2014年度研究プロジェクト

強烈なエネルギーで人びとを巻き込む力と
周囲の期待を裏切って成果を出す力
税所 篤快氏
税所氏は、最近これまでのことを振り返ったときに、自分の強みについても整理したという。数々の強みが浮かび上がってきたが、巻き込む力もそのひとつ。税所氏の周りにはその熱に引かれて熱い人たちが集まってくる。まるで自身が強烈な求心力をもつ台風のようだ。その他にもいくつかのキーワードが浮かび上がってきた。

自分で企画したプロジェクトをプレゼンしていると、たまに相手が圧倒されているときがあるんです。本当に自分が腑に落ちてやりたいと思っていることを夢中になってしゃべっていると、なにかこう狂気的なエネルギー、乱気流的なものが発生しているみたいで、現在在籍しているロンドン大学の指導教官のネパール人の先生も、僕のプレゼンを聞いて「それ、一緒にネパールでやろう」と言ったりして。僕の発散するエネルギーに呼応して、反応してくれる人はいるんですよね。周りの人たちも「おおーっ」と圧倒されて、「こいつはこんなことやって何の得にもならないのに、なんでそんなエネルギーあるんだ」とあっけにとられている、というようなことは何度もありますね。こんな感じで焦点が定まって突破していくぞっていうときに、一点突破のエネルギーを大放出中、みたいなモードになる時があるんです。

最初にe-Education をグラミン銀行のムハマド・ユヌス先生にプレゼンしたときも、僕は本当にもう実際にやるということだけを考えて動いていたんですよ。そのときに出る切実さとか、迫力ってあると思うんですよね。本当に税所は口先だけじゃなくてマジでやろうとしているんだ、マジが歩いてます、みたいな。そのときの足音的なものがたぶん、会った人たちに切実に伝わったと思うんですね。それによって三輪さんとかマヒンや米倉先生がパートナーになってくれたし、ユヌス先生も「Do it, Do it, Go ahead」と言ってくれた。それがたぶん、初めの大きな巻き込み力になっていると思うんですよね。

でもやっぱり一番大事なのは実践できるかどうかというところですよね。僕がグラミン銀行でインターンをしていたときに聞いた「アイデアはたくさんある。でも、やるやつがいないんだ」っていう話がすごく腑に落ちたんですよね。そうかと。実践できる人っていうのはやっぱり少なくて、その実践をトライ・アンド・エラーを繰り返しながら高めていく人も少ないんだと、すごく思いましたね。

だからグラミン銀行で「東進ハイスクールのビデオ授業のメソッドを使ってやりましょう」とプレゼンをしたときに、ユヌス先生が「Do it, Do it, Go ahead!」と言ったのはそういう意味だったんですね。「すごいアイデアだから、是非やるべきだ!」って褒めてもらったわけじゃなくて、「アイデアばっかり語っていてもしょうがないから、とにかくやってみせろ。それからまた来い」っていうメッセージだったと、今なら僕にも分かります。たぶん、ユヌス先生は僕のプランなんかほとんど聞いてなかったんじゃないかな。やらずにプランばっかり持ってきても知らないよ、ということだったんです、きっと。

それで実際にやってみたら、案の定思い通りにはならなかった。いろいろな問題が出てきて、必要なものがわかった。それを一つひとつ解決していくことでプロジェクトの完成度が上がっていった。この過程でああ、ユヌス先生が言ってたのはこういうことだったんだ、とにかく実践することが一番大事なんだと、すごく腑に落ちたんです。

最近わかった自分の強みは「相手の期待を裏切って成果を出す」ということ。大学受験のとき誰も早稲田大学に合格できると思っていなかったのに合格。大学に入っても誰もバングラデシュに行くとは思っていなかったのに行く。グラミン銀行のインターンで成果を出すと思いきや、全然違うe-Educationを立ち上げて成果を出す。そのままバングラデシュでe-Educationを続けるのかと思いきや、五大陸制覇を目指して「五大陸ドラゴン桜」と名付けた活動を始める。それは誰も予想も期待もしていないことだった。

だからあんまり周囲の期待に応えようとするよりも、自分自身が純粋におもしろいと思ったことに対してエネルギーが出るみたいだということが分かったんです。ただ、そのためには直感的にこれだと思うことに対してすぐ反応できる瞬発力を大事にしたい。あんまり肩肘張っているとそれができないような気がしています。

別の活動をしている僕の兄貴分のような人にいつも「お前の信念は何なんだ?」「10年後のビジョンは何なの?」みたいなことを言われるんですが、困っちゃうんですよね。適当にお茶を濁しているんですが、初めのころはそれに対してちゃんと答えなきゃいけない、将来のビジョンをしっかりもってプランを立ててその実現に向かって着実に進んでいかなきゃいけないんじゃないかと思った時期もありました。でも、最近はできないことがあるのも自分のすごい強みだと思っています。そのおかげでみんなすごく手伝ってくれるし、助けてくれる。自分が無力であることもすごく大事なことなんだと思えるようになったのが最近の進歩ですね。

2015年02月06日