2014年度研究プロジェクト

リーダーの能力発揮を「後押しするもの」と「阻むもの」
多項ロジスティック回帰分析とは、あるグループに属する者を基準としたうえで、グループ間の差異が何によって生じているのかを特定化し、影響を与える要因については、その要因が加わることが各グループに属する確率をどれぐらい高めるのかを明らかにする手法である。今回、基準としたグループは、質問項目「自分の能力を発揮できていないと感じる」に「あまりあてはまらない」と回答したリーダー。つまり、「ある程度は発揮できている」と判断しているグループであり、そこを基準として、どのような特性を持つリーダーが「まったくあてはまらない」=「十分に発揮できている」と回答し、どのような特性を持つリーダーが「あてはまる(やや+非常に)」=「発揮できていない」と回答しているのかを分析した。

図4は、その結果を簡単に図式化したものである。まず、効果があると予想しながらも、実際には確認されなかったという項目がある。「仕事の特性(専門職かどうか)」「対人関係能力」「自己学習への取り組み」の3つである。リーダーの素質を有するまでに成長した者の能力発揮問題において、これらはもはや大きな要因ではないということなのだろう。

図4 能力発揮観に影響を与えていた要因05_04_02

そのうえで他の要因の影響について言及すれば、能力発揮を後押しする唯一の要因になっているのが「体力」である。同じリーダー素質を持っていたとしても、疲れやすい体質かどうか。どれほどの馬力があるのか。こうしたことが能力発揮観を大きく左右する。体力に自信があるといっている者は、そうでない者に比べて1.99倍ほど「十分に発揮できている」という状態になりやすい。単純な発見ではあるが、管見する限り、体力問題に踏み込んだリーダー論は、これまでほとんどなかったように見受けられる。中高時代や大学時代にどれだけ体を鍛えたかが、ひいてはリーダーとしての働きぶりに関係してくる。在学時代の取り組みにも示唆を投げかける重要な結果だといえる。

そして「大規模組織勤務」と「官公庁勤務」の2つは、やはり能力発揮を阻む要因になっていた。これら2つの勤務である場合は、そうでない場合と比較して、「十分に発揮できている」グループへのなりやすさが0.3~0.4倍程度になる。ただ、その効果はあくまで「十分に発揮できている」状況になりにくくするというものであり、「発揮できていない」と感じさせるようなものではないことには注意すべきだろう。大規模組織や官公庁に勤めれば、心が震えるほどの達成感にはつながりにくいかもしれないが、それなりに能力を発揮する場面に出合うことはできるということだ。

2015年04月14日