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研究レポート

一橋大学大学院に在学中、小沼氏は青年海外協力隊に参加している。就職という定められたレールに直行する気になれず、「教師になる前に社会経験を積むのもいい」と考えたからだ。赴任先はシリア。現地NPOの活動に参加し、衝撃を受けたことが2つある。活動を通じて出会ったシリア人たちが、予想に反して、情熱と気概にあふれていたこと。そして、「まったく関係ない」と思っていた社会貢献とビジネスが「つながる」成果を目の当たりにしたこと。ここでの原体験が、小沼氏の行く道を変えたのである。

貧困層向けに低金利で融資を行うマイクロファイナンス事業の調査にあたっていました。正直なところ、当初は「かわいそうな途上国の人たち」という気持ちがあったのですが、共に働いてみると、それは大きな勘違いだったと知りました。援助を請うのではなく、シリア人たちは「自分たちの力でこの国をよくしていく」という情熱を持っている。この気づきは衝撃でしたね。

追って、このNPOに、ドイツの経営コンサルティング会社からプロボノとして社員たちが派遣されてきたんですよ。そもそも教師になるつもりだった僕は「自分にビジネスは関係ない」と思っていたので、コンサルタントという職業すら知らなかったし、彼らが何をしにやって来たのかわからなかった。ところが、その社員たちは自らのスキルを用い、スタッフの業務量を可視化してバラツキを改善したり、成果が見えにくい社会貢献活動に成果指標を導入したりして、NPOの運営課題を次々と解決していったのです。

「これはすごい」と。ビジネスの世界にいる人間も社会に対してちゃんと目を向けているし、無関係だと思っていた社会貢献とビジネスがつながることで、大きな可能性が生まれることを知ったのです。加えて、シリア人たちの情熱や感謝の気持ちがコンサルタントたちに伝わったのでしょう。彼らもまた、本当に生き生きとしていました。僕とは異質な人たちともスキルを掛け合わせれば、絶対に何か新しいものが生まれる。世の中、きっと面白いことになる。なら、自分はそれをやるために生きて行こう。約2年間の活動を通じて、僕はそう決心したのです。

2015年04月10日