2014年度研究プロジェクト

学校行事・課外活動への取り組み方が「壁」への対応を変える
学校行事・課外活動と部活動とでは、その意味合いが異なっている。この点については、裏付けともいえるような別の結果を、調査データから抽出することができる。

調査では、これまで「人間関係の壁」にぶつかったことがあるか、ある場合、その後どうなったかについて回答してもらっている。後者の選択肢は、(1)その壁自体を乗り越えた、(2)別のところに活路を見出した、(3)解決法を見出せず、そのままになっている、の3つ。図7は、部活動への取り組み方の別、そして学校行事・課外活動への取り組み方の別に、その回答の分布を示したものである。

図7 人間関係の壁にぶつかった後の状況(部活動経験、学校行事・課外活動経験別) 図7 人間関係の壁にぶつかった後の状況(部活動経験、学校行事・課外活動経験別)

部活動と人間関係の壁への対応とのあいだに関連性がほとんどみられない一方で、学校行事・課外活動への取り組み方と壁への対応とのあいだには、明確な関係をみることができる。すなわち、学校行事・課外活動に非積極的だった者は、壁にぶつかっても未解決のままが多く、積極的に取り組んだものの、リーダー経験までは有していない者は別のところに活路を見出す傾向がある。他方でリーダー的役割を担った者は、5割が壁そのものを乗り越えたと回答しており、その比率は群を抜いている。学校行事・課外活動のリーダーを経験することは、人間関係のトラブルに真正面から向き合おうとする、向き合えると考えるようになるということなのかもしれない。そしてこのような姿勢で周りに接しているがゆえに、フォロワーがついてくるというストーリーを描くことも可能ではないだろうか。

誤解を避けるために断わっておけば、部活動に意味がないということを主張したいわけではない。部活動は中学(高校)進学後、新しい環境に適応するための大事なきっかけになるものであり、現にデータからは、そうした知見を抽出することができる。部活動があったからこそ、より充実した中高時代を過ごすことができたと実感している卒業生も多いはずだ。また、他のソーシャルスキルを伸ばすことに寄与している可能性もある。

けれども、リーダー素質の成長、とりわけ人間関係行動面の成長という側面からみる限り、やはり大事なのは、学校行事や課外活動への取り組み方のほうだといえそうである。次の声は、こうした結果をシンプルに表現してくれたものとみてよいだろう。卒業生が寄せた自由記述の回答を一部抜粋したものだが、社会人ならではの視点から、後輩たちに運動会の意義を伝えるものである。

開成の友は一生の友。…高3~中1の縦社会、運動会運営はマネジメント教育、
リーダー的役割が身につく経験になります。積極的に!

(開成卒業生,50代,金融・保険業勤務)

さて、前回と今回とでは、「リーダー」という切り口から、開成・灘卒業生たちのデータを分析してきた。では、ここで卒業生調査の親プロジェクトが掲げているテーマ「社会リーダー」を切り口に仕切り直せば、議論はどのように発展するだろうか。プロジェクトの定義に従えば、社会リーダーとは「新たな社会価値を創造し、人々の未来を豊かにすることを、自らの使命と自覚している人」。質問紙調査という方法上の限界はあるが、次回では、社会リーダーといえる卒業生の比率がどれほどであり、社会リーダーへと成長するための経験として取り出せるものは何か、といった点について検討を加えることにしたい。

2015年03月17日