2014年度研究プロジェクト

第3回 開成・灘卒業生はどのようにリーダー素質を高めているのか

「幅広い意欲」と「勉強の質の深さ」
リーダー素質測定指標として設定した2つの項目「他人には描けないような、大きなビジョンやプランを描きたいと思う(課題関連行動)」と「喜んで自分についてきてくれる人がいる(人間関連行動)」――開成・灘卒業生は、中高時代以降にこれらの素質を伸ばし、とりわけ後者のフォロワーの存在を尋ねる項目、いわば「周りからの信頼獲得項目」とでもいうべきものについては、早くから著しい成長をみせていた。では、どのような経験が彼らのリーダー素質を高めているのか。こうした問いを念頭に置きながら、改めて回答データを眺めれば、経験の特定化以前に、卒業生たちの在学時代における活動が多岐にわたっていたことに驚かされる。

図1は、在学時代の意欲がどれほどのものだったのか、(1)勉強、(2)遊び・趣味活動、(3)友人との交流、の別に答えてもらった回答の分布である。グラフから読み取れるのは、開成・灘卒業生も一般大卒と同じく、「勉強」よりは「友人との交流」、「友人との交流」よりは「遊び・趣味活動」に熱心な在学時代を送っていたという事実である。そして、開成・灘卒業生の方が、「遊び・趣味活動」に意欲的だったという傾向も確認される。この結果をみていると、本コラム第一回で引用した「開成で中高6年間ガリガリに勉強した生徒なんて、実はあまりいません」という開成中学校・高等学校の現校長、柳沢幸雄氏の言葉を思い出す。なるほど、この分布は、氏の言葉が数値となってあらわれたものといえそうだ。

図1 在学時代の意欲
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とはいえ、開成・灘卒業生の意欲が勉強領域においても秀でていたことを看過すべきではなかろう。中高時代の「受験につながる教科の勉強」に「意欲的」と回答した者の比率は35%と、一般大卒のそれより11ポイント高い。「大学で専攻した分野の勉強」にも6ポイントの違いが認められる。さらにほかのデータからは、開成・灘卒業生の勉強が、質の点からしても一歩上をいっていたことがみえてくる。図2は、教科の勉強や専攻分野の勉強について、「その内容自体を面白いと思っていたか」を尋ねた質問への回答状況を示したものである。受験のための手段という一面もある教科の勉強ではあるが、6割を超える卒業生が楽しみながら取り組んでいたという結果は興味深い。理解力の高い生徒と教科・学問に精通している教師の本気のぶつかり合いのなかでこそ生じる反応であり、超進学校ならではの特質だとみることができるように思う。

図2 「勉強の内容自体を面白い」と思っていた者の比率
 図2 「勉強の内容自体を面白い」と思っていた者の比率
2015年03月17日