2014年度研究プロジェクト

ユニリーバ(オランダ・イギリス)CSR「サステナブル・リビング・プラン」

ユニリーバユニリーバは、洗剤、食品、ヘアケア、トイレタリーなど400以上のブランドを有する世界的な消費財メーカーで、1880年代に石鹸を発売したことから始まる。衛生的な習慣が根付いていなかった当時のイギリスに「きれいになる」「きれいな家に住む」という新しい概念を提供し、今もなお、企業のビジョンとして受け継がれている。

同社が2010年から展開している成長戦略ユニリーバ・サステナブル・リビング・プランは、環境負荷を減らし、社会に貢献しながらビジネスの規模を2倍にすることを目標としている。

2020年をターゲットに、「健康・衛生」「環境負荷の削減」「経済発展」の3つの分野で9つの大きな目標を設定。製品を送り出すところまでではなく、その製品がどのように活用され、廃棄されていくかまでを目標に含み、サプライヤーや物流業者、消費者の環境負荷にもコミットしている。

(画像元:ユニリーバ・グローバルサイト)

3つの分野で9つの目標を設定

<健康・衛生>
・10億人以上がより衛生的な習慣を身につけられるようにすること
・ユニリーバの全製品に関して継続的に味と栄養面の品質改善に努めること

<環境負荷の削減>
・製品のライフサイクル全体から生じる温室効果ガスを半減させること
・消費者がユニリーバの製品を使う際の水の量を半減させること
・消費者の使用1回あたりの廃棄物を半減させること
・原材料となる農産物すべてで持続可能な調達を実現すること

<経済発展>
・自社だけでなく、サプライチェーン全体で人権・労働者の権利が尊重されるようにすること
・500万人の女性のエンパワーメントを実現すること
・550万人の生活の向上をサポートすること

これは、新興国などを含めた各地域で、人類が抱える大きな課題の解決を、ステークホルダーと協働して行うという壮大なストーリーだ。自社だけでは難しい活動を、消費者やコミュニティの共感を呼ぶことで、一緒に解決に取り組むよう促している。

現在、これらの目標に対する進捗状況は日々、ユニリーバのウェブサイト上に公表されている。プロジェクトの開始当初は懐疑的であった社員もいたが、「利益を得ながら、より広範囲な社会的目標を達成することが可能である」という認識が徐々に社内で共有され、これまで以上に仕事に対してエネルギッシュに取り組むことにつながっているという。

2社のCSRから見えるもの

企業において、事業と社会貢献を両立・統合させること自体が、新たな社会価値の創造となってくる。同時に、その企業自体が法人「社会リーダー」であり、また、そこで業務に携わる社員・活動するステークホルダーのなかから個人「社会リーダー」が出現してくると考えられる。法人代表者・CEOの強い意志・理念のもと(その人そのものが「社会リーダー」であることが多いが)、社内から「社会リーダー(候補者)」を選抜し、あるいは社外から採用して育成していく。また法人内の「社会リーダー」は、社会課題の解決と業績の両方を追求する業務・活動を通じて、次世代の「社会リーダー」を創造・拡大再生産していくものと考えられる。そして、その「社会リーダー」がまた将来において、その法人の内外で「社会リーダー」として活躍することが期待されるのである。

近年では、本業そのもので社会課題解決を実現し、新たな社会価値を創造していくCSV(Creating Shared Value)という概念も流通し、企業の社会的な取り組みは、さらに高まっていくことが期待される。企業が、たくさんの「社会リーダー」を生み出す公器となる可能性は高い。


【引用・参考文献】
『世界を変えるビジネス―戦略的な社会貢献活動を実践する20人の偉大な経営者たち』マーク・ベニオフ(原著),カーリー・アドラー(原著),齊藤英孝(翻訳), ダイヤモンド社, 2008
セールスフォース・ドットコム日本 オフィシャルホームページ(http://www.salesforce.com/jp/)
ユニリーバ・ジャパン オフィシャルホームページ(http://www.unilever.co.jp)
CSR Magazine「国内企業最前線 就業時間、製品、株式の1%を社会貢献に セールスフォース・ドットコムの『1/1/1』モデル」(http://www.csr-magazine.com/blog/2013/03/04/salesforce/)
BIZ DESIGN「ソーシャルアクション『社会の潮目』vol.3 セールスフォース・ドットコム『1/1/1』モデル」
(http://www.biz-design.co.jp/socialaction/03.html)

2015年07月29日