2014年度研究プロジェクト

リーダーにとって重要なのは
大勢の人を巻き込む力
土井香苗氏
土井氏はヒューマン・ライツ・ウォッチの日本代表に就任して以来、スタッフを率いて政府への政策提言やメディアへの情報発信、資金調達など国際人権擁護活動を推進してきた。国際人権擁護という大きな問題に立ち向かうためにリーダーとしてどのような能力が必要とされるのだろうか。

リーダーシップとは目標を設定して、それに向かって人を引っぱっていける能力だと思っています。なかでも、一番重要なことはどのようにして人を巻き込めるか、ということなのかなと思っています。私のやっているような分野では、お金で人材を集めることはもちろんできないので、人の力をどれだけうまく引き出して、それを有機的に結合させて前に進めることができるか、という能力が問われるでしょうね。

そのためには、やはり掲げている目標・目的が正しいというか、みんなが共感してくれるようなものでないと誰も巻き込めません。それは絶対に重要です。あとはどのようにして人を巻き込むか。戦略は、立てていないように見えて、いろいろ立てています。偉い人と一緒にやる時のやり方もあれば、一般市民をたくさん巻き込むやり方もある。ポイントとなるのは人間観察でしょうか。この人はこういうふうに言ったら、一緒に動いてくれるのではないか、と考えながら話すようになりました。

土井氏たちが取り組んでいるような活動は、まず、どのような政策を作るか、誰にそれを持ちかけるか、その人たちが行動をしたくなるようにするにはどのような状況を作り出せばいいか、という多くの人を動かすまでのプロセスを考えて戦略を練り、実行することが重要だ。しかしもっと重要なことがあるという。

国の制度を変えるような活動の場合、取り組んだことがすぐ成果となって現れるものではありません。あるとき突然ブレイクスルーがくるのですが、それまではいつまでも、成功していないように見える。つまり、リーダーの能力で重要なのは、いい戦略を持ち、実行することはもちろんですが、それにプラスして必ず実現できるという信念を持ち続けることなのです。

どのような困難な状況でも、「リーダーがちゃんと戦略を裏支えしてくれて、希望を持っている限り実現できるんじゃないか」と、周りのメンバーやスタッフが思うことが、社会変革を起すために絶対的に必要なことだと思います。逆にいえば、メンバーやスタッフにそう思ってもらえることがいいリーダーの条件といえるでしょうね。

私は、結構慎重派なので、この目標の実現は難しいんじゃないかと信念が揺らいでしまうこともないわけではないですが、絶対にそれを表に見せてはいけないんです。リーダーが希望を失ったら、変革は起こらない。

支援してくれる人たちには、自分の不安や心の揺らぎをなるべく見えないようにしないといけないと思っています。プロジェクトの途中で彼らが「このリーダー、今心が折れそうなのかも」と感じたら、不安になってしまいます。とにかく彼らを不安にさせないために、いつも「この人は何か自信を持っている」というふうに見せ、見せるだけではなく、自分自身が本当に自信を持たないといけない。自信というのはどれだけ努力したか、ということと、その努力をした自分を信じられるようになる、ということだと思います。だから頑張って努力をする。いい戦略を立てて、それを実行するということに尽きる、と思います。

信念が揺らぎそうになるとき、一番効くのはやっぱりいいサポーターというか、いい同僚、仲間ですよね。最終的には支え合うことが必要です。私たちが相手にしているのは国家というあまりにも大きい存在なので、孤独では絶対にくじけてしまうと思いますね。

2015年02月13日