを得ず、サービスの質も上がらない。

こうした状況を打破するには、総労働時間の圧縮が不可欠だ。それには、「IT・テクノロジーを導入し、人が行わなくてもよいタスクを機械化する」、「特定のタスクを切り出し、専門スタッフに担当させる」、「縦割り型の組織を改め、さらに、 1人のスタッフが複数の仕事を行うことで、何も仕事がない『手待ち時間』を解消する」などが有効だろう。このような取り組みを通じてスタッフの労働時間を削減すれば、接客の質の向上や従業員のモチベーションアップが期待でき、それが業績向上をもたらすという好循環につながるのだ。