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研究レポート

「出たい人より出したい人」の徹底を
野田一夫氏
― なるほど、戦後の民主国家日本では国会議員こそが言葉の真の意味での社会リーダーでなければならないのに、時を重ねるにつれて一国を担う国会議員の人間的資質が明らかに低下してきたわけですね。そういう時代においては、われわれは社会リーダーにふさわしい政治家をますます持つのが難しくなっていると。裏を返せば、志の高い人間にとって、現在の政治家という職業が魅力のあるものと思われているのかどうか、大問題でしょうね。

野田 そんな敗北主義に立てば“革新”は永久に実現しませんよ(笑)。今はとうに忘れられてしまった選挙用の名モットー「出たい人より、出したい人」を思い出してください。実例もあります。吉田茂氏は、敗戦後旧憲法により天皇の大命による最後の総理を務めた後、民主憲法が公布直後の1947年から54年まで実に4期の総選挙に立候補しては圧勝を収め、実に7年半にわたって総理の重責を果たしました。しかし自らは一切選挙活動を行わず、選挙期間中は、大磯の自宅の書斎でパイプを吹かしながら、悠々と読書を楽しんでいたとのことです。ですから、民主選挙とは本来、本人の意思より支援者の熱意と努力の産物なのです。

プロフィール
野田一夫
財団法人 日本総合研究所会長
社団法人 日本マネジメントスクール会長
財団法人 社会開発研究センター会長
多摩大学名誉学長

1927年愛知県生まれ。
東京大学社会学科卒業。その後3年間東京大学大学院特別研究生。立教大学助教授(この間、マサチューセッツ工科大学ポストドクトルフェロー)を経て教授に。(財)日本総合研究所設立、初代所長。多摩大学、宮城大学の設立に深くかかわったのち初代学長に就任。このほか多くの機関の設立を手がけ、創業の基礎を固めた。「日本の大学改革」と「日本企業の経営近代化」の推進者。行動派大学教授。

TEXT=荻野進介 PHOTO=刑部友康

2015年02月05日