2014年度研究プロジェクト

調査概要
開成・灘卒業生調査
実施時期:開成2013年10~11月,灘2014年8~10月
方法:1973~2000年の卒業生を母集団とし、卒業生リストからランダムサンプリングにて対象者を抽出。対象者の数は、学校の規模等を考慮して、開成2,800人(各年100人×28年分)、灘2,240人(各年80人×28年分)とした。郵送法で実施。
有効郵送数:開成2,690,灘2,167
回収数(回収率):開成558(20.7%),灘514(23.7%)

【比較目的】一般大卒調査
実施時期:2013年10月
方法:1973~2000年に首都圏の高校を卒業、現在、正規として働く大卒男子を母集団とし、WEB上にて実施。サンプリングは、調査会社(イプソス株式会社)に登録されているモニターに対して実施。なお、このモニターは、住民基本台帳をベースに構築されている。
回収数:1,153

リーダー論の検討に適した対象
さて、この連載コラムでは、卒業生調査のデータから解明し得るいくつかのテーマのなかから、「リーダーになるための条件」について考えることに注力したいと思う。

開成や灘といった学校に進学できたという時点で、その者の認知能力はかなり高いことが保証されているといってよいだろう。そして認知能力が高いことは、仕事をこなすという点においても、多くの局面で有利に働くと考えられる。根強い否定的なイメージはあるものの、おそらく卒業生の大多数が着実に仕事を処理し、実績を積み上げることに成功している。

ただ、仕事をうまくこなしているにしても、周りのメンバーを引っ張っていく「リーダー」として働いているか。あるいは、チームをまきこみながら新たな社会価値を生み出すことができている、いわば「社会リーダー」というような働き方をしているのか。これは、認知能力を超えた次元の問題であるようにも思われる。リーダーとして活躍するには、単に課題をこなす力だけでは不十分であり、それにプラスして、人間関係を築く能力やビジョンを描く力といったものが必要となるからである。

優れた認知能力という才を有している者のうち、誰がリーダーになり、誰がリーダーになっていないのか。書籍などからうかがい知る部活動や課外活動への取り組みは、なんらかの影響を与えているのか。また、実態としてリーダー層がそれなりに厚ければ、リーダー/非リーダーの分岐点のみならず、リーダーのなかの多様性にまで踏み込んだ分析も可能になる。開成や灘の卒業生が歩んできた軌跡は、日本におけるリーダー論を展開するための恰好の素材になるはずだ。

本コラムでは、次回以降、リーダー的役割を担っている卒業生の比率やリーダーになることにつながりやすい経験について議論したうえで、リーダーたちが周りからどのような評価を受けており、どのような葛藤を抱えているのかといったことにも踏み込んでいくことにしたい。

2015年02月19日