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研究レポート

3.企業の社会的責任/CSR

CSR活動の推進が「社会リーダー」創造を生み出す

企業という社会的存在が、自身の社会の中でのありようを見つめ、より社会に期待される存在になっていく。成熟社会において、企業に大きく期待される姿勢だ。そして、このような姿勢は、従業員が、社会を思い、新たな社会価値を創造していこうという意思をも醸成する。その姿勢を表すものとして、企業の社会的責任(CSR)に対する関心が高まって久しい。

CSRが世界的に着目されてきたのには、ふたつの源流がある。1つは、米国エンロン、ワールドコムに代表される企業の不正行為に端を発した流れだ。コンプライアンス意識を高め、コーポレートガバナンスを整備し、企業の財務状況の公開や経営の透明性を高めるなどの説明責任を果たし、株主、顧客、従業員、地域市民などすべてのステークホルダーにふさわしい社会的存在であることを問われた。もう1つの流れは、主として環境問題や労働問題に端を発するものだ。グローバル視界でのサステナビリティ(持続可能性)の重要性が問われるなかで、社会的存在である企業の姿勢が問われた。それはビジネスそのもののありようにも及ぶものだ。

このような大きな源流を持つものだけに、その指し示す範囲は明示的ではなく、幅広い。寄付、フィランソロピー(慈善事業)、メセナ(文化芸術支援事業)といった社会貢献活動、社外取締役の導入などのガバナンス改革、自社の事業活動の環境等への配慮など、広範なものが挙げられる。こうした広範な活動のなかでも、社会課題に対峙し、企業としての責任を果たすCSR活動に関与する社員のなかから、「社会リーダー」が生まれることが期待される。

ここではCSRの具体的な活動内容について、アメリカのセールスフォース・ドットコム社とイギリスとオランダに本拠地を置くユニリーバ社を例に見ていこう。

セールスフォース・ドットコム(アメリカ)CSR「1-1-1モデル」

 

世界最大規模のクラウド型CRM(顧客管理)ベンダーであるセールスフォース・ドットコム。アメリカ・サンフランシスコ本社ほか、ヨーロッパと日本を含むアジアに拠点があり、全世界で15万社以上の業種・規模の企業がこのサービスを利用している。現在でも急速な成長を遂げている背景には、積極的な社会貢献活動の強化がある。1999年の創業以降取り組まれている、ビジネスと統合した社会貢献活動は、Time(社員によるボランティア活動)、Product(非営利団体への製品寄贈・割引)、Equity(非営利団体への助成)の3つの柱で構成されており、就業時間の1%、株式の1%、製品の1%を非営利団体に提供する1-1-1モデルと呼ばれ、活動規模は年々拡大している。

社員に自主性を育む仕組み

1/1/1モデルセールスフォース・ドットコムでは、社会貢献活動専門の部署「セールスフォース・ドットコムファンデーション」を設け、社員の自主的な社会貢献活動をバックアップする制度や、社員による寄付金に対して会社が同額を支援金として積み増す「マッチング寄付制度」という制度を用意している。また、年に6日間はボランティアに利用できる有給休暇が与えられており、社会貢献をしたいという社員の興味・関心を引き出し、持続させていく工夫がされている。また、こういった社風に対し、賛同する数十ものパートナー企業が、非営利団体向けに設計された技術アプリケーションの構築と導入に、情熱と専門性を傾けているという。

日本における具体的な社会貢献活動としては、東日本大震災復興支援活動をはじめ、外国にルーツを持つ子どもたちの支援、障がいを持った人へのIT支援などがある。こういった社員の活動は、社員自身の誇りとなって蓄積され、会社全体の士気を向上させることにつながっているようである。また、自分たちのボランティア活動への協力を社内で呼びかけることで、社内でのコミュニケーションチャンスが広がり、結果的に本業であるビジネスにもよい循環を生んでいる。

(画像元:セールスフォース・ドットコム  オフィシャルホームページ)

2015年07月29日