2014年度研究プロジェクト

1.共通認識としての「社会リーダー」を捉える

「社会リーダー」は、何と似通った存在なのか

「社会リーダー」は、リーダー、エリート、アントレプレナー、イノベーターなどと類似する存在だろうか。確かに、一部には似通ったところがあるだろう。企業の要職に選任されて着任する「アポインテッドリーダー」ではなく、状況の中から自然発生的に生まれてくる「エマージェントリーダー」は、社会リーダーと大きく重なる存在である。ノブレス・オブリージュ(高貴なるものの義務)を体現する存在であるエリートは、社会に善をなすことを社会的に要請され、またそれを自覚しているという点で社会リーダー像と重なる。また、近年では、社会課題そのものと真正面から取り組むソーシャル・アントレプレナー、ソーシャル・イノベーターが登場しているが、彼らは社会リーダーの一角を形成する存在だといっていい。

図1に示すように「社会リーダー」(四角形で表現)とは、必ずしもリーダー、エリート、アントレプレナー、イノベーター(楕円で表現)の部分集合ではなく、「(部分的に)似て、(次元として)非なるもの」と捉える方が好ましいだろう。

「社会リーダー」の捉え方

誰が「社会リーダー」か

では具体的に、誰が代表的な「社会リーダー」と言えるであろうか? 世界での普遍的な定義はなくとも、「社会リーダー」はリーダーである以上、周りの人々を巻き込んで、そのフォロワーとともに集団となり、地域や社会に対して大きな影響を与えながら活動している人物であることは間違いない。

例えば、グローバルなレベルでは、テスラモーターズ会長兼CEOのイーロン・マスクなども、いまや天才起業家として世界から注目を集めている「社会リーダー」と言えるであろう。1971年、南アフリカ共和国で生まれ、エンジニアの父と栄養学者でモデルの母の元で育ったマスクは、ペンシルバニア大学で経済学と物理学の学士号を取得したのち、エネルギー物理学を研究するためにスタンフォード大学大学院に入学。起業と売却を繰り返し得た莫大な資産を、長年の夢である「地球環境を守るための持続可能なエネルギー開発」と、「人類の新しい環境としての宇宙開発事業」に投入するという。その答えの一つとなるのがテスラモーターズ創設である。「世界の持続可能な輸送手段へのシフトを加速すること」をミッションに、100%電気で走る、そしてスーパーカーとしてのパフォーマンスも兼ね備えた魅力的な4輪駆動車を実現した。21世紀最大の課題であるエネルギー問題に向き合いながら、持続可能な地球環境の創造をビジネスサイドからアプローチしていく姿は、私たちが考える「社会リーダー」と一致する。

また、Googleを設立したラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンや、ソーシャル・アントレプレナーとして名高いバングラディシュのグラミン銀行創設者ムハムド・ユヌスなどもグローバルレベルでの「社会リーダー」と言えるであろう。

同時に、「社会リーダーの軌跡」で紹介した人物の中に見受けられるようなナショナル(国家)レベルでの「社会リーダー」も、世界中の国々に多く存在するであろう。そしてさらに、たとえ名前や活動は広く一般に知られていなくとも、特定の地域や特定の集団などにおいて活躍しているローカルレベル、もしくはエリアレベルでの「社会リーダー」が存在することも忘れてはならない。


【引用・参考文献】
「クルマが変わる、未来が変わる『100%電気革命』を連れてきた男」イーロン・マスク テスラモーターズ会長兼CEO ,WEB GOETHE (http://goethe.nikkei.co.jp/human/110224/index.html)

2015年06月03日