2014年度研究プロジェクト

米良はるか

米良はるか氏
株式会社READYFOR 代表取締役

インターネットを利用して不特定多数からの小口資金を集める「クラウドファンディング」。個人やNPO(非営利団体)など独自のアイデアを持ちながら資金調達に課題を抱える人たちを応援する新たな金融サービスとして注目されはじめている。その日本における先駆けが2011年3月に立ち上げられた「READYFOR」。代表の米良はるか氏は当時大学院在学中の24歳だった。その活動が広く知られ、2012年には日本人として最年少でダボス会議にも参加。社会を変えるリーダーとして期待される存在だ。

行く手をふさぐ課題があるからといって
あきらめる理由はどこにもない

クラウドファンディングは米国で2008年ごろに生まれ、数年の間にサイトが次々とできた。だが、米良氏が「READYFOR」を立上げた2011年当時、日本にあったのは閲覧者が「募金ボタン」をクリックした回数に応じて協賛企業が資金提供を行なう「ワンクリック寄付」のサイトのみ。国内ではなじみのなかったクラウドファンディングサービスを始めた米良氏に対し、周囲が示した反応はどのようなものだったのだろう。

家族は何も言わず見守ってくれましたが、周囲からは「大丈夫なの?」とよく言われました。米国と異なり、日本には寄付文化が根づかないというのが定説でしたから、そもそも国内にニーズはあるのかと。でも、私自身はあると確信していました。日本にも「頑張っている人を応援したい」という気持ちを持つ人はたくさんいます。その気持ちが寄付という行為に結びつかないのは、なぜか。米国に当時200ほどあったクラウドファンディングのサイトを起業前にくまなくリサーチして理由のひとつに気づきました。日本の従来の寄付の仕組みでは自分の支援が具体的に何に使われたのかが見えにくいことが多く、「誰かを応援できた」という実感が持ちづらい。もっと楽しく支援できる仕組みを作れば、ニーズは必ずあると思いました。

実際、「READYFOR」を立上げてみると、これまでの4年間で約2100件のプロジェクトを掲載し、約7割の支援が成立。約12万人から累計支援額約11億円を集めることができました。国内のクラウドファンディングサービスも増えています。つまり、日本人が誰かを支援することに消極的なのではなく、最適な仕組みを作ろうとする人がいなかったから、寄付文化も根づかなかっただけなのではないでしょうか。

クラウドファンディングはインターネットを介して資金調達を行なう仕組みなので、詐欺や、資金は集まったのにプロジェクトが頓挫してしまったといったトラブルの可能性も考えられます。米国では事件も起きていて、起業前から「リスクは大丈夫なの?」と何度も言われましたし、私自身も課題として真摯にとらえていました。ですから、起業にあたっては弁護士と何度も話し合ってプロジェクトの審査の仕組みは慎重に設計しましたし、起業後も改良を重ねています。一つひとつのプロジェクトには専任スタッフがついて細やかに管理していますし、プロジェクトがうまくいかなかった場合の対応も仕組み化されています。結果として、これまで掲載した約2100件のプロジェクトのうち、トラブルが起きた例は1件もありません。

何かをやろうとすると、新しいリスクは次々と生まれます。その都度ていねいに課題を抽出してユーザーさんにとって価値のあるサービスになるよう適応させていくということをやり続けていくしかありません。行く手をふさぐ課題があるからといって、あきらめる理由はどこにもない。やりながらどんどん良くしていけばいいだけの話だと思うんです。

2015年04月24日