2014年度研究プロジェクト

第4回「社会リーダー」の基盤としての学問

灘卒業生調査で追加された「社会リーダー」項目
議論がやや前後するが、開成・灘卒業生調査には2つの研究プロジェクトが関わっている(図1)。ひとつは平成25年度の「才能を開花させる」プロジェクト、いまひとつは平成26年度の「『社会リーダー』の創造」プロジェクト。ともに「現在活躍している人の特質を分析する」という関心を共有するプロジェクトではあるものの、後者は対象を「社会リーダー」に焦点化するという点で、より限定されたものになっている。

図1 開成・灘卒業生調査と親プロジェクトの関係

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とはいえ、具体的に動く調査それぞれの独自性も重視するのが、リクルートワークス研究所のプロジェクトである。そして開成・灘卒業生調査に関しては、その継続性を重視するといった観点から、それぞれ同じ内容で構成し、両者を合わせて分析するというかたちがとられている。ただ、より正確に説明すれば、灘卒業生調査には、1項目ではあるが、親プロジェクトの切り替えを反映した質問が追加された。「『社会リーダー』の創造」プロジェクトが定義する「社会リーダー」とは、「新たな社会価値を創造し、人びとの未来を豊かにすることを、自らの使命と自覚している人」。この定義を踏まえ、価値創造行動を問う次の質問が加えられた。

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今回のコラムでは、この価値創造行動項目への回答を分析に加えることによって、「社会リーダー」として活躍する卒業生がどれぐらいいるのか。「社会リーダー」へと成長することに結びつく要件として挙げられるものは何か。こうした問いの検討を通じて、リーダーの素質について見直すことにしたい。開成卒業生のデータがとられていない、サンプル数が半分になる、質問項目のワーディングに抽象的なところがあるといった限界はあるものの、単純な分析を試みるだけでも新しい発見が得られる。そして結論を少し先取りすれば、分析によってみえてくるキーワードは「学問」である。リーダー論とは距離があるようにも思われる「学問」にどのような意味があるのか。順を追って説明していくことにしよう。

2015年03月31日