2014年度研究プロジェクト

全人的な技量でもって、
正面からあたらなければ成立しない仕事
山崎亮氏

まちづくりや課題解決を行うワークショップにおいて、山崎氏が重んじているのは、合意形成と主体形成、この二つを同時進行させること。時には、反対する住民との対話の糸口を探すことから始まる難しいワークショップもある。地縁型コミュニティが強ければ、幾多のしがらみもある。人と人との関係性に着目しながら何かを成し遂げるのは、容易な仕事ではない。

合意形成では、最初のインプットが重要になります。一見、誘導に思われるかもしれませんが、まちのビジョンはどうなっているのか、どんな生活にしたいのか、つまり今回の狙いというものをある程度方向づけしないと、参加者の考えが散り散りになってしまう。その際のインプットをいかに短く、質の高いものにするかが鍵で、論理はもちろん、ビジュアルや熱意、熱量が大切になってきます。

だから、地域を十分にリサーチしたうえで、その場にいる人たちの何割が理論派で、何割が感性派なのか、そんなことも見ながら説得力のあるインプットを目指す。そうしなければ、いいアウトプットは得られませんから。

そして、同時にやっておくべきは主体形成。いわばチームビルディングで、参加者が協働できるプラットフォームや関係性を共につくっていく作業です。キーパーソンは誰で、どのような組織をつくればプロジェクトがうまくいくか。まちづくりをしていくうえでのそれぞれの能力や役割を見いだしていく――ここにはマニュアルなどなく、端的に言えば、人間関係を見る力が求められる。僕自身も学び、最も努力している点です。

困っていること、やってみたいことを地域住民から聞き出し、必要があれば専門家への橋渡しをし、あるいは民間企業とまち、コミュニティを結ぶプロジェクトもデザインする。総じて、日本人は自発的なディベートやディスカッションを得意としないから、コミュニティの立ち上げ期には、やはり山崎氏らのようなファシリテーションの専門能力を有する存在は必要である。

基本、僕はすべての人に役割があると考えていて、それぞれが持つ得意な部分を組み合わせていけばいいと思っています。ただ、合理性を追求するあまり、不得意なことはさておき、得意なこと、面白いと思えることだけをガンガン強化していって、互いを補完するチームをつくればいいという話ではありません。昨今はこの風潮が強いけれど、僕はあまり気に入ってないんですよ。

欲張りな話かもしれませんが、誰にもある不得意で嫌いなことを、まずは平均点まで上げ、そのうえで得意な部分をグッと伸ばしてほしい。スタッフにはそう望んでいます。当然、僕自身にも。僕らの仕事は、最効率を目指しているわけじゃないし、時には一人で100 人を超える人たちのファシリテーションをしなければならない。全人的な技量でもって正面からあたらなければ、成立しないのです。

コミュニティデザインの仕事は、実は女性に向いています。ワークショップでも、漂っている全体の関係性を本能的に見抜き、配慮し、臨機応変にその場で何かを成し遂げていく姿を見ていると、それを痛感させられます。僕も含め、概ね不器用な男性に比べると、あっという間に地域に溶け込んじゃう。現に、一定の経験を積んだうちのスタッフリーダーには女性が多く、本当にかなわないと思いますね。僕が始めた仕事ではあるけれど、より技量ある人材として、これからは若い女性がどんどん出てくるでしょう。

2015年02月20日