2014年度研究プロジェクト

急速に伸びる「人間関係を構築する力」
ところで、リーダーの素質と仕事については、双方向の関係が想定し得る。すなわち、リーダーの素質があるから、そのような素質が必要となる業務の担当になるということもあれば、逆にリーダー素質が求められる業務を担当していくうちに、中身が追いついていくといった流れも考えられる。図5の結果は、部下や組織を率いる役職についたから課題関連行動や人間関連行動に磨きがかかった、と解釈されるものでもある。

実際、2つの関連行動は、キャリアとともに成長するようだ。図6に、卒業生の年齢層別にリーダー比率がどうなっているかを示した。30代より40代、40代より50代のほうが大きい値となっている。成長によるものなのか、それとも単なる世代の差なのか。検討の余地はあるものの、成長の要素がまったく含まれないということはないはずだ。

図6 年齢層とリーダー指標4類型分布
図6 年齢層とリーダー指標4類型分布

ただ、「成長」という視点にたったとき、年齢や役職による違い以上に、ここで強調しておきたいのが、中高時代~大学時代という期間における成長である。

図7をみてもらいたい。調査では2つの関連行動について、中高時代と大学時代の状況についても回答してもらった。そして、それぞれについて「傾向有」と回答した者の比率をつなげたものが、このグラフになる。比較のために一般大卒のグラフも重ねておいたが、ここからは、開成・灘の卒業生の伸びが相対的に大きいことがうかがえる。とりわけ、劣勢だった「喜んで自分についてきてくれる人がいる」への回答が、一般大卒を追い越すまでに伸びているさまには目を見張るものがある。

図7 課題関連行動・人間関連行動の成長グラフ図7 課題関連行動・人間関連行動の成長グラフ

そもそも、開成・灘卒業生の7割が、「喜んで自分についてきてくれる人がいる」という項目に「傾向有」と回答していること自体、注目される結果ではないか。前回、開成・灘卒業生が「人間関係が不得手」というイメージで一部みられていると述べた。しかし、現実は決してそうではない。超進学校への入学を果たした者は、その後、着実に人間関係を築く力を身につけ、そしてリーダーとして働くようになっている。

では、具体的にどのような経験が成長をもたらしているのか。超進学校を扱った最近の書籍などでもその活発さが紹介されている部活や課外活動などは、彼らのソーシャルスキル形成とどう関係しているのか。次回ではその点についてみていくことにしたい。

2015年03月03日