2014年度研究プロジェクト

米良はるか組織ではなく個人として
価値を提供できる人間になりたかった

「READYFOR」は、松尾先生が率いるWeb関連企業・オーマ株式会社の一事業としてスタート。米良氏は大学院卒業後、「READYFOR」の統括責任者としてオーマの取締役に就任した。米良氏の学歴と実績があれば、大企業で力を発揮する道も十分に開かれていたはずだ。その道を選ぼうとは思わなかったのだろうか。

学部生時代は就職活動もしました。ところが、どうしても行きたいと思っていた1社に最終面接で落ち、ほかに自分にとってしっくりと来る会社が見つからなくて。それならばと早い時期に活動をやめました。「スパイシー」のプロジェクトに参加してインターネットに大きな可能性を感じていましたから、大学院に進んでもう少しインターネットの世界を勉強しようと決めたんです。

大企業に就職することにこだわらなかったのは、就職活動を前にこれからの自分の生き方を探ろうとダニエル・ピンク著『ハイ・コンセプト』やトーマス・フリードマン著『フラット化する社会』といった本を読み、個人として価値を提供する人間になっていかなければと考えていたことが大きいです。ただ、当時は不安もあったんでしょうね。だから、スタンフォード大学に短期留学したときにシリコンバレーの人たちの姿を見て、背中を押してもらったような気持ちになりました。みんな新しいものを作ることに夢中で、学歴や社名ではなく、作ったもののインパクトだけで勝負している。学生にしても、日本のように一斉に就職活動をするということはなくて、それぞれ自分のやりたいことを追求して、仕事もその延長上にあるととらえている人たちばかりでした。私もあるがままに生きていって大丈夫なんだと思えた。それからですね。周りとは違う道を選択することを怖いと思わなくなったのは。

企業の寿命が個人のキャリアよりも長いことを当たり前だと思えていた時代には、企業が社員のキャリアをデザインし、10年、20年単位で育成することも可能でした。そういう社会では、ファーストキャリアを誤ると取り返しがつかないということもあったでしょう。でも、今はそういう時代ではなくなってきていると感じています。長い時間をかけて社員を育てる余裕のある企業は少なくなっていますし、社会全体の変化が早くて、個人にもスピーディーに成長していくことが求められる。そして、スピーディーに成長するには、いろいろなことにチャレンジできる環境に飛び込み、短いサイクルで数多くのトライアンドエラーを繰り返していくのが一番じゃないかなと思っています。

2015年04月24日