2014年度研究プロジェクト

新しい価値の創造につながる経験は何か
では、どのような経験をすれば、社会に新たな価値を生み出すという仕事に近づくことができるのか。前回と同じく、在学時代の経験に注目しながら検討を加えることにしよう。

図3は、課題関連行動と人間関連行動の成長要因分析で投入した在学時代の経験と価値創造行動の回答(まったくあてはまらない=1…非常にあてはまる=4と得点化)とのあいだの相関係数を示したものである。アスタリスク(*)がついているものが価値創造行動と統計的に有意な関係があった経験だということであり、相関係数が大きいほど関係が強いと解釈される。一瞥して明らかなように、かなり多くの経験に有意な関係を見出すことができるが、ポイントとして次の3点を挙げておきたい。

図3 在学時代の経験と価値創造指標との相関係数04_03_02

第一に、「友人との交流への意欲」の影響が目立つなか、「学校行事・課外活動積極性」にはプラスの関係が認められ、「部活動」には認められないという、前回の人間関連行動の分析と同様の結果をみることができる。中高時代、時間的制約があるなかで多様な集団を調整しながら1つのものを作り上げる活動に関わることは、社会に新しい価値を生み出す力の形成にもつながっている。ここに改めて学校行事・課外活動とリーダー素質の親和性をみることができるように思う。

第二に、リーダー論が語られるとき、しばしばその重要性が説かれる「教養」にもプラスの関係が確認される。教養獲得に意欲的だった者ほど、新しい価値を創造する仕事に携わっている。幅広い視野が発想を豊かにするという言説の妥当性が、データによって裏づけられたかたちだ。

他方で第三に、「教科」や「大学で専攻した分野」に関する経験にも有意なプラスの影響をみることができる。勉強に意欲的だった人、そしてその内容に面白味を感じた人ほど仕事で新しい価値を生み出すことができている。知識偏重という側面や現場との乖離、あるいはタコツボ化といった理由で批判されることが少なくない教科と学問だが、少なくとも超進学校という層に関していえば、その熱心な取り組みが創造性の高まりをももたらすという結果に結びついているようである。

2015年03月31日