2014年度研究プロジェクト

西條剛央氏自分の役割として、
リーダーを自覚したのは高校生時代

「それは理不尽だ」と思っても、世の中、事象に対して言動を起こせる人ばかりではない。西條氏を動かしているのは、既成の価値観や周囲の目に惑わされない自己肯定感である。それは、母親によって育まれたという。

元来、ぼーっとした子どもだったのですが、母は常に僕を認め、とにかく褒めてくれました。僕の自己肯定感は母によって育まれたところが大きいように思います。他にもいろんな側面で影響を受けています。

高校生の時の話です。僕がある心理学者の本を読んでいると、母は「この本の内容はくどい」とスパッと言ったんですよ。僕は、立派な先生が書いた正しいものだと思い込んでいたから、その言葉は衝撃だったわけです。そう言われてみると、確かにくどかったり、本当かな?と思ったりする箇所が見えてくる。これは、大学の先生だろうがなんだろうが絶対に正しいということはないし、どんな本だろうと相手だろうとその是非は自分で判断していいんだと思うきっかけになったように思います。

一方、父は典型的な“昭和親父”で本当に厳しく、僕にとっては、それこそ理不尽の固まりのところもありましたが(笑)、ブレない強さみたいなものは受け継いだかなと。ある意味、真反対の両親から、それぞれいいところをもらったとは思っています。

西條氏は、学級委員に選出されるかたちで、中学生の頃からリーダーを経験しているが、当初は「面倒くさいし、全然興味がなかった」そうだ。「自分がやるのがいいかも」と自覚するようになったのは、高校生になってからだ。そして、今日につながる心理学に興味を持ったのも、この高校生時代である。

やっていたのは、軟式庭球(ソフトテニス)部の部長です。通っていた仙台三高(宮城県仙台第三高等学校)は文武両道で、伝統的にソフトテニスも強いんです。ところが、僕たちは最後の高校総体の団体戦で苦い経験をしまして。強豪メンバーで臨んだはずが、さほど強くない対戦校に初戦で敗退したのです。原因は、メンタルが備わっていなかったこと。本来実力のある選手が、試合のプレッシャーに押しつぶされてしまった結果でした。

そのときも、「選手たちは皆、猛練習を重ねてきたのに」と、すごく理不尽に感じたんですね。と同時に、「人間の心ってすごいな、面白いな」とも思ったのです。それが、心理学を学びたいと考えるようになったきっかけです。

ちなみにソフトテニスは、早稲田大学に入ってからも続け、僕は学んでいた心理学を応用して、試合に勝つためのセルフコントロールの方法、理論を独自に体系化していったんですよ。それを選手たちに伝えて実践したら、目指していた主要タイトルはすべて獲ることができたんです。理不尽に感じたことをきっかけに学び、独自のことが活かされたということだと思います。

2015年04月03日