2014年度研究プロジェクト

なぜ、開成卒リーダーの方が学習に熱心なのか。改めてこの問いを取り上げれば、なるほど、学校の特徴との関連で解釈することも決して難しくないように思われる。すなわち、行事という学校関連の取り組みが大きな位置を占める生活を送っていた開成卒リーダーは、大学で提供される学習にもそのまま素直に入り込む。他方で目的合理的な行動をとる文化に浸かっていた灘卒リーダーは、専攻を学ぶ直接的な意義がみえないうちは、勉強に打ち込まない。開成卒リーダーは自宅から大学に通った者が多く、灘卒リーダーは下宿生が多いといった違いの影響もあるかもしれないが、考えてみれば、高校を卒業し、大学という新しい環境に身を置くことで行動パターンが急激に変わるというのも想像しにくい話だ。大学では、出身校の特徴を背負った学習行動がとられる。ここに、中高時代に端を発する第一の相違点があると指摘することができるように思う。

そしてさらに、開成卒と灘卒の違いは、キャリア中期における周りからの評価にも見出せる。図4は、30~44歳のリーダーについて、(1)年収、(2)役職、(3)顧客や社会のあなたへの評価(「駆け出しの新米=1~その道の第一人者=10」とした場合の得点)、の3つの側面から、どのように評価されているのかを確認したものである。(1)と(2)は企業勤務者に限定した結果であり、(3)については、医師や研究職なども含むリーダー全体の結果も同時に示した。世代や現職を限定したこともあり、少ないサンプル数による分析ではあるものの、3つのグラフからは、開成卒リーダーの方が年収や役職が高く、より第一人者に近づきつつあると判断されていることがうかがえよう。キャリア中期という段階において、他者からより高く評価されているのは、開成卒のリーダーだということである。

図4 30~44歳(キャリア中期)の年収・役職・周りからの評価
図4 30~44歳(キャリア中期)の年収・役職・周りからの評価

中高時代に集団で動くことに慣れたことが高評価につながっているのか、大学時代に意欲的に学習に取り組んだことが高評価につながっているのか。あるいはその両方が功を奏しているということもあろうが、いずれにしても、開成の特徴は、周囲が信頼を寄せ、早くから活躍の場を与えたくなるような人材を育て上げることに寄与している。「いい意味での優等生」――開成卒リーダーの特性は、このように表現できるかもしれない。

2015年04月28日