2014年度研究プロジェクト

小沼大地氏
小沼大地氏
NPO法人クロスフィールズ 代表理事

日本企業で働く社員が新興国のNPOやNGOに一定期間赴任し、現地が抱える社会課題の解決に挑む――小沼大地氏がこの留学ならぬ「留職」というプログラムを共同創業者の松島由佳氏と共に世に送り出したのは2011年5月。手探りのスタートではあったが、4年あまりで大企業を中心にすでに20社以上が留職プログラムを導入している。日本企業のリーダー育成と、新興国への社会貢献を同時に実現する同プログラムは、新たな価値を創造する取り組みとして注目され、確実に、社会にインパクトをもたらしつつある。「社会の未来と組織の未来を切り拓くリーダーを創ること」。それが、小沼氏らの熱き想いであり、掲げるミッションだ。

ビジネスと社会課題解決をつなぐ。
自らの体験から生まれた“気づき”

「教師になる」。高校生の頃からそう決めていた小沼氏は、実際に教員免許を取得している。教師が「人に影響を与える尊い仕事」だと考えるようになった背景には、小沼氏自身の人格形成に影響を与えた3人の恩師の存在があった。

小学校低学年の時、僕に大きな影響を与えた出来事がありました。国語の授業で、教科書に載っていた物語の解釈をめぐり、クラスの意見が二分した場面があったんです。その時、担任の指導で「じゃあみんなで話し合いましょう」と、いわばディベートをすることになったのですが、僕は、最後の一人になるまで自分の意見を変えなかった。小学生ですからね、心細くなって「もう泣いちゃう」と思った寸前、先生が「はい、ここまで。小沼君に拍手を」と言ってくれ、僕は周囲から称賛を受けることができた。人と違ったことでも、勇気を出して言い続けてみたら讃えられたという、ある種の成功体験を得たわけです。

そして中学、高校時代に所属していた野球部それぞれにも、影響を受けた顧問の先生がいました。僕は中学受験をしたんですけど、それまでトップだった成績が、進学校に入ったら一気にビリ近くになり、アイデンティティを失ったんですよ。そんな時、入った野球部で僕の力を認め、褒めてくれたのが顧問の先生。びしばし鍛えるタイプの厳しい先生でしたが、いい面を伸ばしてくれたというか、「救ってもらった」という感覚でした。

比して高校の時の顧問は、まるっきり逆で、例えば野球の練習メニューもレギュラー決めも、全部生徒にやらせるという完全な放任主義。答えがない中、仲間たちと一緒に物事を決めていくのは大変だったけれど、今にすれば、「自分でやりきれ」というかなり強力なリーダーシップ教育だったように思います。

小・中・高と、三者三様ながらいい先生に恵まれたわけですが、共通しているのは、人が何かに挑戦する時に応援することで、よりよい方向に導くということ。“挑戦と応援”、これがセットになれば「人は変わっていく」ことを僕自身が体験し、学んだのです。

2015年04月10日