2014年度研究プロジェクト

感性と理性のバランスが大切
朝比奈一郎氏
― 喜怒哀楽も含め、豊かな感情をもっている人が今の社会では減ってきているような気がします。

朝比奈 まったく同感です。物があふれ食べるのには困らない、病気になってもすぐ医者に行けば治してくれる、社会の仕組みも合理的になり、感情を爆発させるような場面がどんどん減っています。欧米も含め、近代合理主義社会の負の側面であり、ある意味、致し方ないことでしょう。行く着くところ、物事を判断する際でも、感性や直感に頼ることがどんどん少なくなっていく。恋愛や結婚も、そうなりつつありますね。
でも昔の偉人の伝記を読むと、彼らの挑戦はほとんどが感性に衝き動かされたものだといっていい。そこが弱ると、人間自体も弱体化するのでしょうね。

― 感情の量は能力というよりは資質といったほうが近いかもしれません。私も何かを成し遂げるためにはそれが非常に重要だと思います。ところが世間ではその重要性があまり認識されていない気がします。

朝比奈 どちらが大切というわけではなく、結局はバランスだと思うんです。感性とか感じる力のほうだけを伸ばそうとする塾もあるんですが、われわれの塾は違う。データとファクトで考える分析力も重視します。
私は判断と決断を分けて考えるんです。判断のプロセスでは合理的思考が重要で、そうやって判断したことを実行する決断のプロセスになると、それこそ、豊かな感情が必要になるのではないでしょうか。

― 両者のバランスというのは学歴と関係ありますか。

朝比奈 いや、受験の偏差値とはまったく関係ないでしょう。高卒でも非常にバランスに長けている人もいれば、昔の官僚仲間でも偏っている、つまり感性や感情の量が劣っている人が結構います。

2015年01月29日