2014年度研究プロジェクト

3.世界の「社会リーダー」創造メカニズムを検証する

世界の「社会リーダー」創造メカニズムとは

世界では「社会リーダー」の定義がはっきりと認識されていないが、「社会リーダー」の創造確率を高めることに繋がる環境や教育といった仕組み、仕掛けが存在すると考えられる。例えば、幼少期から行われる教育のなかに「社会リーダー」としてのあり方に繋がる要素があれば、それを柔軟な時期に、継続的・包括的に行うことで、「社会リーダー」としての使命感を深く根付かせ、自発的に開花させる確率を高めることができるといえるだろう。すなわち、リーダー、エリート、アントレプレナー、イノベーターなどの育成メカニズムのなかに、「社会リーダー」創造に貢献する要因があると考えられる。

一方で、「社会リーダー」が生まれるもう一つの要因として、災害や紛争、差別などの社会的矛盾といった、自身の人生観を左右するような原体験を持っていること、それらを見聞きした疑似体験があること、あるいは既成メカニズムの枠に収まらない強烈な個性を原動力として持っていることなどが考えられる。そのように自然発生的に「社会リーダー」が生まれてくる場合もあるだろう。彼ら彼女らは、内発的に、突き動かされるかのように行動を起こしているのであって、それを自らの使命として自覚していないケースさえ見受けられる。しかし、その活動を継続することにより、自らの行動の意義を他者に説明する機会が増え、他者から求められる役割も明確化してくる。こうして、周囲に背中を押されるようにして自らの使命が形成されていくように考えられる。

「社会リーダー」創造メカニズムには、社会全体を対象として「社会リーダー候補者」を数多く生み出す「醸成メカニズム」と、その候補者を対象にして真の「社会リーダー」たらしめる「輩出メカニズム」の2段階があると仮定しよう。すなわち、「醸成メカニズム」とは、「社会リーダー」の出現の機会を創造するシステムで、教育や企業における活動のなかで、「社会リーダー」としての特性を自ら発芽させる、あるいは他者により特性を見出される段階のメカニズムである。また、「輩出メカニズム」とは「社会リーダー」として萌芽の成長を促したり、成熟を支援するメカニズムである。図2は「社会リーダー」創造メカニズムと、その具体例をとりまとめたものである。

世界の「社会リーダー」創造メカニズム まとめ

世界のリーダー、エリート、アントレプレナー、イノベーターなどの
創造のメカニズムから学ぶ

世界において「社会リーダー」そのものの創造を目的とする直裁的メカニズムはほとんど存在しないことから、対象国を北欧諸国、イギリス、アメリカに絞り、リーダー、エリート、アントレプレナー、イノベーターなどを創造するメカニズムを概観してみる。そして、そこから「社会リーダー」創造への意味合いが読みとれる特徴的なものを、「教育・育成型」と「体制・支援型」に分類して検証してみることにする。

具体的事例として、Ⅱ章では、「教育・育成」分野から、スウェーデンの共生・多様性尊重教育、フィンランドの初等・中等における起業家教育、イギリスのパブリックスクール・ボーディングスクール、アメリカのソーシャル・アントレプレナーMBAの例を取り上げる。続くⅢ章では、「体制・支援」分野から、社会貢献意識を採用の基準とする選抜の仕組みとしての奨学金制度や、ソーシャル・アントレプレナー支援団体の機能、グローバル企業におけるCSRを取り上げる。

私たちが定義する「社会リーダー」から考えると、「人々の未来を豊かにする意識を醸成する、あるいはその意欲を喚起させる」「新たな社会価値を創造する能力を開発し、あるいはその活動を支援する」この2つの機能を有機的に結合させることが「社会リーダー」を創造するメカニズムになっている可能性が高いと考えられる。また同時に、このメカニズムにより「社会リーダー」の誕生確率を向上させることが可能になると考えられる。

2015年06月03日